【特別対談】分島花音×三澤紗千香、「本質を見極めようとしてくれてる人だなって」「褒め過ぎてない? ホントに思ってる(笑)」

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■カッコよく綺麗で素敵なものに憧れるけど自分は自分にやれることしか出来ない(分島)
■誰にも届かないで終るのはイヤだからたくさんの人に聴いてもらいたい気持ちで歌っています(三澤)


──お互い違う畑だから、刺激的なんだろうね。

三澤:そうなんです! やっぱり、声優というお仕事は、演じるのがお仕事なので、“こういうキャラクターを演じてください”ということに対して、一生懸命答えていかなくちゃいけないんで、あまり自分自身をさらけ出す部分がないというか。でも、アーティストさんって、そこが違うんですよね。分島さんをはじめ、いつも一緒に遊んで頂いてるichigoさんとか、アーティストさんたちの会話を聞いていると、ゼロから作り上げていくということをやっているんだなっていうのが伝わってくるので、本当にすごいなって思うんです。そういう話を聞いているだけで刺激になるというか。楽しいし、すごく勉強になるし。だから、めっちゃいつも聞きまくっちゃうんです、いろんなこと。

分島:私は逆に演技とか全然出来ないんで、三澤さんすごいなぁって思っちゃいます。

──いや、でもね、花音ちゃんとかはまた特別アーティスト性が高いというか。あの入りきった歌唱は天才的だと思うし、ある意味演じているのかと思うほどの普段とのギャップ。

三澤:そこです! そこがいいんですよね、分島さん!

──そうだね。普段これなのにね。

三澤:あははは。これって(笑)。

分島:あははは。そうなんです! 残念なことに“これ”なんです(笑)。

三澤:でも、ホントそうなんですよね。何回もライヴを見せてもらっているんですけど、MCは本当に普段こうして喋ってるまんまなので、びっくりするんですよね。カッコ良くキメた後、“ねぇ~”って、すっごいポワ~ンとした感じで喋りだすから。

分島:あははは。台無しだな(笑)。

三澤:いやいや、台無しじゃないですよ。そこがいいんですって! 例えば、“次は会場大きいから、みんなも一緒に頑張って盛り上げてね!”って言うのがきっと普通だったりするんでしょうけど、分島さんの場合、“次、会場大きいんだけど、大丈夫かなぁ? 大丈夫だと思う?”って、いきなりMCで相談し始めるんですよ。そこがいいんです。私も分島さんのそういうとこが好き。あ、親近感持ってもいい人なんだなって、人間として好きになれるんです。

分島:ありがとう。あ、いいこと思いついた。アテレコしてよ! MCで喋るとき、元気いい感じで、三澤がアテレコしてよ(笑)。

三澤:え!? “(めちゃめちゃ元気に)みんな~っ! 楽しんでるぅ~?”ってですか?

分島:そうそう(笑)。

三澤:アーティストイメージ変わっちゃいますよ。分島さんは、何を秘めてるか分からないところがミステリアスでいいんですから。


──何を秘めてるのか聞いてみて。

三澤:そこ、知りたいですよね。でも、そこはきっと教えてくれないと思いますよ。でも、聞いてみます? 何を秘めてるんですか?

分島:あははは。何も秘めてないよ~(笑)。このままだよ~。なりたいものになれなかった成れの果てだよ。

──あははは。何になりたかったの?

分島:カッコイイものにも、綺麗なものにも、素敵なものにも憧れるし。でも、自分は自分にやれることしか出来ないから。女の子って小さいころから誰しも変身願望があると思うんですよ。魔法少女に憧れたり『セーラームーン』に憧れたり。自分の憧れの何かになりたかった、そういう気持ちみたいなものが、ライヴでのパフォーマンスになると思うんですよね。だから、きっと私もそれで。だから現実とのギャップが激しいんだと思うな。

三澤:いやぁ、そこが人間っぽくっていいと思うんですよね。

分島:ライヴは非日常だっていうコンセプトでライヴしているので。でも、MCだけは普段の私だから(笑)。三澤さんがやっている声優のお仕事って、いろんなものを対象に演じなくちゃいけないでしょ。自分の憧れだけじゃない対象のものを演じていくこともあるわけで。それをちゃんと演じられるのもすごいなって思う。プロだなって。自分のパーソナルじゃないものを演じているわけだもんね。私のように、思い描いたものを形にするっていう世界とは、また別だと思うから。

三澤:いやいや、自分が思い描いた世界を形に出来るって、すごいなって思います、本当に。ゼロからですものね。

分島:私は自分の好きなことを発信しているだけだけど、三澤さんは、求められるいろんなものに対して応えている人だから。求めてる人たちが求める以上のものを三澤さんは返せる人だから、本当にすごいなって思うから。

三澤:褒めてもらった。やった~! 私は逆にクリエイティブなことに憧れます。もちろん、与えられた1を1,000にすることもやっていきたいことではあるんですけどね。私が歌を歌っているときは、演じている部分もあるし、売りたいし、自分が売れなかったら、誰にも届かないまま終ってしまうから、とにかくたくさんの人に聴いてもらいたいっていう気持ちで歌っているんです。届かなくてもいいから、ただ歌いたいだけっていうのとは違うから。届けるまでが歌だし、表現かなと思っているので。そのためには、自分がより注目度を集める人間になっていかないといけないなって思っていて。ラジオが出来ます、歌が出来ます、声優が出来ます、芝居も出来ます、顔出しが出来ますって、いろんなところで名前を売っていって、違う分野でも、“三澤ってこういうのも出来るんだ”って興味を持ってもらったら、私の本心が初めて伝わるんじゃないかなって思っているんです。そうやってチャンスが増えていったらいい。今回のベストアルバムの1曲目の「アラウド」っていう新曲は、それが伝わってくれるんじゃないかなっていう1曲になっていると思うんです。“いろんなことをやってきた今の私が、こういう気持ちで、こうやって歌ったからこそ”、っていう気持ちで歌えるというか。歌ってきて良かったなって思えるというか。


──「アラウド」も花音ちゃんの作詞だよね。デビュー曲の「ユナイト」も新曲の「アラウド」も、紗千香ちゃんの中ですごく大きな存在になってるのは嬉しいよね。

分島:うん。すごく嬉しいことですよね。ありがとう。

三澤:いえ、こちらこそです。「ユナイト」から「アラウド」になって、今の三澤を分島さんに書いてもらったので、すごく嬉しかった。デビューのときも知ってくれてる方が書いてくれたっていうのは、すごく大きなことだと思っていて。声優仲間にも、家族にも言えなかった展望とかも、分島さんには全部話してきたので。

──紗千香ちゃんにとって花音ちゃんは、すごく大きい存在なんだね。

三澤:すごく大きいですね、本当に。さっきも言ったんですけど、私は本当に自分の展望とかは、とにかくひた隠しにしたい方なんですよ。でも、分島さんには何故か素直になれるんです。

分島:ありがとう。でもね、やりたいと思っていることとか、展望は、口に出して言っていった方がいいと思う。私もね、若い頃は、そういうの言うのが恥ずかしかったし、カッコ付けたいし、言いたくなかったんだけど、言っていけば、それがきっかけで自分のやりたいことに繋がることもあるんだって思うようになったの。それこそ、きっかけだったりチャンスだったりになると思うよ。やりたいってことを人に話したことで、その人がそういうきっかけがあったときに、自分のことを思い出してくれて、“こういう話があるんだけど、やってみる?”って言ってくれることもあるだろうし。だからね、ちゃんとやりたいと思ってることは、口に出して言った方がいいと思う。

──素晴しい助言だと思うよ。今、この瞬間だけは、立派な長女だったよ、分島花音。

三澤:すごい大人! 分島さんも昔は言えなかったんですか?

分島:言えなかったっていうか、言うのが恥ずかしかったかな。でも、私も助言してもらって、そうだなって思ったの。1回しかないからね、人生は。

三澤:そうですよね。

分島:“この人と仕事したい!”って言ってたら、叶うかもしてないからね。でも、言わなかったら、そう思っていることすら伝わらないから。

三澤:そうですよね。なんか、発言しちゃいけないのかなって思っちゃう自分もいて。

分島:自分がそれを言うことで、誰かが傷つくとか、そういうことだったら言わない方がいいし、言っちゃいけないことだと思うけど、そうじゃないなら、ちゃんと自分の想いは伝えるべきだと思うよ。

三澤:そうですね。なんか、ちょっと前向きになれました。ありがとうございます。演技も歌も全部好きだし、全部やりたいんです。

分島:そういうのもあったんだね。でも、大丈夫だと思うよ。だって、三澤は全のことにちゃんと一生懸命だし、どれも力を抜いてなんかいないし、精一杯やってるって思うから。だから、きっと誰もそんなこと言わないと思うよ。

三澤:嬉しいです。ありがとうございます!

分島:いろいろと考え過ぎちゃうと悩んじゃうよね。私も人から言われるんだよ。“やれることがあるんだから、全部やったらいいじゃん”って。作詞提供もそうだし、自分の曲や歌詞を作ることももちろんだし、私の場合、やりたいことというか、やれることのカードをいっぱい持っているが故に、全部をやろうとするとやりきれなくなっちゃうのね。だから、やれる範囲でしかやってない。時間がないからね。これをやるには、こっちを止めなくちゃやれない、ってことが多いから。何を優先するかや、タイミングをちゃんと考えないと、いっぺんには出来ないから。でも、やりたいことはたくさんあるよ。

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