YOSHIKIのアーティスト人生の加速が目覚ましい。PATA復帰とともにステージに立ったX JAPANとしての活動や、ソロアーティストとしてのYOSHIKIクラシカル活動に加え、<VISUAL JAPAN SUMMIT>の開催、YOSHIKIMONOの<東京ファッションウィーク>参加、世界に向けた新たなビジュアル系ガールズバンドLady's Xのプロデュース、マリリン・マンソンをはじめとした様々なアーティストとのコラボレーション、そして頻繁なニコ生出演…と、その多彩な活動には枚挙に暇がない。その合間を縫ってアルバムのレコーディング&ミックスを進め、世界各国の映画『We are X』の映画祭への登壇を重ねている状況だ。

◆YOSHIKI画像

当然疲労は重なってるはずなのだが、今のYOSHIKIはまさに無敵状態。疲れを見せずバイタリティに溢れ、いきいきとした表情を見せる。ツヤ肌もよく、むしろこれまでのいつにも増して神がかった好コンディションであることが、みなぎる表情から窺い知れる。

そんな2016年秋、VAMPS主宰<HALLOWEEN PARTY 2016>にサプライズ出演した翌日の10月31日、ハロウィン祭もピークを迎える東京都内で多忙なYOSHIKIをキャッチ、直撃した。


──とにかく忙しいですね。

YOSHIKI:明後日はニューヨークに行きます。11月3日に<クリティクス・チョイス・アワード>という米放送映画批評家協会が選ぶベストドキュメンタリー賞にノミネートされまして、その授賞式…受賞するかどうかはわかりませんけど、プレゼンターも行うので、それで行きます。11月4日には『We are X』の公開がニューヨークで始まりますので、数館で映画が終わった後に質疑応答し、5日には香港に向かいます。

──香港も『We are X』ですか?

YOSHIKI:それは、香港で行うクラシックコンサートの記者会見です。そのあとまた日本に来ますよ。

──先日、大々的に開催された<VISUAL JAPAN SUMMIT 2016>は大盛況でしたが、手応えはいかがでしたか?

YOSHIKI:もう、出演いただいたアーティストに感謝・感謝・感謝です。そしてファンの人達にも感謝・感謝・感謝ですね。先頭を切ったのは僕かもしれないですけど、その後を支えてくれたのは彼らで、どちらかと言うと僕は支えられた立場だった。要するにあれは、元々みんなの中にあったエネルギーだったんだと思います。バンドにとってもファンの人達にとっても。

──潜在的にあったもの?

YOSHIKI:そうです。一堂に会する場がなかっただけ。そこでみんなが一気に爆発したんじゃないですか?自分でも凄いと思いました。若いバンドもベテランの人も、彼らのやる気もそうですし、ファンの熱狂度も凄い。ヴィジュアル系という団結感もすごかった。自分でも「なんか凄いことをしてしまったんだな」って思えて良かった。

──“エクスタシーサミットの再来”という感覚が強かったですか?

YOSHIKI:あの頃は、「他のジャンルと闘う」とかそういう意識はまったくなく、とにかく「当時のビジュアル系を盛り上げたい」というだけでやっていたものだから、今回も気持ちの上では近いものがあったかもしれないですね。もっと言ってしまえば「とにかく楽しんじゃえ」というものだから。

──“何も考えず”にね。そういうスピリットでしょう?

YOSHIKI:そうですね。そうだったかもしれませんね。初日(の無敵バンド)にジーン・シモンズ(KISS)が出てくれたじゃないですか。あのあと話をしたんですけど、アメリカでは「こんなイベントはない」と言っていました。

──アメリカはフェスのメッカですけど。

YOSHIKI:そうなんですけど、アリーナクラスからライブハウスのバンドまでが同じステージに集ってライブを行うことがアメリカでは無く、「YOSHIKIはなんでこんなことができるんだ?」って言っていました。「いや、楽しいじゃん」って言ったんですけど、「各マネージメントの思惑とか政治的なことがたくさん絡むから、今の時代ではこんなイベントはもうありえない」と凄く感動してくれたんです。「そういう包容力を持っている君たちは、何を考えているんだ?」って言われたので、「いや何も考えてない」って(笑)。

──ジーンも感動したんですね。

YOSHIKI:「世界で色んなトップ・アーティストを見てきたけど、君たちは絶対世界で通用する」って言ってくれました。それはX JAPANに限らず、日本のヴィジュアル系のことを指してのことと思います。

──ジーン・シモンズはヴァン・ヘイレンをも発掘した人物ですから、説得力がありますね。

YOSHIKI:うれしいですね。

──あの3日間は、いろんなコラボもありましたが、ほとんど練習はできなかったとか?

YOSHIKI:当日楽屋でやっただけで、ぶっつけ本番です(笑)。


──何も考えず勢いでやってしまうのは、“無敵と書いてエクスタシーと読む”スピリットということ?

YOSHIKI:はい。ただね、音楽的なスキルはあると思うんです。例えば「ゴールデングローブのテーマ」を作曲したときも作曲から完成まで2週間くらいしかなかったけど、要は、いつでもどこでも“常に準備ができていなければいけない”わけです。

──パッと引き出しを開けたら、すぐに結果を出せる、みたいな?

YOSHIKI:僕は今、世界で闘う戦場にいるわけで、「どこで何が来てもいつでも闘えなくちゃいけない」という気持ちができていますんで、セッションくらいの楽曲であれば、本番3時間前からでもできなきゃダメということだと思います。<OZZFEST JAPAN 2015>でジェーンズ・アディクションに飛び入りした時も、アメリカから帰っていた当日でしたから、本番1時間前に楽屋で打ち合わせをしただけだったし。

──気が付いたらそういうスキルが身についていた?

YOSHIKI:いや、まだまだ学ばなければいけないでしょうけど、日頃からそれはいつでもできなきゃいけないと思っています。

──<VISUAL JAPAN SUMMIT 2016>ではHYDEとのコラボも大きな話題となりましたが、HYDEは「YOSHIKIはある種の天才」とBARKSのインタビューで語っていましたよ。

YOSHIKI:いやいやそんな(笑)、ありがとうございます。“天才となんとかは紙一重”ですからね(笑)。

──そんなことは誰も言っていませんが。

YOSHIKI:やっぱり僕にはToshIという素晴らしいボーカリストがいて、自分の中でToshIだけをみてToshIだけのことを考えて楽曲を作ってきた。これからも、ToshIの一番いいものを引き出せるようなものを作っていくと思うんだけど、ここ最近はマリリン・マンソンなどいろんなコラボをさせてもらい、今回HYDEと一緒にやることで、それは凄く刺激になりますよね。また違った意味での凄いボーカリストとコラボできて、「あ、こういう表現方法もあるのか」とかね。実際にその場でいろいろやっていると、「ああ、こういう声ってあるんだな…」って気付かされます。凄く刺激的ですよ。


──<VISUAL JAPAN SUMMIT 2016>からは、いろんな発見もあったようですね。

YOSHIKI:一筋縄ではいかなかった面もいろいろあるんですけど、HYDE、ゴールデンボンバー、hide with spread beaverと共演させてもらった。清春にも出てもらったけど彼の演奏も素晴らしかった。みんながやってくれたなあ。

──オーディエンスもとても楽しそうでした。

YOSHIKI:<VISUAL JAPAN SUMMIT 2016>の翌日は<Amazon Fashion Week TOKYO>のオープニングイベント出演があったから、それも準備は大変だったんですよ。<VISUAL JAPAN SUMMIT 2016>の本番を進行させながら、幕張の違う会場でそのリハーサルを同時進行していたから。X JAPANの本番30分前までYOSHIKIMONOのイベント・リハをやっていた。

──それは凄い。


YOSHIKI:楽屋にピアノもドラムも持ち込んで必要な練習もしながら、進行チェックをして、その合間にニコ生のYOSHIKI CHANNELもあったから、ちょっと大変でしたね。夜は海外から招いた20社のメディアと食事会をして、マーティン・スコセッシと会って、その日の夜にロサンゼルスに帰りました。LAでは『We are X』を上映していたので、空港からそのままスクリーニング会場に直行して、ピアノを演奏しましたよ。さすがに死にました(笑)。

──ほんとすごいな。

YOSHIKI:元々、『We are X』がこんなに世界中の映画祭から招待されることになるとは思っていなかったんで…。11月にはアムステルダムにも行かせていただきます。このあたりも想定外だったから全部のスケジュールが重なっちゃった。カーネギーホールも「来年、どこかでできればいいね」って言っていたんですけど1月に決まったので。

──年末年始に開催される<YOSHIKI CLASSICAL SPECIAL WORLD TOUR>はどのようなステージになりそうですか?



YOSHIKI:基本的には、今回はオーケストラですね。X JAPANの楽曲をオーケストラ・バージョンで何曲か。他、天皇陛下御即位10年奉祝曲「Anniversary」や「ゴールデングローブのテーマ」、あとはベートーヴェンやショパン…ショパンは間に合うかな…、あとチャイコフスキーとかクラシック楽曲もオーケストラと一緒に演ります。

──X JAPAN作品のオーケストラ・バージョンは、新たに譜面に起こしているんですよね?

YOSHIKI:起こしています。それも同時進行でやっていますよ。オーケストラの場合、基本的にまず四重奏を書くんです。そうするとそこから一気に広げられるので。今回、四重奏/六重奏を書いて、そこから「これをフルートにしようかな…」とかアメリカのアレンジャーと一緒に進めています。その作業は<VISUAL JAPAN SUMMIT 2016>の楽屋でもやっていました。

──四重奏の譜面を書くという行為は、ロックアーティストには縁遠いものですが、これはピアノから学んだものですか?

YOSHIKI:というか、僕はもともと譜面で楽曲を書きますからね。ピアノも使わない場合が多いから。音大に行くつもりでいましたし、それなりのスキルは身につけていたので…。絶対音感があるので音を聞けば全部譜面にかけますし、その逆もできるということかな。X JAPANの曲も先に譜面で書いたものですし、ドラムも99%譜面になっていて、譜面通りに叩いているだけなんですよ(笑)。

──普通じゃないなぁ。

YOSHIKI:はは(笑)。SUGIZOにも言われましたよ「X JAPANの曲って基本的にアドリブがないですよね」って。全部譜面になっちゃっているんで。全部計算されています。縦のライン、横のライン。

──そういえば、99.5%だったはずのニューアルバムの完成度が、なぜか下がってしまっているという噂を聞いたんですが、それって…

YOSHIKI:え?それはなんだろ。SUGIZOが言ってました? 多分、新曲「La Vinus」が加わった話じゃないかな。「La Vinus」は『We are X』のエンディング・テーマです。「こんな素晴らしい映画なのに、なんで新曲がないんだ」って言われまして、いや「JADE」も新曲だし「Born to be free」も「I.V.」も新曲なんだって言ったんですけど、「いや、もっと新しい曲を。映画のために新曲は必要だよ」と言われまして。で、急遽書きました。

──その曲の完成度は?

YOSHIKI:映画用のミックスは終わりました。間に合ったんです。でもCD用のミックスはまだ終わっていないです。

──え?同じじゃいけないんですか?

YOSHIKI:いやいや、映画用のミックスは使われている部分だけなので、1分30秒くらいかな。実際の曲は5分位あるので。時間がなかったので、必要な部分だけ先にミックスしちゃったんです。

──なるほど、ではその完成を待ってアルバムの登場ですね。

YOSHIKI:待っていてください。今やっていますから。


──<VISUAL JAPAN SUMMIT 2016>の発表を行った7月25日、記者発表会のあとにSUGIZO/TAKURO/YOSHIKIの合同インタビュー取材を受けて、そのあと都内スタジオに急行し「La Vinus」の生オーケストラのダビングを行ったでしょう?私も同行し、レコーディング現場で無駄のない試行錯誤と的確な指示出しをしている様子を拝見しましたけど、「なんて忙しい人なんだ」と思っていました。

YOSHIKI:実は、あれからさらにToshIのボーカル録りを行ったんですよ(笑)。ToshIには申し訳ないけど、夜中の2時くらいまで歌ってもらってね。いや、確かに忙しいですね。ここ1~2年、人生でこんなに忙しいことはないというくらい。

──充実のミュージシャン人生ですね。

YOSHIKI:でもね結局、僕なんてX JAPANを解散した時に“一回死んでいる”わけですよ。気持ち的にも、もしかしたら身体的にも死んでいてもおかしくなかったかもしれない。HIDEの死、TOSHIの脱退/洗脳…その時に唯一ステージに戻されたのは、天皇陛下御即位10年奉祝曲「Anniversary」を作らせていただたとき、「もしかしたらまたステージに戻れるかもしれない」と思った。でもファンの人達は、その間もずっと無条件に僕のことを応援してくれ続けていたわけです。その10年間が僕にはでかい。その間、痛みという血の海の中を泳いでいる感覚だったんだけど、いくら泳いでも光が見えない…真っ赤、いや真っ暗な海だったんです。でも今は、光が見えまくっている。そういう10年間の中、ずっとファンの人たちが僕を支えてくれたから、今ここに戻ってこれたと思うんです。つまり“ファンのみんなに頂いた第二の人生”なんです。

──自信みなぎるYOSHIKIに見えるけど、その裏では、不安や自信を喪失してしまいそうな日々もあった、と。

YOSHIKI:そんなのほとんど毎日ですよ。ただ、僕はいつも思うんだけど、不安と自信が50%50%だとしたら、必ず気持ちの境界線を0.01%でもいいから自信の方に持っていくんです。49.99%の不安と50.01%の自信であれば、それはもう自信があるということですから、であればもう「自信」ということにして(笑)進んでいってしまう…そういう生き方です。ファンからもらった第二の人生ですから、一回死んだと思うと怖いものはないというか、もともと僕なんか死んでいておかしくなかったんだと。皆さんに支えられてここまで来れちゃったんだから、ならばもう、とことん行くしかないということです。

──…


YOSHIKI:「明日死んでもいい」なんて思うのは良くないかもしれないけど、こんなスケジュールで動いていたら死んじゃうかもしれないね。でもそのくらいの気持ちでやっていますよね。自分がロックを始めるきっかけとなったミュージシャンと会えるのはワクワクするし、逆に「X JAPANをみてバンドを始めた」と言われることもたくさんあって、今は色んな意味で刺激だらけですよ。ポール・マッカートニーとかU2、メタリカのようなレジェンド達、そして若いミュージシャン達とどちらも同時に接している事にとても幸せを感じるし、どちらからも刺激を受けます。

──まだまだYOSHIKIイズムに限界はなさそうですね。

YOSHIKI:海外で頑張っているとは言いますけど、まだまだまだまだ、です。マディソン・スクエア・ガーデンで一回公演を行ったくらいじゃ、何も変わりませんから。そんなのはまだ、ホントに扉をちょっと開けたくらいで、まだまだだと思います。

──でも今度行うカーネギー・ホールも、大きなスポットが当たる場所ですよね。

YOSHIKI:それはそうですけどね。アメリカで話を聞くたびに「そんなに凄いことなの?」って思って、逆に今さらプレッシャーを感じ始めていますけど(笑)。1日6~8時間くらいはピアノの練習をしたいですけどね…。でも今はそれは至難の業かなぁ。僕のやっている楽器って両方ともでかいんで(笑)。

──ギターは背負っていけますけど、ドラムやピアノは持ち運べないですもんね(笑)。

YOSHIKI:何かにつけて手間がかかります。スケジュール的には半分ヤケクソですけど(笑)、がんばりますよ。

──合間を縫ってニコ生もやっているし。

YOSHIKI:そうだね。あんま考えていないのかも(笑)。意外にね、器用そうに見えて、僕はかなり不器用なので、あまり考えていないかもしれないですね。

──くれぐれも身体に気をつけて。


YOSHIKI:12月6日~8日の国際フォーラム<YOSHIKI CLASSICAL SPECIAL WORLD TOUR 第2弾 -YOSHIKI with Orchestra->は、ぜひ楽しみにしていてください。また何か伝説になるようなコンサートになると思いますので。

──なんだかもう、『We are X 2』という映画もできそうですね。

YOSHIKI:そうですね(笑)。壮絶なものになると思いますよ(笑)。



取材・文:BARKS編集長 烏丸哲也

<YOSHIKI CLASSICAL SPECIAL WORLD TOUR 第2弾 -YOSHIKI with Orchestra->

東京公演
12月6日(火)、12月7日(水)、12月8日(木)
@東京国際フォーラムホールA
開場 18:00 開演 19:00

大阪公演
12月5日(月)
@大阪城ホール
開場 18:00 開演 19:00

チケット:全席指定 ¥10,800(税込)※未就学児童入場不可
http://www.udo.jp/Artists/Yoshiki/index.html

◆YOSHIKI オフィシャルサイト