【インタビュー】植田真梨恵、寂しい夜に寄り添える1枚が「今、この時を楽しく、前向きに変える」

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植田真梨恵が12月14日、2ndアルバム『ロンリーナイト マジックスペル』をリリースする。「わかんないのはいやだ」「スペクタクル」「ふれたら消えてしまう」「夢のパレード」といったシングル4作を含む、収録全13曲には“夢”というワードが盛りだくさん。ファンタジーも、理想像も、悪夢も、すべてが“夢”というテーマに集約された。

◆『ロンリーナイト マジックスペル』全曲紹介映像

1stアルバム『はなしはそれからだ』以来、約1年10ヶ月ぶりとなるアルバムサウンドはバリエーションに富んで色彩豊かだ。曰く、「『はなしはそれからだ』は音数の少ない作品だったので、2枚目はもっと音のなかに迷い込んだような空気になるといいなと思った」という数々のナンバーが、より奥行き深く“夢”を描き出して立体的この上ない。アルバムに息づくサウンド&ヴィジョン、“歌うことと作ること”、“魔法の言葉=マジックスペル”の効能について深く訊いたロングインタビューをお届けしたい。

   ◆   ◆   ◆

■“あ、気になってたんや”って
■曲になってはじめて気づかされる

──1stアルバム『はなしはそれからだ』以降、1年で4作のシングルを発表して、いよいよ2ndアルバム『ロンリーナイト マジックスペル』が完成しました。シングルリリース段階から漠然とでもアルバムの内容についてイメージはしていたんですか?

植田:3rdシングル「わかんないのはいやだ」が、このアルバムのなかではいちばん古いシングルなんですけど。これを作った時から、なんとなくアルバム像みたいなものは意識しはじめましたね。アルバムまでに4枚のシングルをリリースしたので、その間に変わってくる部分はありましたけど。最初のイメージとしては、なるべくコンパクトな曲たちがいっぱい入っていて、あっという間に終わるんだけど、内容が凝縮してるようなアルバムですね。「わかんないのはいやだ」も3分ない曲だったんですけど、そういう3分台の曲がたくさん入っていて、1曲バラードがあるようなアルバム、と考えていたんです。そこから徐々に雰囲気を掴んでいって、「WHO R U?」とかに手をつけていったという感じですね。

──今回は“夢”がテーマにあるということですが、それはどの辺りで出てきたものですか?

植田:シングルやカップリング曲や……いろんな曲を書いたり、何気ない日常を過ごしているなかで生まれてくる曲のタイトルに、“夢”が入ってることが多かったんです。「I was Dreamin’ C U Darlin’」も「僕の夢」も「悪い夢」もそうだし、「WHO R U?」も見た夢の話をしてるし。これはもはや夢をテーマに1枚にしたほうが、きっとバランスがとれるアルバムになるなと思いながら、曲を選んで作っていったんです。

──なんで夢が多くなるんでしょうね?

植田:わからないんですよね(笑)。シングル「夢のパレード」もそうだったんですけど、今は、テーマを持たずに曲を作ることが多くなってきて。無意識の、自分のなかでまだ目をつけてないようなワードが勝手にするっと出てきて曲になっているんです。曲になってはじめて、“あ、気になってたんや”って気づかされることが多かったんですよね。今回は、なるべく脳を通らずに書いた曲がたくさんできて。だからきっと、夢ということはずっと考えていたことだったのかなと思うんです。

▲植田真梨恵 画像ページへ

──夢というキーワードにも繋がるのか、今回のサウンドは60年代ポップスやドリーミーな雰囲気もより色濃く感じられて、その音が温かさや懐かしさも呼び起こします。音やサウンドの世界観については、意識的なところがありますか?

植田:歌詞と同じように、ある程度気分で書いているところが多いですね。「I was Dreamin’ C U Darlin’」や「僕の夢」、あとは「犬は犬小屋に帰る」も懐かしい感じがしますかね。このへんは、その時の趣味全開で作ったというか(笑)。何かを狙って、これを売り出すってことは何も考えてなかったんですよね。友だちに宛てて書いていたりとか、何か持て余している夜に書いていたりするので。そこに合わせた気分で作っていったという感じですね。

──その頃、趣味的によく聴いていた作品やアーティスト、ハマっていた人などはいるんですか。

植田:ストリーミングサイトでいろいろと聴いてはいましたね。そういえばこれ、ちゃんと聴いたことあったっけな?っていう、これまであまり手が伸びてなかったものも気軽に聴けるようになったので(笑)。いちばんハマってよく聴いていたのは、ジェリーフィッシュとか。あとは、自分があまり聴いてこなかったような洋楽、例えばニルヴァーナのようなバンドも含めて、結構いろいろ聴いていましたね。

──ジェリーフィッシュは実験的なことをやっているけれど、ちゃんとギターロックでもあったりする。彼らの持っていたポップ性の高さも、どこか今回のアルバムにも通じるところがありますね。

植田:ありがとうございます。

▲植田真梨恵 画像ページへ

──アルバムのオープニングとなる「Intro」ではスペイシーな音響のなかでモールス信号が使われていますが、このモールス信号は意味のある言葉にしているんですか。

植田:モールス信号で打っている言葉は、一応、内緒にしておきます(笑)。深い深い意味があるというより、このアルバムを象徴する言葉です。すごくドキドキしながら、これでちゃんと通じるのかなって。モールス信号を使っている人に、ちゃんと伝わるかなと思って緊張してますね。

──アルバムのイントロダクションとして、このモールス信号はどういう意味合いで使ったんでしょう。

植田:まどろみや無意識のなかに、グーっと入っていく導入がほしいなと思っていたんです。これまでよりもさらに広がっていくイメージもあって。それはブックレット内のアートワークもそうなんですけど、眠っている頭から上に向かって、吹き出しみたいに夢が出てきて。その夢の空の下にみんながいて、いろんな人の頭と夢の空が繋がっているようなアートワークなんです。その夢の空のイメージが紺色で、宇宙のようなイメージがあったので。それも含めて、スペイシーな感じがいいんじゃないかっていう。

◆インタビュー(2)へ
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