【ライブレポート】布袋寅泰、名曲続きの35周年ツアーファイナル「今夜世界は俺たちのものさ」

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布袋寅泰が、<布袋寅泰 35th ANNIVERSARY『8BEATのシルエット』2016 【BEAT7】 Maximum Emotion Tour ~The Best for the Future~>と題した全国ホールツアーのファイナル公演を、12月1日東京・NHKホールで行なった。

◆布袋寅泰 ライブ画像

今夏、BOØWY〜COMPLEX〜ソロにおけるオールキャリアを総括する究極の3枚組ベストアルバム『51 Emotions -the best for the future-』をリリースし、初のロサンゼルス公演、そして3年ぶりのニューヨーク公演を成功させ、盟友であるイタリアのシンガー・ズッケロの英ロイヤル・アルバート・ホール公演でギタリストとして憧れの地に立つなど、海外の音楽ファンにもその名をアピールしてきた布袋。今回のツアーは凱旋公演、“JAPANツアー”という名が相応しいものとなった。

ステージには赤一色に染められた鮮やかなカーペットに5つのアンティークなランプと機材たち。開演前にも関わらず、布袋の登場を待ちわびたオーディエンスからの「布袋コール」が沸き起こり、会場内の準備は万全だ。ファンファーレとともにメンバーが入場し、まず躍動するメロディアスなモータウン・ビートナンバー「POISON」をドロップ。スタートからいきなりトップギアが入った強烈なグルーヴが発動、1曲目からクライマックスを迎えるかのように拳を振り上げ続けるオーディエンスの熱さに衝撃を受けた。


「NO.NEW YORK」「BE MY BABY」「SURRENDER」など、語り継がれる名曲ばかりのセットリストに歓喜するNHKホール。なかでもソロアーティストとしての生き様を宣言したダンサブルなナンバー「BEAT EMOTION」に魂を揺さぶられた。“まずまずの人生をこのまま送るか? 二度とない人生を求め続けるか?”というメッセージ。どれも風化せず、いつの時代でもリアルタイムに響くのは布袋が常にチャレンジし続けている精神性のたまものだろう。耳馴染みのあるレジェンダリーな楽曲が、鉄壁のバンドによってグレードアップして再構築されていく。

「ようこそ、布袋35th Anniversaryへ。今日がファイナルです!」「35周年ということで、決して光のように過ぎ去った、そんな風の様な35年ではなかったけれども、その中にいろんな出会いがあり、いろんな経験があり、いろんな戦いがあり、チャレンジがある。そんな思い出が詰まった沢山の曲をみんなと一緒に思い切り今日は楽しんでいただきたいと思います。」と布袋。ツアーファイナルを迎え、超満員のハイテンションなオーディエンスを「同じジェットコースターに乗ったつもりで、最後まで自由に楽しんでいって欲しいと思います。」と力強く煽った。それもそのはず、今回のツアーメンバーは布袋とは新宿LOFT時代からの盟友であるザ・ルースターズのベーシスト井上富雄、デヴィッド・ボウイ・バンドでドラムを叩いていたザッカリー・アルフォード、元ニューエスト・モデルでありソウル・フラワー・ユニオンで活躍するキーボーディスト奥野真哉、ギターにエモーショナルかつテクニカルなプレイで定評ある黒田晃年、プログラミングにはお馴染みの布袋の右腕 岸利至が参加しているからだ。9月にスタートしたツアー初日から大きく進化したスキルフルなパフォーマンスが、これでもかとフレッシュに繰り広げられていく。

歌詞のメッセージが特に心に響いたのが「SERIOUS?」だ。“おめでたい時代さ… 中身がなくて 誰もが気づかずに踊らされてる”という強烈な言葉が突き刺さる。かと思えば「ラストシーン」や「WILD LOVE」のようなメロウでロマンティックなチューンも織り交ぜ、「スリル」では歌詞の一節を“俺のすべてはお前たちのものさ”、“今夜世界は俺たちのものさ”と改変して至福空間は絶頂を迎えたのだった。


アンコールではスペシャルゲストとして、盟友・ズッケロを呼び入れ3曲コラボレーション。布袋がレコーディングに参加した「ティ・ヴォリョ・スポザーレ(君と結婚したい) feat. 布袋寅泰 」での、ソウルフルでブルージーで迫力あるズッケロの歌声と、布袋のシルバーに輝く宝石のように美しいゼマティス・ギターによるダイナミックなプレイに圧倒された。

コラボレーションの余韻が冷めやらぬなか、続けて演奏されたのはシャッフル・ビートでダンサブルなBOØWY時代のポップチューン「ホンキー・トンキー・クレイジー」。布袋が氷室京介のパートも歌い、裏声による自身のコーラスパートも完全に再現。さらに、ロカビリーとラップなセンスを未来的に融合した代表曲「バンビーナ」など、日本ロックシーンを彩ってきた名曲がプレイされていく。まさにベスト・オブ・ベストな瞬間の連続だ。大ヒット曲もレア曲も、イントロが鳴る瞬間に悲鳴のような歓声が響き渡り、オーディエンスの布袋愛を強く感じた。

そして、とどめとなったのは、ダブルアンコールで披露された名曲「LONELY★WILD」だろう。“きっといつの日か 愛の嵐に溺れ 戦った数年間を振り返れると信じて 生き抜いてやれ 昨日と明日の間 お前はLONELY WILD”のフレーズが心に溶け「DEAR MY LOVE」でライブを締めくくった。

「今までたくさんのミュージシャンと出会いました。デヴィッド・ボウイとも1曲だけれど、一緒にできたし。ローリング・ストーンズのライブにも、招待されて共演して。月に辿り着くより難しい事なんじゃないかな。もちろん日本のミュージシャンとも沢山やってきたし、夢がたくさん叶いました。バンドで日本一になるのもそうですし、武道館だったり、解散するのも一つの夢だったんですよね。夢は言葉にして投げた方が良いんです。」──布袋寅泰


なお布袋は35周年アニバーサリープロジェクトを締めくくる第8弾として、35年間の活動を35曲で表現する記念すべきスペシャル・ライブ<【BEAT 8】Climax Emotions ~35 Songs from 1981-2016~>を、愛知・名古屋国際会議場 センチュリーホール(12月22日)、兵庫・ワールド記念ホール(12月25日)、東京・日本武道館(12月30日)にて開催する。ぜひ、世界水準の“HOTEI BAND”による最新で最高のプレイを生で贅沢に体感して欲しい。

文◎ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)
編集◎BARKS編集部
撮影◎山本倫子/ MICHIKO YAMAMOTO

■セットリスト

布袋寅泰 35th ANNIVERSARY
『8 BEATのシルエット』
【BEAT 7】Maximum Emotion Tour ~The Best for the Future~
2016年12月1日(木)東京・NHKホール

1 POISON
2 BEAT EMOTION
3 NO.NEW YORK
4 BE MY BABY
5 SERIOUS?
6 SURRENDER
7 ラストシーン
8 WILD LOVE
9 WANDERERS
10 Stereocaster
11 ESCAPE
12 8 BEATのシルエット
13 C'MON EVERYBODY
14 Dreamin'
15 SCORPIO RISING
16 TEENAGE EMOTION
17 スリル

EN1
18 Partigiano Reggiano [with ZUCCHERO]
19 Ti Voglio Sposare / ティ・ヴォリョ・スポザーレ(君と結婚したい) feat. 布袋寅泰[with ZUCCHERO]
20 Iruben me [with ZUCCHERO]
21 ホンキー・トンキー・クレイジー
22 バンビーナ

EN2
23 LONELY★WILD
24 DEAR MY LOVE
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