【インタビュー】PENICILLIN、結成25周年第1弾に「1度の人生、死にもの狂いで」

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2017年2月に結成25周年を迎えるPENICILLINが、アニバーサリー第1弾となるミニアルバム『Lunatic Lover』を2016年11月9日にリリースした。TVのバラエティ番組『有吉反省会』出演がキッカケとなって生まれた楽曲「戦慄迷宮」を含む本作には、キャリアに甘んじることなく挑戦し続けるPENICILLINの飽くなき好奇心が貫かれている。

◆「戦慄迷宮」ミュージックビデオ

ポップセンスと激しさ、艶っぽさが絶妙のバランスでブレンドされた同作は、数々の音楽的冒険を実戦してきたPENICILLINの新たな第一歩。インタビュー後半では思わぬ方向に話が転がっていき、3人の結束の固さとバンドが続いてきた理由が自ずと浮き彫りになった。

   ◆   ◆   ◆

■プログレッシヴな雰囲気ってありそうでなかった
■今、そこに行くのはカッコいいなと──HAKUEI

──ミニアルバム『Lunatic Lover』は結成25周年目前の記念コンセプトアルバムということですが?

千聖:コンセプトアルバムというと歌詞の内容が物語になっていると捉えられがちですが、今回はそうではなくて25周年のアニバーサリー第1弾というイメージですね。

HAKUEI:第一歩というか。

O-JIRO:25周年に向かう活動のコンセプト其の一みたいな(笑)。

千聖:前回のシングル「Stranger」からの流れを含む、気合いの入った作品になりましたね。

▲HAKUEI(Vo)

──PENICILLINらしい激しさもありつつポップでみずみずしくて、楽曲のクオリティの高さと両立させていますが、ミニアルバムを作るに当たってのキーワードや共有したことはありますか?

千聖:まず、キッカケとしてTV番組『有吉反省会』に出演したときの流れで、「戦慄迷宮」という曲を作ったことは大きかったですね。番組のために収録日前日に慌てて僕が自宅で、アコースティックギターでワンコーラス(※1番の意味)を作って。それを番組で軽く演奏したんですが、その時から若干、妖しげだったり、おどろおどろしい雰囲気とPENICILLINの持つメロディの美しさを兼ね備えた曲にしたいという、そういうことをちゃんとイメージしながら作りました。おそらくこれを聴いたメンバーも漠然と持っていたと思うんです。

──なるほど。1曲目の「Lunatic Love」は幻想的でプログレッシヴロック的な要素もあり、ピンクフロイドに通じる世界観があるというか。

千聖:ピンクフロイドって最大の褒め言葉ですよね。

O-JIRO:そうだね。

──“Lunatic”という言葉がピンクフロイドの代表作「狂気」とリンクしたというのもありつつ、情景が浮かぶエフェクティヴなギターが印象的だったので。

千聖:この曲、JIROさんが作ったんですよ。

O-JIRO:以前はPENICILLINでインストを作る時はライヴのSE的な感覚で考えていたんですけど、最近は真ん中に来てもいいなと考えるようになったので。1曲目に来るとはイメージしていなかったんですが、結果、この曲が最初に来ることによってアルバムにフラットに入っていけるかなって。前半の部分が僕で後半を千聖くんが作ってるんです。

千聖:最後に激しくなっていく部分は僕ですね。

O-JIRO:激しさと美しさの両方を兼ね備えている今作のいい導入部にはなったかなと思います。

千聖:デモテープではJIROさんがものすごくアグレッシヴというかアバンギャルドなギターソロを弾いていたんですよ。

O-JIRO:僕のウルトラへたくそなギターが(笑)。

千聖:あのフレーズを超えられなかったのが残念です(笑)。

O-JIRO:それをちゃんと活かして弾いてくれたんですよ、僕は“こんな感じのイメージなんですが”っていうつもりで弾いただけなんですが。

▲ミニアルバム『Lunatic Lover』Type-A

HAKUEI:実際、デモにはずーっとJIROさんのギターソロが入ってたんです。TVの『はじめてのおつかい』の子供じゃないけど、一生懸命にずっと違うフレーズを弾いてて(笑)。それが繰り返しじゃなく、どんどん変化していくんですよ。すごく気持ちが伝わってきましたね。

O-JIRO:嬉しいことに前半のベースも僕がデモで弾いていたフレーズが採用されたんですよ。

千聖:さっき言ってもらったようにJIROさんが情景の思い浮かぶ感じで作ってくれたから、味のある感じになってますね。そこにHAKUEIくんが面白いメロディを付けてくれて。

HAKUEI:SE的なアプローチの曲は今までも何曲も作っていますけど、こういうプログレッシヴな雰囲気ってありそうでなかったなって。今、そこに行くのはカッコいいなと思いましたね。

──ドラムから始まるイントロも印象的ですね。「Lunatic Love」からエキゾティックなギターの「戦慄迷宮」に移行するのも自然な流れで。

HAKUEI:さっきも話に出たようにTV番組に出演した時に流れで富士急ハイランドのお化け屋敷『絶凶・戦慄迷宮』に行くことになりまして、ホントに怖かったんですけど、それがキッカケで「テーマ曲みたいなの出来ます?」っていう話になって。番組の中でアコギと歌だけでワンフレーズ演奏したのが始まりなんですよ。その流れの中で富士急ハイランドさんからも「一緒にやりましょう」って話をいただいて、今回のミニアルバムのジャケットや楽曲のミュージックビデオも「絶凶・戦慄迷宮」の中で撮ってるんです。

──ジャケット写真やミュージックビデオまで?

HAKUEI:そうなんです。曲に関してはスタジオでチラッと演奏しただけですけど、良い曲だと思ったし、ダークファンタジーのイメージなのにメロディはポップでキレイだから面白い曲になるんじゃないの?って完成させていきました。歌詞は戦慄迷宮の中を仲間と一生懸命進んでいく情景とリンクさせて書きましたね。

◆インタビュー(2)へ
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