【ライブレポート】THE NOVEMBERS、11周年の11月11日に刻んだ「これまでとこれから」

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THE NOVEMBERSが11月11日、ワンマンギグ<11th Anniversary & 6th Album Release Live 『Hallelujah』>を新木場スタジオコーストにて開催した。

◆THE NOVEMBERS 画像

9月に発売された6枚目のアルバム『Hallelujah』はこれまでの集大成と言える大作だ。そんな作品を携え9月から10月まで全国6都市を回ったワンマンツアー<11th Anniversary & 6th Album Release Tour “Hallelujah”>を経て辿り着いたこの日は、レコ発ギグの東京公演であり、結成11周年の11月11日という二度とない記念日でもある。会場ではバンドの歴史を辿ったパネル展も開催されたが、当の本人たちは感傷に浸る様子などまったく見せなかった。





入場SEであるジェフ・バックリィの「Hallelujah」が流れるとメンバーが早速オンステージ。日頃あまりMCをしない小林祐介(Vo&G)は、演奏に入る前「来てくれてありがとうございます」と言った。この言葉は終演までに何度も繰り返され、観客への感謝をしきりに伝えていたのが印象的だ。

1曲目「Hallelujah」に入ると、大きなビートに乗った歌声がスタジオコーストの天井を突き破るように高らかと伸びてゆく。「風」「1000年」と続き、「!!!!!!!!!!!」ではハードコアパンクの破壊衝動をこれでもかと叩きつけてゆく。ライブならではの高揚も相まって、この種の曲における勢いは音源とは別物。まるでその場で命を燃やすかのような狂暴さがある。

「愛はなけなし」「ただ遠くへ」とポストパンク/ニューウェイブの気怠い煌めきを鳴らし、「未来について歌った曲を聴いて下さい」(小林)と「GIFT」へ。これは2012年に発売された3rd EP『GIFT』の表題曲だが、“まだまだ僕らは まだまだこれから”という歌詞がリアルに聴こえた。





約10年前に書かれた「ブルックリン最終出口」、儚く踊らせる「きれいな海へ」を経て、ここからは「ガンガンいきましょう」(小林)と爆走モード。特に「dysphoria」ではケンゴマツモト(G)が拳で心臓を叩く仕草やキックのアクションをしながら無骨でゴリゴリなカッティングを炸裂。その姿と音からはこれがロックンロールの魂だ!という鬼気迫る熱気を感じる。また「黒い虹」における青と緑の照明をぶった斬るような小林の咆哮とギターのユニゾンリフも強烈。暴力的カタルシスを爆発させる熱演にここまでで一番の拍手と歓声が湧いた。

あっという間に終わりの時が近づく。「どこかに到達したとか、何かを成し遂げたというより、まだまだこれからっていう気持ちで最後に1曲やるんで聴いてください」、そう小林が語るとラストの「美しい火」へ。シンセ風ギターのポップな旋律とファルセットを交えた美しい歌で本編を締めくくった。


アンコールは小林の弾き語りによる「あなたを愛したい」。ストラトキャスターのコードストロークは、序盤はディレイをかませたクリーン、中盤からはえげつない歪みをオン。終盤はさらにドンッとゲインを上げたのにレンジも広がったような轟音に。これはアンプを複数台使用しているからこそなせる業だと思われるが、切り替わった瞬間の衝撃と、深遠な音の渦に包まれる感じは鳥肌ものだ。

「たぶん一生やらないと思う(笑)」とメンバー紹介をして再び4人が揃うと、「お互い良い時間を過ごして、また良い未来で会いましょう」(小林)というMCのあとに「いこうよ」を披露。これで終幕かと思いきや、今夜はなんとダブルアンコールを実施。「今日も生きたね」で本当のフィナーレを飾った。



結成11周年を迎えたTHE NOVEMBERSに、「おめでとう」とは言いたくない。もちろんその気持ちはあるけれど、彼らは過去に二度この会場でギグをしているが、どちらもソールドアウトしていない。そして今回も当日券が販売されていた。『Hallelujah』は傑作だと思うけど、本当の意味で人気に火を付けるようなヒット曲はなかった。彼らはアンダーグラウンドな存在でいることをこれっぽっちも望んでいない。まだまだこれからだ。そのことを、この日の彼ら自身が一番理解していたように思う。

だからと言って売れ線へシフトせずとも、敬愛するザ・キュアーもザ・スミスもBLANKEY JET CITYもTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTもヒット曲を生み出した。それは時代錯誤で奇跡のような話かもしれないけれど、彼ららしいヒット曲が生まれ、もっと大きな会場やフェスの一番大きなステージでその曲が堂々と鳴り響く瞬間は必ず来る。その可能性が彼らにはある。その時まで、僕は「おめでとう」という言葉を心にしまっておこうと思う。

なお、本公演の映像作品を制作するためのクラウドファンディングを12月11日まで行なっている。



取材・文◎秋摩竜太郎
撮影◎Yusuke Yamatani

■<11th Anniversary & 6th Album Release Live 『Hallelujah』>
11月11日@新木場STUDIO COASTセットリスト

1.Hallelujah
2.風
3.1000年
4.!!!!!!!!!!!
5.Xeno
6.愛はなけなし
7.ただ遠くへ
8.時間さえも年老いて
9.236745981
10.GIFT
11.ブルックリン最終出口
12.きれいな海へ
13.鉄の夢
14.dysphoria
15.Blood Music.1985
16.こわれる
17.黒い虹
18.美しい火
encore
en1.あなたを愛したい
en2.いこうよ
w.encore
en3.今日も生きたね

■<BODY -20170113->

2017/1/13(Fri) 代官山UNIT
Open 18:00 / Start 19:00
▼出演
THE NOVEMBERS
Lillies and Remains
PLASTICZOOMS
▼チケット
Adv 4,000yen (plus 1d)/ Door 4,500yen (plus 1d)
一般発売日:2016.11.19(土)
・イープラス
・チケットぴあ:0570-02-9999(Pコード:316-155)
・ローソンチケット:0570-084-003(Lコード:75451)
(問)代官山UNIT 03-5459-8630
THE NOVEMBERS, Lillies and Remains, PLASTICZOOMSの3バンドによる共催イベント<BODY>開催決定。2016年3月に開催した前回<BODY>はPLASTICZOOMSがドイツで活動していた為にTHE NOVEMBERSとLillies and Remainsにプラスしてゲストバンドを招いての開催だったが、今回は帰国したPLASTICZOOMSも出演、約2年ぶりに3バンドが揃っての開催となる。

◆THE NOVEMBERS オフィシャルサイト
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