OBLIVION DUST、20周年ツアーが<I Hate Rock’n Roll>と冠された理由

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結成20周年を迎えるOBLIVION DUSTが12月17日、甲府CONVICTIONSにて再結成以来最大規模となる全国ツアー<I Hate Rock’n Roll Tour 2016-17>をスタートさせた。

◆OBLIVION DUST 画像

約4年ぶりの新譜となるミニアルバム『DIRT』は生々しくも計算された爆発力を、ここぞというタイミングで意図的に暴走させるようなサウンドが渦巻く快作だ。再結成以降の緻密で流麗な洗練されたロック感を持ちながらも、まったく違うベクトルで練り上げられた方向性は、“原点回帰しながら進化させる”という難題を体現してみせることに成功した。その変化と今後の行く末を占う上で、細かく都市を回るタイプの数年ぶりとなる全国ツアーは意味ありげでいて、不明瞭だったバンドの方向性が垣間見れるのでは?という期待感もあった。


オープニングを飾った「In Motion」から小細工なしで出し惜しみもなし。全力でトドメを刺しにいく姿勢は、しかしロックを熱くほとばせるだけのものではなく、淡々と余裕を持って事を進める冷血な仕事人のごとく有無を言わせぬ迫力を帯びている。いわば、ショーをファンと一緒に楽しむというスポーツライクを拒絶するかのような神経の削り合いを愉悦するステージングだ。元々そういったスリリングさを持ち合わせていたバンドではあったが、ここにきてさらにキラー度が増していることに気づく。そんなメンバーの演奏にすし詰め状態の観客は身体中の汗を霧散させる。音と一体化して暴れ出し、バンドと観客が一つの生き物のような光景を真冬のライブハウスに描き出した。

“ロックンロールなんて嫌いだ”の意味を持つ“I Hate Rock’n Roll”と銘打たれたツアーにあったのはロックの知性と暴力性の結晶そのものであり、本来ロックが持っていた反社会性や反骨精神を現代に復活させたような様相だ。バンドが訴えたいことをアイロニカルに反映させたツアータイトルの意味はここにあるのだろう。彼らはロックを初めて聴いた時の衝動に忠実に、かつ凝縮して表現しようしてるのではないか。それを拡大解釈するのではなく、重要なエッセンスだけを圧縮して見せることで生まれて初めて味わった衝撃を再現、そのために緻密な計算を重ねたものが最新作『DIRT』だと言えるのではないか。

ステージ上の3人によるサウンド&パフォーマンスは雄弁だ。hideに見出され、hide with Spread Beaverの一員として表舞台に立ったK.A.Z(G)は、OBLIVION DUSTの解散を経た後もVAMPSを筆頭に様々なバンドやユニットでサウンドプロデュースの腕を磨いてきた。KEN LLOYD(Vo)は自らのバンドFAKE?で、他のメンバーの意見にとらわれない自由な表現を手に入れたことでシンガーとしての深みを増した。RIKIJI(B)は特撮や土屋アンナをはじめとしたアーティストから重用されるプレイヤーとなっている。

このアクの強い3人をバンドとしてどうやってまとめているのだろうか?という疑問に立ったとき、ある一つのポイントにたどり着いた。OBLIVION DUSTは結成して20年という月日を重ねつつも、実質的な活動期間はその三分の一にも満たず、再結成以後も決してコンスタントとは言えないスタンスだが、メンバーそれぞれの活動は多忙極まりない。ここにきてスケジュールの詰め込みようは激務と言えるほどだ。VAMPSは新作のレコーディングしつつアメリカツアーを終えたばかり。RIKIJIは特撮や土屋アンナのみならずAGGRESSIVE DOGSのステージにも参加している。KENに至ってはFAKE?で6ヶ月連続ライヴを敢行したところでもある。これまで同様、半舷休息をしながらの活動ペースでもおかしくない状況だが、OBLIVION DUSTとして精力的にツアーを行うのは、なにも20周年だからというだけではないだろう。そもそもそういったアニバーサリーに興味があるとも思いづらい。

ツアー初日の充実度を観て、バンドとして幾度目かの精神的ピークを迎えつつあることがわかった。自身の特異なポジションを理解しつつ、計算の上で衝動を暴走させるテクニックを身につけた彼らは、メンバー個々のサウンド&プレイの凄味はもとより、バンドとしての一体感に溢れている。自らを持て余さず、コントロールする術を身に付け、バンドに転化しつつあるのだろう。こう仮定してみると、不敵に客席を睨みながら何かやってくれそうな気配を醸し続けている現在の彼らが綺麗に理解できるというもの。

今、OBLIVION DUSTは円熟期を迎えつつも、新たな一手を隠しているようだ。“I Hate Rock’n Roll”と唱えたのは、誰も予想だにしなかったロックの新たな地平が見えているからではないだろうか。各地でソールドを起こしているツアーには、そう思わせるほどの熱量が会場全体に満ち溢れている。全国ツアー<I Hate Rock’n Roll Tour 2016-17>は1月まで続く。ラウドなロックが好きならば、ぜひ会場で彼らのサウンドを体感してほしい。

■<20th Anniversary OBLIVION DUST “I Hate Rock n’ Roll Tour 2016-17”>

2016年12月17日(土) 甲府CONVICTION
2016年12月18日(日) 横浜BAYSIS
2016年12月21日(水) HEAVEN’S ROCK さいたま新都心 VJ-3
2016年12月23日(金・祝) 浜松Live House 窓枠
2016年12月24日(土) 金沢AZ
2016年12月25日(日) 高崎club FLEEZ
2016年12月30日(金) 福岡DRUM Be-1
2016年12月31日(土) 熊本DRUM Be-9 V1
2017年01月07日(土) 広島CLUB QUATTRO
2017年01月08日(日) 梅田CLUB QUATTRO
2017年01月09日(月・祝) 名古屋CLUB QUATTRO
2017年01月14日(土) 仙台darwin
2017年01月15日(日) 新木場STUDIO COAST
▼チケット
※スタンディング /チケット料金:\5,940
※当日料金:\6,480
※未就学児童入場不可


■ミニアルバム『DIRT』

2016.7.20 Release
UICV-1071 ¥2,100(税抜)
1.Death Surf
2.Lolita
3.Evidence
4.Under My Skin
5.Nightcrawler
6.Caprice
7.In Motion

◆OBLIVION DUST オフィシャルサイト
◆OBLIVION DUST オフィシャルFCサイト
◆OBLIVION DUST レーベルサイト
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