【インタビュー】ZYUN.「泣きながら生まれてきた全ての人たちに聴いてもらいたい」

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5月18日にアルバム『混合シナプス』でメジャーデビューしたZYUN.。4オクターブの美声で歌い上げる言葉は、聴く人に希望と光を届ける。そんなZYUN.の2枚目のアルバム『MonSter』が完成した。前作では混沌としたこの時代を「大丈夫だよ」と温かく抱きしめるような作品だったが、今作では自分の存在を肯定してくれる。そんな作品の全容をZYUN.が語る。

◆ZYUN.~画像~

■苦しいことも辛いこともあるけど苦しいことがあって悩んでも仕方ない
■辛くても苦しくても自分は世界一幸せなんだって思った方が得です


――前作の『混合シナプス』では全編を通して、「大丈夫だよ」って言われている感じだったんですが、『MonSter』では「いていいんだよ」って自分の存在を肯定してくれるような感じがしました。

ZYUN.:僕が音楽をやるには柱がいっぱいあって。『混合シナプス』で言いたかったことも一個の柱。今回は「君は君で居ていいんだよ」っていう肯定。人に向けるだけでなく、自分自身にもすごく向き合ったアルバムです。どの曲もデビューさせてもらって、今生きているこの数ヶ月に起こったことが凝縮されているんです。ただ、「MonSter」と「NON≒FiCTiON」は少し前に出来ているんですけど。

――「MonSter」というタイトル曲が先にできているってことですか?

ZYUN.:はい。曲が先ですね。この曲は前作に入っていた「かげおくり」と同じ時期に書いていて。「かげおくり」が出来た年って、3曲しか書けなかったんですけど、そのうちの一曲が「MonSter」で。もう一曲が5曲目の「NON≒FiCTiON」なんです。あの年に書いたものがやっとリリースされるんです。

――その時の曲を改めてレコーディングした気持ちは?

ZYUN.:やっと出せたなという感じですね。「NON≒FiCTiON」はリアレンジしたんですよ。時代に合わせるのではなく、今の自分や今のファンとか、今の自分の感覚に合わせてアレンジしているんです。プラスアルファ、この曲はDメロも足しているんですけどね。でも、「MonSter」はその当時のアレンジのままで一切手をつけずそのまま。これはCDにしない、もしくはするなら絶対シングルって思っていたし、アルバムに入れるならタイトルにしたいって決めていて。デビューして二作目にどうしても収録したくなっちゃったので、アルバムのタイトルにもしたんです。


▲『MonSter』<初回生産限定盤/ CD+ライブCD>


▲『MonSter』<通常盤/ CD>

――「MonSter」を作った時のことを振り返って聞かせてもらえますか?

ZYUN.:作ったのは……「かげおくり」も「MonSter」も「NON≒FiCTiON」もお正月だったんです。その年はお正月でZYUN.の楽曲制作に関しては終わっちゃったんですね(笑)。どの曲も、15分くらいで30分以上はかからないんです。「MonSter」は「ボクハモンスター。ボクハモンスター。」ってところから、ノートにガーっと書いて……この部分から曲が降りてきて。確かギターで作ったんじゃないかな。

――ディズニー好きだから、聞いていると「美女と野獣」を思い出しました。今まで孤独に暮らしていたところにベルがやってきて野獣が恋をするというような。

ZYUN.:うん。自分が一番醜いものだと思って生きてきたモンスターにとって、人を愛するなんて絶対にあり得ないことだったんですよね。どう考えても手の届かないのに、その人の魅力に引き込まれてしまって。最終的にその想いが叶う叶わないじゃなくなって、その「想い」こそが幸せなんだっていう。僕はハッピーエンドが好きなので、基本的にはすべてハッピーエンドで終わる物語しかないんですけど、この曲も最終的には世界で一番自分が幸せなんだって思えるようになるという。

――うん。

ZYUN.:人生って一度きりなんですよ。苦しいことも辛いこともあるけど、苦しいことがあって悩んでも仕方ないんですよ。そういう感情も生きているからこそだし、辛くても苦しくても自分は世界一幸せなんだって思った方が得ですよね? 僕はそういう生き方をしてきたんです。だから、これを聴いた人も、自分がひとりぼっちだと感じていたり、嫌なことや辛いことがあった時も、「それでももしかしたら俺は一番幸せ者かもしれない」って思って生きた方が得なんですよ。

――幸せかどうかって主観でしかないから、自分次第でいくらでも変わりますからね。

ZYUN.:そう!だから、そういう風に思ってくれたらいいなと思います。あとは人を好きになる気持ちとか、何かに夢中になることを僕は否定してほしくないんです。もちろん、好きになった時は、それがずっと続くと思って好きになります。離れるために好きになる人なんていないし、終わるために始めるわけでもない。その終わりが来たとしても、「合わなかった」とか、そんな単純なことだけではないと思うんですね。そういうことは、生きていればいろいろある。たとえどんな辛いことがあっても、最終的に人生って帳尻が合うようになっていると思うんです。この良いことのために、あんなに辛いことがあったんだなとか。このためにあの人と別れたのかとか、あとあと絶対に落としどころがある。なのに、その間、すごい悩んでいたら損ですよね。

――何か辛いことがあった時は、それがこの後、どうなるのか楽しみにするくらいがいいのかもね。

ZYUN.:うん。そう思う。何か意味があると思えば、すべてを受け止められるし、受け入れられる。


――同時期に出来た「NON≒FiCTiON」は? 冒頭の「君はいつも泪を拭く真似をしながら~」からの二行で、「なんのこと言ってるの?」と思いますよね。

ZYUN.:こういう歌詞、今まで書いたことがなくて。こういうことが降りて来ることもなかったから、最初、この歌詞が出てきた時は、自分も「何のこと言ってるの? 何があったの?」って思ったんです。たぶん、生きている中でいろんなニュースを見たり、自分の肌で感じることがあります。きっと僕から見た世間がこういう風に見えたんでしょうね。……これは初めて話すんですけど、ファンの子がTwitterか手紙かどっちかで、こんなメッセージをくれたんです。「ZYUN.くんはいつも、世界中に対してとか、まだいない人に対してとか、みんなに対して歌ってくれていて、すごく助けられます。自分もその中に入っていることが嬉しくて助けられる。でも、たった1人に向けて歌った歌も聴いてみたい。その人にだけ聞こえればいいんだよっていう曲もZYUN.くんの中から出る瞬間があったらいいな」って。そこからずっとその言葉が響いていて。

――その言葉がきっかけで降りてきた曲なんですね。

ZYUN.:はい。その子の言葉が心の中にずっとあって出来た曲なんです。僕は生きていて何かに左右されることはあまりないんですけど、ファンの子の想いにはすごく左右されるんです。確かに僕は、「君」っていう言葉を使っていても、その「君」の対象って、不特定多数の方々だったり、社会とか世間とか、世界の人とか、スケールの大きいものを書いてきていて。でも、「NON≒FiCTiON」は、そういうスケールの大きなものではなく、君にだけ聞こえればいいんだよって曲なんですよ。

――ご本人はそのメッセージのことは覚えていますかね?

ZYUN.:覚えてるかなぁ。その子がこれを読んでくれるといいけど。少し前にもこんなことがあったんですよ。以前、僕のことを叱ってくれたファンの子がいたんです。当時の僕は、悲しい人、寂しい人、悲しいことを言う人に向けての言葉がすごく多かったんだと思うんですよ。それで、「ZYUN.くんは自分が幸せになるために音楽やってるの? そうじゃないでしょ? ほとんどの人は、ZYUN.くんの音楽で幸せになりたいと思ってるんだよ」って言われて。僕、そこから変わったんですよ。「そうだ! 僕は自分の音楽で誰かを幸せにしたいんだ。だから困っている人の手ばかりを握るんじゃなくて、“ZYUN.くん、幸せ!”」って言う人の手も握るべきなんだって。そんなことに改めて気付かせてもらって。そうしたら、この前、その子が名古屋のリリースイベントに久しぶりに来てくれたんです。今しか言えないと思って、「君が昔僕に怒ったことがあったの覚えてる? ありがとう!」って。その子は「あの時の記憶は消したい」って言ってたけど(笑)。でも、あの言葉のおかげで僕は変わったんですよ。だから、「NON≒FiCTiON」を書くきっかけになった子にもいつか直接伝えたいですね。

――これを読んでくれているといいですね。でも、誰かの幸せのために存在するって素敵ですね。

ZYUN.:僕は子供の頃からお母さんが喜ぶことを探すのが好きだったんです。自分一人だけで存在するならいなくていいって思うんです。喉が渇いたら、自分の体のことを考えて水を飲みますけど、そういう感じで生きるのは嫌なんですよ。ただ、ライヴは、苦しいなぁと思って息を整えるのに近い。ライヴはそういう感じの時間が流れているし、それを人が見てくれていて。唯一、ライヴの時は、自分の欲のままにいるんです。ステージを降りたらそんな意識はないけど、思い返す感覚で言うと、ライヴ中は僕はとても自分勝手だなって思うんですよね。だからこそ、人にこう思って欲しい、みんなにこういう風にしたい、みんなを幸せにしたいっていうのは日常でいつも考えていなければいけない。24時間中、寝ている時も考えなければいけない。でもライヴの時だけは何も考えない。それが僕の音楽家としてのあり方なんです。

――話をアルバムに戻しますが、1曲目の「あの日のサドスティム」の「サドスティム」ってどんな意味なんですか? 調べても出てこなくて。

ZYUN.:ははは(笑)。そう! 僕もそれだけは何で出て来たのかわからなくて。調べても出ないですよね。

――それも降りて来ちゃった?

ZYUN.:そう。浮かんじゃって、降りて来たらしょうがないなと。実は他の方に提供させていただいた楽曲でもそういうのがあって。Trefleさんに提供させていただいた「内緒のエンペリーゼ」って曲があるんですけど、「エンペリーゼ」って言葉が調べても出てこないし。はちみつロケットさんの「お願いメテロティス」の「メテロティス」も意味がわからないんですよ(笑)。

――それはもうZYUN.語なんですね(笑)。

ZYUN.:そうですね。もうそういうの出てこなくてもいいんですけど、出て来ちゃうからしょうがないんですよ(笑)。

――でもこの「サドスティム」って、歌詞の中には出てこないし。

ZYUN.:そう。みんなが「あの日のサドスティム」って何?って思うだろうけど、僕も思っているから、気持ちは一緒なんです。

――後半のポエトリーでは、「君が生きているだけでうれしくて」って、存在肯定の言葉が入ってますね。歌詞には載ってないけど、すごくしっかり伝わる。ZYUN.くんの曲は向き合う曲だからヘッドフォンで聴く人が多いと思うんですよね。一言も聴き逃さず。こうやって、歌詞カードにない重要なメッセージが隠れていますからね。

ZYUN.:2番のAメロでは、あなたが私を残して死んだら不幸な人生だったって恨むよ?っていうことが描いてあるんですけど、一見怖そうだけど、実際言われたら嬉しいのかなって思うんですよ。

――ちょっとゾクっとしますね。

ZYUN.:最後は声が枯れても唄うと誓うって歌っているんですけど、これは自分自身の歌に対しての思いなんですよね。その1行前には自分が唄う理由が描かれていて。「大丈夫」って言いたいから僕は唄うんです。2曲目の「羅列」は「七つの大罪」(人間を罪に導く可能性があると見做されてきた欲望や感情のことを指すもの)が入っているんですけど、出来上がって聴き取りながら歌詞を書いて、いまだにやめてほしいと思ったのは、「どうしてこんな難しい漢字を羅列したんだ!」と(笑)。ライヴで歌えるの?っていう疑問が(笑)。

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