LUKE篁より、『Love Fixxxer』濃密セルフレビュー到着

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LUKE篁だ!

◆CANTA画像

前作『My Generator』から約3年4ヵ月、9枚目となるCANTAのNEW ALBUMは『Love Fixxxer』と名付た。タイトルとともに、ジャケットに使われている瑞々しくかつエロい桃の写真に象徴されるように、今回収録の半分を占める未発表曲のテーマは「さまざまな愛のかたち」。これまでに比べ、恋愛度が高めで表現がよりストレートな楽曲ばかりである。これは、昨年の聖飢魔IIの地球デビュー30周年記念期間限定再集結にともなう1991年発売のLUKE篁SOLO ALBUM『篁』の再発売に起因している。『篁』発売から25周年に当たる今年の2月に再発売されたことを記念して7月に催された<LUKE篁 SOLO TOUR>で『篁』からの曲を全曲披露したことで、気持ちに多少の変化があった。どんな変化があったかと言うと。。。

『篁』は、曲ごとに違った愛の形をテーマにして歌詞を書いていて、今回これらの楽曲達と向き合うことで、これらの持つ表現のわかりやすさやぶっちゃけ具合や抜け感にある種の感銘を覚えた。この感じをCANTAに持ち込んで、新たにさまざまな愛の形をテーマに歌えば、より深くより面白い表現ができるのではないかと思うようになったのだ。

果たして新たな世界「さまざまな愛の形」へと旅立った僕の手によって書かれた「Love Fixxxer」「Campanella」「Virginity」「Madness」「My Dear Friend ~世界は寂しいで出来ている~」は、時に優しく時に厳しく、独自の視点からの恋愛観が描かれていて、今までのCANTAにはなかった世界が広がって行くことになったのだ。

「Love Fixxxer」は、独りでは乗り越えられそうもないことや生きづらいと感じることも、愛する人のためなら、愛する人のことを思えば乗り越えられる、日々の糧になると歌い、愛こそがこの世界の原動力であると宣言している、疾走感のあるギターロックである。

「Campanella」は、恋する二人がお互いを思いやりながら求めあい思い悩む気持ちをストレートに表現している、今までのCANTAにはなかった新境地ともいえる曲。ギターのストロークとアルペジオが織りなす暖かくも力強いバラード。

「Virginity」は、これまた今までのCANTAにはなかったSexualなことに大胆に手を突っ込んだ曲になっている。愛し合う二人がお互いを求め合う中で、それぞれをより深い快楽の世界へと誘うために大胆になり合おうというメッセージは刺激的だ。印象的なシンセの音色と少しゆったりとしたテンポがセクシーな側面を煽り、織りなすようなVocalのHarmonyが、エロい歌詞の割に爽快感を与えるという不思議な曲。

「Madness」は、恋する相手にうまく伝わらない想いを抱えてしまうと、それが時に狂気へと駆り立てられるほどの力を孕んでいる側面を持つのが恋愛の難しさであるが、その辺りを独特な語り口でうまく表現している佳曲。静謐な印象を与えるピアノとギターロック然としたアレンジの混在が秀逸だと思う。切々と歌うリフレインが届けばいいな。

「My Dear Friend ~世界は寂しいで出来ている~」は、成就しなかった苦しい恋愛が、時を経て熟成し柔らかく暖かなそして少しほろ苦い思い出となって胸に棲みつき、それが豊かで力強い感情を産み出すに至るという物語的な楽曲。ピアノのリフレインとハードなギターが織りなす壮大な曲。2014年にオケは録音された。

以上の新曲に加え、Maxi Single等で既出ではあるが、ALBUM未収録の曲達にも触れておこう。以下収録順。

「Bound for Freedom」は、最近のCANTAのライヴの盛り上げ役の定番になっている。CANTAらしい後ろから盛り上げる感じの応援歌。

「YEARS」は、東日本大震災発生から数年後の世界に向けて作られた。復興は皆を平等に押し上げることは出来ない。どうしても順番がついてしまう。場合によっては、人によっては、昨日より悪くなったと感じることもあるだろう。しかし、僕らは知っている。それでも立ち上がって進むことが復興であると。そんな思いを6/8拍子に乗せて歌う佳曲。

「EVERYBODY NEEDS SOMEBODY」は、「真夜中の誰もいない道路で 瞬いてる信号機みたいに 誰も見てくれない時こそ変わらず 胸を張れ」に集約される視点と表現の唯一無二感、メロディーのHOOKもリズムの仕掛けも充分に効いている、申し分のない代表曲。自画自賛だが(笑)。。。

「あなたに」も、「YEARS」同様東日本大震災から数年経った時のテレビでの特集番組を観ていた時の印象を歌にした。カメラの前で笑う被災者の方々の力強い笑顔には本当に励まされるし感動する。でも、その裏側にあるとてつもなく大きな悲しみには、同じ思いをしていない者が寄り添うことは難しい。寄り添えるなどと奢った気持ちはないが、何もしないのも違うと思ったので、自身の喪失体験を元に、失ってしまった人に会いたいという思いを歌っている。

「FEEL YOUR LIGHT」は、自身の内なる魂の光を信じ、世知辛い世の中を生き抜けというCANTAらしいメッセージソングである。

ダンスビートとシンセが効いた新型CANTAの、「HEAVEN'S WAITING」の続編のような曲。

以上が収録曲達の作者からの解説であるが、もう一つ特筆すべきは演奏しているドラマーの雷電湯澤とベーシストのMASAKIである。彼らは言うまでもなく一流のPLAYERであるが、CANTAの楽曲制作は少し変わっていて、場合によってはクリックとギターのストロークだけしかないトラックに合わせて演奏録音しなければならないのだ。これはひとえに私LUKE篁のいたらなさに依るものであるが、そんな中、想像力を膨らませ、盛り上がるべきところで盛り上がり、抑えるべきところはタイトにPLAY出来ていて、最終的にはまるで最初からすべてが揃っていたかのように出来上がる辺り、彼らの懐の深さと寛大な心がなければ成立しないのである。本当に彼らには感謝こそすれ頭が上がることはない。

さて、今回ほど難産で、何度も締め切りを後ろにずらしたことはなかったのだが、それでもようやく出来上がったものを聴いていると、やはりいいものが出来たと言わざるを得ない。どの音を聴いてもそれが楽曲を支えることを考えていて、すべてが同じ方向を向いていると思える。そんな音楽を再び創作することが出来て、発売出来ることに本当に喜びを覚えつつ感謝しながらこの文章を閉じようと思う。みんな、聴いてね!ありがとう。


『Love Fixxxer』

2016年11月2日発売
CNTA-004 ¥3,000- (税込価格)
1.LOVE FIXXXER
2.Bound for Freedom
3.YEARS
4.EVERYBODY NEEDS SOMEBODY
5.あなたに
6.FEEL YOUR LIGHT
7.Companella
8.Virginity
9.Madness
10.My Dear Friend 〜世界は寂しいで出来ている〜
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