積み上げてきた10年の歴史とLM.Cのネクストを同時に感じさせてくれるアルバム『VEDA』が完成した。AijiがLM.Cの代表作にしてベストアルバムのような内容と言い切り、mayaが10年たっても今だにドキドキできる楽曲たちと分析する本作。その破壊力とスケール感はリードトラック「The BUDDHA」に顕著に表れているので、まずはMVを見て五感プラス第六感で感じとってほしいが、LM.Cのロック魂がこれほどブーストしたアルバムはかつてなかった。パンチのあるAijiのギターリフ、生まれたらいつか死ぬという真理を前提にハッピーになるヒントを散りばめたmayaのメッセージ。LM.Cの核心に一発で触れられる本作について2人に語ってもらった。

◆LM.C~画像&映像~

■完成してみるとLM.Cの代表作と言えるアルバムができました
■『VEDA』からカッコよく説得力が増したよねって思われたい


──ニューアルバム『VEDA』は楽曲的にもメッセージ的にも熱く振り切れていて、すでにショートMVが公開されているリード曲「The BUDDHA」のオリエンタルでロックな世界に驚いた人もいるのではないかと思います。アルバム制作はどんなふうにスタートしたんですか?

Aiji:制作に入ったのは2015年の春ぐらいですね。いつか出るであろうアルバムに向けて「この曲は今やっておきたいね」っていう曲を選ぶところから始まって。

──1年半ぐらい時間をかけているということですか?

Aiji:結果、時間はかかっちゃってますけど、今は期間を決めて集中してレコーディングするというよりは無理のないタイム感で、何回かに分けて録っているんです。「The BUDDHA」をmayaが持ってきたのが2015年の夏ぐらいだっけ?

maya:夏か秋ぐらいですね。

Aiji:デモを聴いた時に今のようなムード感のあるサウンドが頭の中で鳴って、アルバムの1曲目にしたいという衝動が生まれたんです。そこからジャケットは曼荼羅にしようという話に発展していって。


▲『VEDA』

──「The BUDDHA」は最初からシタールが鳴っているようなエキゾティックな匂いを放っていたんですか?

Aiji:フレーズにそういう匂いは若干ありましたね。

──ブッダはアルバム全体のモチーフでもあるんですよね?

maya:そうですね。なぜブッダだったかというのは4~5年前にさかのぼるんですけど、自分がLM.Cを通して発信したいメッセージはが見えた時に、先人がそういう思想、哲学を形にしているんじゃないかと探した結果、辿り着いたのが日本人にとって身近な仏教だったんです。「こうしたら人生、楽しいんじゃないかな。少しでもハッピーに生きられるんじゃないかな」っていう自分のシンプルな考え方が仏教に重なる部分があって興味を持ったんですね。

──ちなみにどういうところに共鳴したんですか?

maya:般若心経の現代語訳みたいなものがネット上にいろいろアップされてますけど、わかりやすく言うと最終的に“大丈夫だから”っていうところに落ち着く思想が、驚くぐらい自分と一緒だったんです。とは言え、そこから仏教に傾倒したというわけではなく、10周年が見えてその思想をポップなものとして捉えられるようになった時に「The BUDDHA」というタイトルの曲を作りたいなって。もともと10周年に向かうシングルに向けて作った曲だったんですけど、「この曲はアルバムのためにとっておいたほうがいいね」っていう話になって。自分的には早く出したくてたまらなかった曲ですね。

──アルバムのタイトル『VEDA』には“聖典”という意味がありますよね。

maya:“VEDA”(サンスクリット語)の語源とされている“知識”という意味で付けたんですけど、アルバムには10曲収録されているので聖典というふうにも響くだろうし。素晴らしいですね(笑)。

──生きるヒントというか、生きていく知識が詰まっているアルバムという解釈でいいですか?

maya:そうですね。こんなふうに生きられたらハッピーなんじゃない?って。でも、それはLM.Cが10年間、発信してきたメッセージでもあるので、過去にリリースした楽曲全てが『VEDA』の中に収まる気がしますね。

──これまでのLM.Cと地続きでありつつ、『VEDA』を聴いた時、LM.Cが新しいチャプターに突入したなという印象も受けたんです。パワーがみなぎっているというか、落ち着くどころか攻めに出たなと。

Aiji:作っている最中は意識してなかったんですけど、完成してみるとLM.Cの代表作と言えるアルバムができました。ここからまたストーリーが始まるというか、「『VEDA』から、LM.Cまたカッコよくなったよね。説得力が増したよね」って思ってもらえると良いですね。

──特に前半の楽曲の熱量がすごいですよね。

Aiji:そういったエモさはありますよね。制作しながら「10年たった今もモチベーションがまったく下がることなく音楽が作れてるな」って感じていたし、幸せなことだなって。続けていると悪い意味で慣れてしまう部分が出てくると思うんですけど、そんな気分で向き合った曲は1曲もないですからね。表面が熱いというより内なる熱量なんですけどね。

maya:二人ともある程度、年齢を重ねて組んだバンドなのに、そこから10年たって今だにドキドキできるアルバムができて、「こんなことってあるんだな」って思いますね。Aijiさんが言ったように続けていくとだいたい何かが失われていくんだけど、その正体は情熱なんじゃないかって。LM.Cは何年たっても自分たちなりに更新していって、胸を張って楽しめている。中には10年前のほうが好きだったって思う人もいるかもしれないけれど、自分たち的には今が最高だなって思っているんです。

──傑作を作った達成感が伝わってきます。

maya:LM.Cで初めてアルバムを出した時は「やった!」と思って、しばらく放心していたんですけど、今はすり減った感じもしないし、全体というより楽曲ごとの感動や感慨があるんです。その在り方はもしかしたら今っぽいのかもしれないですね。1曲単位でダウンロードする時代の中、今回は1曲、1曲が独立していて、それがまとまったのが『VEDA』という感覚がある。だから、地に足がついた達成感がありますね。

──アーティスト写真やジャケット写真だけ見るとサイケデリックでマニアックな作品かなと想像するかもしれないけど、このアルバムって決してそんなことはないですよね。

Aiji:はい。すごく分かりやすいストレートなロック・アルバムになったなと。

◆インタビュー(2)へ