【インタビュー】岸田教団&THE明星ロケッツ「人柄を褒められたことは今まで生きてきた中で一度もない(笑)」

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真夏の日比谷野外大音楽堂ライブを成功させて、新たなタームに足を踏み入れた岸田教団&THE明星ロケッツ。12月21日にリリースされる最新シングル「Blood on the EDGE」は、楽曲、歌詞、MVといったあらゆる面で、次のステージに向かう彼らの決意を感じさせる一作に仕上がっている。「Blood on the EDGE」を軸に、現在の岸田教団&THE明星ロケッツのモードを、バンドの中心人物である岸田とシンガーのichigoに語ってもらった。

◆岸田教団&THE明星ロケッツ~画像&映像~

■自分のモード的にパンクとメタルの中間みたいな曲が良いなと思って
■そんなことを考えて形にしたのが「Blood on the EDGE」です


――新曲の「Blood on the EDGE」は、TVアニメ『ストライク・ザ・ブラッド II OVA』のオープニング・テーマです。

岸田:僕らは今年の夏にツアーを廻っていたんですけど、その最中にスタッフから『ストライク・ザ・ブラッド II OVA』のOVAが出るよという話を聞かされて。他人事だと思って、「へぇ、そうなんだ」と言っていたら、どうやらOVAのオープニング・テーマを僕が手掛けることになっているらしくて(笑)。“いきなりじゃん!”と思ったけど、仕方ないので、ツアーが終わってから曲作りに取り掛かりました(笑)。今回は自分のモード的に、パンクとメタルの中間みたいな曲が良いなと思って。そんなことを考えて形にしたのが「Blood on the EDGE」です。

ichigo:「Blood on the EDGE」はデモを聴いた時に、リフが良いし、頭のドラムの“ツターン・タンタン!”というのも好きで、カッコ良い曲だなと思いました。アニメの世界観にフィットすると同時に岸田教団&THE明星ロケッツの新曲としても最適で、すごく良いんじゃないかなという印象を受けたことを覚えています。

――メタルとパンクの中間をいう言葉がありましたが、スタイリッシュな楽曲をギターが尖らせていることも印象的です。

岸田:そう、ギターのあり方がメタルではない。実際、僕はいわゆるメタルのギター・サウンドがあまり好きではなくて。オーディオ的な観点からいっても、ギターがああいう音だと空間の余裕がなくなってしまって、ギターしか聴こえなくなってしまうんですよね。はやぴ~(g)の音はゲイン(歪み)も浅いし、絶対にピッキングのニュアンスが消えるような音にはしない。そういう意味で、今回もはやぴ~は、良いギターを弾いてくれたと思います。

ichigo:ギターの音のことはよく分からないけど、はやぴ~はメタルっぽいフレーズでも突っ込み気味に弾くんですよ。私の中ではメタルのギターはやや後ノリで、ベタッとしてるイメージだから、それとは違っていて。はやぴ~が弾くから、「Blood on the EDGE」のリフはよりカッコ良い気がします。


▲「Blood on the EDGE」<アーティスト盤>


▲「Blood on the EDGE」<通常盤>

――同感です。前回取材させて頂いた時に、はやぴ~さんのギターはすごくカッコ良いですと伝えてくださいとお願いしましたが、伝えてもらえましたか?

岸田:伝えてないです。

――ええっ!!

岸田:いや、彼の性格からすると、伝えたところで“あたり前だろう”という顔をするだけなので(笑)。

ichigo:アハハ!! それはいえる(笑)。

――そ、そうですか(笑)。じゃあ、今度機会があれば直接伝えます。「Blood on the EDGE」の歌詞についても話してもらえますか。

岸田:歌詞は、今回も『ストライク・ザ・ブラッド』の主人公をイメージして書きました。そこは、いつも通りでしたね。

――アニメの世界観とリンクさせつつ、現在の岸田教団&THE明星ロケッツとしての決意を表しているような印象も受けましたが?

岸田:最近は、少しずつそういう部分が入っていますね。そもそもタイアップの話をいただくアニメが、どこかしら岸田教団&THE明星ロケッツのキャラクターと被るものしか来ないんですよ。それもあって、アニメと関係なく岸田教団&THE明星ロケッツを聴く人にとっては、バンドの意志表示だったり、バンドからのメッセージだと感じるようなものになっていると思います。アニソンとしては、バンドからのメッセージみたいなものは消したほうが良いんですよ。100%、アニメの世界に寄り添ったものが望ましい。でも、タイアップの場合は、バンドのパーソナリティーとアニメがリンクしないと上手くいかないんですよね。

ichigo:そこに関しては、いつもスタッフが私達の個性を出しやすいタイアップを持ってきてくれるというのはあるよね。「Blood on the EDGE」の歌詞は、出だしの“もしもこの世に絶対の正義があるというなら きっとそれは気高くそこに在り続けて朽ちるだけさ”というところがすごく好きです。もしかすると原作にそういう思想があるのかもしれないけど、岸田らしいなと思って(笑)。

岸田:いや、『ストライク・ザ・ブラッド』の主人公は、言うほど正義感に溢れていないんだ。“やれやれ系”で、ちょっと斜に構えたタイプだから。それで、そういう言葉が出てきたんだよ。

ichigo:そうなんだ。でも、岸田らしいと思うし、2番の“ままならないことがこの世界なら 何一つ従う気はないね”という言葉とかも好きなんですよ。うちのメンバーは、みんなこういう気持ちで生きている気がする、残念ながら(笑)。

岸田:俺は、わりとこうじゃないつもりだけどね。

ichigo:嘘だぁ(笑)。

岸田:いや、本当に。でも、岸田教団&THE明星ロケッツというバンドのイメージは、まさにこういうものだと思う。

ichigo:結局うちのバンドは、プロレスで言ったらヒールなんだよね(笑)。

岸田:うん、残念ながら(笑)。

ichigo:でも、それで良いと思う。私はヒールが好きだし、『スーサイド・スクワッド』の影響で、今はヒールが熱いしさ。ヴィランズが熱い(笑)。

岸田:でも、『スーサイド・スクワッド』は、悪さが足りなくない?

ichigo:そう。『スーサイド・スクワッド』はね、ドラマにするべき。映画だと、ちょっと掘り下げ方が薄くなるから。


――あ、あのぉ……話を、「Blood on the EDGE」に戻しても良いでしょうか?

岸田&ichigo:あっ、すみません(笑)。

――「Blood on the EDGE」のレコーディングは、いかがでしたか?

岸田:ベースは、たいしたことは何もしていないです(笑)。でも、大変は大変でした。テンポが速いので(笑)。

――ファットにドライブするベースが、すごくカッコ良いです。

岸田:その辺りは、たしかにこだわりがありますね。ただ、正直なところ、それは使っているベースが8割くらいを占めているので(笑)。

ichigo:でも、今回のベースは、いつも以上にあり方が良いと思う。

岸田:いや、使っているベースが……。

ichigo:褒めてるんだから、“ありがとう”くらい言えよ(笑)。

岸田:だってさ、1965年製のプレベだよ。しかも、フルオリ。1967年と1965年を持っていて、ファットなほうが1965年だから。あのベースを、俺みたいに手が大きくて、バコッと殴れる人間が弾くと、誰が弾いてもああいう音になる(笑)。

――音はそうでも、グルーブは出せないです。

岸田:いや、ちゃんと訓練すれば出せる(笑)。中学生くらいの頃からちゃんと訓練しておけば、10年くらい経つと誰でも必ず出来るようになります(笑)。

――いや、楽器というのは、それだけではないと思います。弾き手の感性や人柄が自ずと反映されますから。

岸田:ああ、それはありますね。人柄の面を褒められたことは、今まで生きてきた中で一度もないですけど(笑)。

ichigo:いやいや、人柄が出ているといってるだけで、岸田の人柄が良いとは言ってないから(笑)。ただ、ベースに関しては、“支える系”“纏める系”だからね。それが、良い方向に出ていると思う。

岸田:いや、なんかさ一周回って、ギターがああだから、俺はがんばらなくて良いやと思うようになったんだ(笑)。みっちゃんのドラムも情報量が多いから、そこでベースが凝ったことをするとミックスしていても収まらないというのもあるし。みっちゃんのドラムは、単純に音がデカいんですよ。

ichigo:ホントに大きい(笑)。「Blood on the EDGE」の歌は、あと半音キーが高ければ完璧だったんですよね。そうすればもっと声を張ることになって、聴こえ方が派手になっただろうから。ただ、歌う側としては、このくらいのキーで、これくらいのテンポは歌いやすいし、ニュアンスが出しやすいんです。今回は、なるべくブレスを混ぜたニュアンスをいっぱい使いたいなと思ったんですよ。私の中では歌う時の声というのは大きい音をキュッと拠って出すイメージなんですけど、太く出す瞬間を増やしたいなと。それで、Aメロとかは何回かそうしているし、サビの頭とかもブワンと太く出すようにしていて。狙い通りに、そういうニュアンスを出せてよかったなと思います。

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