最新トレンドは、斬新な和楽器サウンド

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アレンジひとつで楽曲のイメージが一新するのはよくある話だが、リオ五輪閉会式で流れた「君が代」のアレンジも斬新だった。従来のイメージを覆す日本の伝統と近未来を感じさせる、テンション・ノートをふんだんに含む密集和音によるパフォーマンスだった。

話題性十分な2020年へのバトン繋ぎとなった「君が代」だったが、現在の音楽業界でもアレンジにひとつのトレンドが生まれてきている。和楽器の再評価だ。これまで「伝統芸能=かしこまった文化」というイメージの和楽器もロックを融合させたことで一変し、これまでにない頻繁な起用とともに、次々とメジャーデビューを果たすアーティストも増えている状況にある。

9月28日日本テレビ「スッキリ!」では、国内のみならず海外でも活動する“和楽器バンド”を筆頭に、和太鼓集団“DRUM TAO”、和風ユニット“竜馬四十奏”が紹介され、スタジオでは美人すぎる尺八奏者“辻本好美”が生演奏を披露していた。11月2日には、NHKで「ももクロ和楽器レボリューションZ」が放送され、ももいろクローバーZの楽曲にも和のテイストが加えられている。

近年では、Abingdon boys schoolが和の要素を導入し、嵐もライブに和楽器を採り入れている。美人ヴァイオリニストの石川綾子もクラシックの中に和楽器の音色を落とし込むことに成功し、異例の世界観を実現させている。11月16日に発売される新作アルバム『SAKURA SYMPHONY』では超絶技巧のヴァイオリンと和を融合させ、その演奏には、和楽器バンドから筝のいぶくろ聖志、尺八の神永大輔が参加しており、本格的な和楽器とのコラボレーションが図られている。



斬新なアレンジが満載のアルバムだが、石川綾子はジャケットでも和服姿にヴァイオリンを持ちクラシックと和の融合を表現している。AKB48「フライングゲット」のカバーでは、箏、津軽三味線の女性和楽器奏者との共演が斬新だ。

和楽器の魅力はまだまだ広がりを見せており、和楽器バンドの総合プロデュースを手がけるエイベックスの武氏喜継は「これまで楽曲制作のスパイスとしてスポット的に取り入れられていた和楽器の音色が、和楽器バンド以降主役に躍り出つつある。これからはギター、ベース、ドラムだけでなく、和楽器を志すバンドマンも現れるはず」と語っている。


2020年に東京五輪を控え、日本文化の再認識も高まりつつある中で、和のサウンドの異色の融合は、またひとつ日本が生み出す貴重な音楽文化の一端になるかもしれない。

石川綾子『SAKURA SYMPHONY』
11月16日発売

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