【速レポ】モンパチフェス＜WWW!! 16＞、THE King ALL STARSが漂わせるキングの風格

低く響くドラムとエレキの音に合わせて、全身黒で統一した衣装に身を包みメンバーが登場、すかさず演奏を始めた「ミザルー」のイントロで加山雄三（G、Vo）のギターソロがいきなり炸裂する。歓声が巻き起こった会場のテンションは一気に上昇、気が付けばエリアは人であふれていた。最後もリフが印象的な加山雄三のソロで締める。まさにキングの風格だ。

◆THE King ALL STARS画像

間髪入れずに次曲の「CRAZY DRIVING」へ。まさに音がドライブするような疾走感あふれる一曲だが、堂々たるステージングを見せる加山雄三の姿に、思わず「かっこいい」と口からこぼれた。それぞれに一流のステージ巧者のメンバーばかりだが、やはり加山雄三の存在感はひときわ大きい。

佐藤タイジ（G、Vo）がボーカルを取る「I Feel So Fine」を経て、4曲目の「SWEETEST OF ALL」へとなだれ込む。加山の声量にあふれ、深みのある声とロックンロールサウンドがはまる「ごきげんなナンバー」という言葉がぴったりの一曲だ。

「ぼくが大好きな沖縄に来られて、大勢のお客さんが来てくれて、天気もいいし、気分もいいし、最高だ！」──加山雄三


本当に楽しそうな表情をしている加山雄三のMCに、観客も大歓声で応えていた。名曲カバーの「Rip it up」では、このバンドの凄みを見せつけられた思いだった。これだけのメンバーがそろっているのだから当然といえば当然なのかもしれないが、山本健太のピアノ、ウエノコウジのベース、武藤昭平のドラムも、欲しいとき欲しいところにぴたりとくる。

「ロック系好きか？ King ALL STARS好きか？」と加山雄三がおもむろに問いを投げた。歓声で応える客席の反応に、満足そうな表情を浮かべたまま「夜空の星」へ。2番に入る直前に、加山雄三の呼び込みでキヨサクが歌いながら登場する。曲の終了後、「キヨサクありがとう！彼もバンドの一員だから」「ご本人登場みたいな出方ですみません…」「ボスだから彼は」「いやいやいや」と、親子ほど年の離れた二人が、仲のいい友達のような微笑ましい光景を繰り広げた。


次曲では、演奏中になんとスチャダラパーが登場するサプライズが起こった。「スチャダラパー、盛り上げにやってまいりました」とBoseが叫ぶと、客席からも驚きの歓声があがる。続けて「さあさあみなさん盛り上がる準備できてますか、コール＆レスポンスいっていいですか？」「セイホー！」「セイ若大将！」と観客をのせ、宣言通り大盛り上がりが繰り広げられる。加山雄三とBoseの軽快なやり取りの途中に飛び出た「俺もあと半年で80（歳）だからな」との言葉に、「えー！」と驚きの声が会場中に響きわたった。

続いてキヨサクが作詞／作曲を担当したミドルテンポのストレートなラブソング「continue」が披露された。日も傾きつつある若大将にぴったりのムーディーなシチュエーションで、ギターを置いた加山雄三とキヨサクの歌声が甘く優しくあたりを包み込む。いつの間にか一面を埋めた観客も、ゆったりと身体を揺らし音楽に身をゆだねている。曲調が一転しスチャダラパーのRAPが入ると、客席も手を前後に振って大きく応える。ボーカルも、サウンドも、コーラスもRAPも、そしてもちろん観客の声も、混然一体となって溶け合い、音楽の素晴らしさを実感する瞬間だった。


アルバムのタイトルにもなった表題曲「I Simple Say」で、この揃えることの方が難しい豪華メンバーのライブも終了、最後は加山雄三の正拳突きでステージは終演を迎えた。


取材・文◎島袋寛之
撮影◎(c)WWW16 OFFICIAL




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