【ライブレポート】<VISUAL JAPAN SUMMIT 2016>3日目中編「胸を張ってヴィジュアル系をやってると言える」

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厳密なところは定かではないのだが、僕自身の目から見た印象で言うと、VJS最終日は前2日間と比べて午前中からフロアの人口密度が濃くなっているように感じられた。そのオーディエンスの何割かを占めている3日連続での来場者については、おそらく疲労もかなり蓄積されているはず。それは筆者にとっても同じことなのだが、ぐったりなどしていられない。11時30分、いよいよ事実上のメイン・ステージであるもっとも大きなSUMMIT STAGEが動きだす。GEORGEと逹瑯の軽妙なトークを経て紹介された次なる出演者は、Angeloである。

◆<VISUAL JAPAN SUMMIT 2016>Day3中盤 画像


インダストリアル・メタルな質感のSEと映像が流れるなか、配置につくメンバーたち。ステージの中央では白いコスチュームに身を包み、フードを被ったままのキリト(Vo)が赤い照明に染まっている。オープニングに据えられたのは9月末に発売されたばかりの通算8作目にあたるアルバム、『CORD』の幕開けを飾っていた「Umbilical cord」だ。この曲をじっくりと丁寧に聴かせると、次に炸裂した「RIP」をもって、その場の空気はヴァイオレントに一変。なにしろそこにはキリトがマイク・スタンドを激しく床に叩きつける風景が伴っているのだ。そうした光景自体はお馴染みのものではあっても、ぐにゃりと曲がってしまった鋼鉄の生贄の姿にはゾクッとさせられるし、映画『時計じかけのオレンジ』にも通ずるような冷ややかな狂気を感じる。そして印象的なのは、タイトに締まったサウンドの切れ味の良さと、それと同様に鋭利に耳に刺さってくる歌声だ。

この曲を演奏し終えると、キリトはひとまず「幕張、おはようございます」と礼儀正しい挨拶をしてみせたものの、次の瞬間には「狂ってますか、幕張!」と客席を煽ってみせる。そこで、場内にさまざまな嗜好のファンが混在しているのを見越しながら発せられた「君たちに唯一共通してるのはヘドバンでしょう? 首の上に付いてんの、それ何ですか? 取っちゃって取っちゃって!」という言葉には、彼ならではのユーモアのセンスと有無を言わせぬ扇動力を感じさせられた。その後も彼らは容赦のない攻撃を続けた。キリトはクロージング・チューンの「PROGRAM」を披露する前にも客席を見渡しながら「あ、まだアタマが付いてる。こっちによこせ!」などと煽り続けていたが、それは、さらなる攻撃というよりは観衆への愛情表現であるように感じられた。

最後の最後、感謝の言葉を述べ、手を叩きながらその場を引き上げていく彼の姿には、このステージが彼自身にとっても満足度の高いものだったことがうかがえたし、実際、彼らはある種の格の違いを見せつけていたと言っていいだろう。


Angeloの余韻を味わっていると、いつのまにかVISUAL STAGEの幕が開いている。まず聞こえてきたのは「一生懸命やります。よろしくお願いします!」というえらく謙虚な言葉。赤いライトに染まりながら演奏を始めたのは、この日の8番目の出演者にあたるRoyzだった。2009年に結成されたというこの4人組のステージを観るのは、僕自身にとっては初めてのこと。どうやら彼らのライヴでは「ANTITHESIS」という曲の際にオーディエンスがペンライトを振るのが恒例となっているらしく、フロントマンの昴は、観客の多くがこのVJSのオフィシャル・グッズとして販売されているペンライトを手に入れているであろうことを想定しながら、「持ってる方、光らせていただけないでしょうか!」と懇願。そこまで低姿勢じゃなくてもいいんじゃないの、と突っ込みたくもなったが、その願いは客席に伝わったようで、白や青の光が場内のあちこちで揺らめき、この曲の盛り上がりに花を添えた。

この日に演奏されたわずか4曲のみで判断するわけにはいかないが、楽曲によっては少しばかりアイデアを盛り込み過ぎのようにも思えたし、音楽的な意味での整理が必要なのではないかと感じられる部分もあった。が、この日の経験はこのバンドにも何かしらのプラス効果をもたらすことだろう。「Royzでした。また遊びましょう!」という言葉を投げかけて彼らがステージから姿を消したのは、12時25分のことだった。


それから5分後、暗転した場内に聴こえてきたのは90年代にコアなファンから熱烈な支持を集めていたスウェーデンのロック・バンド、MAZARINE STREETのナンバー。そんなマニアックな選曲のSEに導かれながら登場したのは、THE SLUT BANKSだ。TUSK(Vo)の「We are THE SLUT BANKS!」という雄叫びを合図に炸裂する「TOY」を皮切りに、彼らは余分な沈黙を設けることなく次々と楽曲を繰り出していく。

このイベント自体を意識したMCを口にすることもなく、4人はまさに“いつも通りのライヴ”をより凝縮させた形で展開していった。彼らの楽曲はいずれもコンパクトだが、爆走チューン一辺倒というわけではなく、ヘヴィなリフでぐいぐいと押しまくる「デビルモンキースパナ」、TUSKのウタゴコロが光るミッド・テンポのバラード「雨に打たれたとでも思へ」、アッパーなスカ・チューンの「Pandemic Dance」など変化に富んでおり、それが短い持ち時間の経過をいっそう速いものに感じさせた。この時間枠に7曲を詰め込むことができるのも、このバンドならではといえるかもしれない。DUCK-LEE(戸城憲夫/Ba)、参代目ACE DRIVER(坂下丈朋/G)、カネタク(金川卓也/Dr)によるレイド・バックとは無縁の演奏も、過激でしかも小気味よい。結成20周年を迎え、さらに勢いづくこのバンドの底力と、迷いのなさが印象的だった。ラスト・チューンの「Noisy Love」を歌う前に「これからも日本のロック、盛り上げていこうぜ!」と客席に告げていたTUSKは、「ロッケンロール!」と声をあげてステージから去っていった。

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