【ライブレポート】ASH DA HERO「何十年先もお前らと一緒に」

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ASH DA HEROが2016年12月2日にメジャーデビューから一周年を迎えた。ASH DA HEROのライブを初めて目撃したのは、デビュー直前の2015年10月、コンベンションライブと呼ばれる関係者向けのお披露目ライブでのこと。MCで、会場に集まった大人たちに向けて「好き嫌いが分かれると思うけど、気に入ってくれた人は応援してください!」とASHは言い、この発言も含めた啖呵の切り方がどうにもツボに入ってしまい、興味をひかれたことを今でも覚えている。

◆ASH DA HERO ライブ画像

この一年のASH DA HEROを漢字一文字で勝手に表すと“走”がしっくりくる。2015年12月にデビューアルバム、2016年6月にフルアルバムをリリースし、日本全国でライブやキャンペーンを行なうなど、ASHは、いやASH DA HEROチームはとにかく全速力で2016年を駆け抜けてきた。そして発表されたのがデビュー一周年記念ライブ<ASH DA HERO 1st Anniversary Live BABIES NIGHT 2016 powered by SKIYAKI TICKET>だ。

2016年12月9日、東京・WWW Xは祝福とか愛とか優しさとか、とにかくたくさんのあたたかい想いで溢れていた。この日のコンセプトは“ASHのお城へようこそ”。ロビーにはASH DA HEROのこれまでのポスターや額入りのライブ写真が飾られ、ドリンクカウンターでは特製ドリンクが用意されるなど、ベイビーズ(※ファンの総称)へのおもてなしはバッチリ。ステージにはASH DA HEROの旗がはためくお城がデザインされたバックドロップが張られ、大きな存在感を放っていた。

定刻ぴったりに照明が落ち、SEとして「Overture」が流れる。サポートのバンドメンバーが「You Gotta Power」のイントロを演奏し始めるとASHが登場、ライブが幕を明けた。「2016年で一番最高にHAPPYな夜にしようぜ!」という城主・ASHからのウェルカムスピーチが飛び、会場が熱く揺れる。


アップテンポなナンバー4曲に続き「普段全然やってない曲を今日はやろうと思っている」というフリから、ASH DA HEROとしての処女作である「ALONE」へ。同じくレア曲である「Layla」も飛び出し、こちらでは11月に行なった2マンツアーで披露したというランニングマン(ダンスの振付)を取り入れるなど、おちゃめな一面をのぞかせてベイビーズを沸かせた。

ダンサブルだったり激しかったりと“いろんな味のするロックンロール”を聴かせて楽しませたあとは、「次はASHの“歌”を聴いてもらいたい」とバラードナンバー「GOOD MORNING HELLO GOOD BYE」を披露。1曲の中で声色を使い分け、まるでミュージカルを見ているよう。「大切な人はいますか? 愛する人はいますか? その人の横顔をちゃんと思い出せますか?」という問いかけから「BABY GOOD NIGHT」を優しく語りかけるように歌い、確かな歌唱力と表現力を見せつけた。

しっとりとバラードを聴かせたあとは、「2016年の中で一番でっかい“くそっくらえ”を聞かせてくれますか!?」と煽り「反抗声明」。全23曲のセットリストの中で、“A”のマークが入った赤い旗を掲げて歌ったのはこの1曲のみ。デビュー作のリード曲であるこの曲の歌詞からは、メジャーというフィールドへの宣戦布告の意思も読み取ることができ、自分の名前を高々と掲げながらこの曲を歌う姿に思わず胸が熱くなった。「WAKE UP ROCK AND ROLL」では全員を座らせてジャンプ。「かかってこいや!!」「全然聞こえねーよ!」「口パクか!?」とどこまでも激しく煽り、フロアは熱狂の渦と化していた。

コミカルなメンバー紹介を挟んだあとは、後半戦。ASHがアコースティックギターを持ち(音出しのために「Smells Like Teen Spirit」を一瞬弾くという遊び心もあり)、名古屋にいた頃に作ったという「いつかの街で」を披露。続きのストーリーが描かれた「上京難民」へと続いたのだが、ここでギターの音が出ないというトラブルが起こった。曲を止めてやり直すこともできただろう。しかしASHは、歌詞をフリースタイルのラップにするという策に出た。「ギターが鳴ってないからってそんなもんはまじで関係無い」「これがリアルなライブのやり方」即興で言葉を繋ぎ、そのトラブルさえも極上の見せ場に変えてしまったのだ。1秒後の展開が誰にもわからないという状況を乗り切り、決してもう聴くことのできないこの日だけのオリジナルバージョンとなった「上京難民」のパフォーマンスに、ベイビーズからは惜しみない拍手がおくられた。

MCではメジャーデビューに至るまでに、たくさんの人が力を貸してくれて引っ張り上げてくれたと感謝を語るASH。「全然満足してないけど、一年前にデビューしたときとは全然景色が違って」と今目の前に広がる光景に感無量の様子で「言葉にならないですけど、本当に愛してます。どうしようもなく愛してます」と愛を伝えた。

そして次に披露する「Everything」について「これは決してSAD SONGではない」「でかい理想を掲げたやつの問題提起でもない」と話し、「ごく日常の生活の中でありふれたこととか、見て見ぬふりをしていることとか、そういう些細なことにちょっとでも幸せを感じてもらえたり愛を感じてもらえたらっていうHAPPY SONGなんです。だから、「Everything」という曲はみんなに笑いながら歌ってほしいなと思うんです。」と楽曲に込めた想いを語る。「今夜はみんなで大合唱できたらなと思うんですけど、みんな歌ってくれますか?」ASHはそう言い、ピアノの伴奏と優しい歌声から「Everything」がスタートした。ドラムのフィルインをきっかけにギターとベースが、そしてストリングスの音が伸びやかに広がっていく。鮮やかでカラフルな音の世界が心地よくて、そしてあたたかくて涙がこぼれた。

100年先に自分はいないけど、この歌がASHの名前が未来に続いていってほしいと願う「One Hundred Years Later」を歌いながら、一人ひとりの目を見つめるASH。本編ラストの「HELLO NO FUTURE」のサビでは全員でタオルを投げるという振付があるが、7月に行なわれた前回の東京ワンマンより、タオルの数が何倍にも増えて見えた気がした。


アンコールでは、ASHの片腕として一緒に楽曲を制作しライブでもサポートを務めていた宮田“レフティ”リョウがステージに呼び込まれた。彼もまた2016年に自身のユニット・イトヲカシでメジャーデビューしたことでASHのサポートをすることが難しくなり、この日はライブを見に来ていたが、急遽参加することになったそうだ。そして宮田“レフティ”リョウがアコースティックギターを持ってバンドに加わり「からっぽの街」をパフォーマンス。ASHは久しぶりに同じステージに立てたことを心から喜んでいる様子で、満面の笑みがこぼれていた。

「また来年もここにいるみんなと一緒に祝いたいと思います! これからもASHについてきてください!」と力強いメッセージをおくり、ラストナンバーは「Prologue」。道に迷い、一人になってしまった人へ手を差し伸べるこの曲を歌いながら「約束しようぜ!」とASHは言った。彼の言葉には夢や希望がたくさん詰まっていて、実現させてくれるのだろうと感じることができる。それは一歩ずつ前に詰めてほしいとアナウンスするように指示されたカンペが出たことからもわかるように、フロアは満員だったし、男性ファンの姿が格段に増えていたことなど、ASHの一年の活動の結果を実際に目で見ることができたからだ。

一周年記念という大切なライブのタイトルにファンの総称である“BABIES”を入れたASH。ファンを大切に想う彼の気持ちは、誰に説明されるまでもなくベイビーズたちの心に届いているはず。どこまでも大きな夢を追いかけるASHを、これからも見守っていきたいと思わせられる時間だった。

なお終演後は会場を東京・GARRET udagawaに移してアフターパーティが行なわれた。ASHとベイビーズたちは、きっと一晩中話をしたのだろう。

「本当に今日はありがとう。何十年先もお前らと一緒に」──ASH DA HERO


取材・文◎高橋ひとみ(BARKS)
撮影◎進藤景太

LIVE情報

<NAGASHIMA COUNTDOWN & NEW YEAR’S PARTY 2017>
2016年12月31日(土)ナガシマスパーランド

<ASH DA HERO 2MAN SHOW SERIES 2017「CONNECT X」>
【ACT.1】ASH DA HERO × ???
2017年2月27日(月)東京・TSUTAYA O-WEST

【ACT.2】ASH DA HERO × ???
2017年3月15日(水)東京・TSUTAYA O-WEST

【ACT.3】ASH DA HERO × ???
2017年4月5日(水)東京・下北沢 GARDEN

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