【BARKS×楽天ミュージック特集】清春が語る、変貌するリリース形態の現在・過去・未来「求められるのは広さよりも深さ」

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■5年とか10年とか経ったら
■疑問を挟む余地がなくなってるのかも

──いやいや、実力のなせる業じゃないですか。さて、そろそろ今回の本題の部分に話を移したいと思います。さきほども次のシングルについて、配信にするか盤にするか、みたいな話がありましたけど、『SOLOIST』という最新アルバムについてもCD発売に先駆けて配信で公開、という流れがありましたよね?

清春:ああ、うん。単純に完成が間に合わなくてね(笑)。

──結果的にはツアー前に配信、ツアー後にCD発売という形がとられていました。清春さん自身はやはりフィジカルな“盤”というものへの思い入れが強いほうですか? それとも配信などについても抵抗がないほうですか?

清春:多分、うちのファンの人たちの多くは年齢層的にも、やっぱり“盤”のほうに思い入れが強いだろうと思います。モノに愛着が沸くというか。チケットとかグッズもそうであるように。配信については、“録ったらすぐ上げられる”という速さの面で、そっちのほうがいいかなとも思うんですけど。だから……両方アリかなという気がします。ただ、今はまだこういう状況で「CDと配信、どっちですか?」という質問が成り立つ時代なのかもしれないですけど、これから5年とか10年とか経ったらそういう疑問を挟む余地がまったくなくなってるのかもしれない。最近だと、アーティストが敢えてアナログ盤を出したりすることもありますけど、そういう意味でのCDになりそうな気がしますよね。

──つまりマニア向けというか、敢えてそれを選ぶほどのコア層向けのものということですか?

清春:うん。昔はまず普通にレコードがあって、カセットもあった。それがいつしか“CDも同時発売!”みたいなことになって、CDだけのボーナス・トラックというのがあったり。CD時代の最初の頃はちっこいCDシングルというのもありましたけど、それがいつの間にかなくなったりとか。

──7cmシングルCDですね、長方形のパッケージに入った。それが結果、シングルもアルバムもすべて12cmの盤になって。

清春:映像にしてもそうですよね。まずVHSとベータのビデオカセットがあって、レーザーディスクが出てきて、DVDというものが登場して。僕なんかの場合、音源をアナログ盤で出してはいないんですけど、そうやってどんどん変わっていくんで、ついていくのに必死なところもある(笑)。ただ、これからいっそう配信メインになっていくんだろうけど、リスナーとしての僕はCDが欲しいですけどね、好きなアーティストについては。よく知らない人から「清春さん、聴いてください」って渡されたりするのはあんまり聴かないけど(笑)。仲のいい友達のものとかは聴きますね。まあ、なかなか時間もないですし。ただ、車の中では唯一、聴くのがCDだけだったんですけど、それも今では、繋げちゃえばデジタルで聴けちゃうんで。もう、ホントに盤が必要ではなくなってきたなというのが実際です。だからやっぱり、そうやってコレクターズ・アイテムみたいになっていくんでしょうね、CDというもの自体が。

──ただ、日本というのは今や世界でもめずらしいぐらい“ちゃんとCDショップのある国”だったりするじゃないですか。

清春:そうなんですよね。世界的にはもう、お店がないですからね。

──昔は僕なんかもイギリスとかアメリカに行くとレコード店を回ったものですけど、今は日本への旅行者や来日したバンドがCDショップに通っているらしくて。

清春:ああ、なるほど。

──よくよく考えてみれば、確かにアナログ盤が良く売れるようになってきていたり、カセットテープが再評価されていたりする昨今ではありますけど、レーザーディスクとかMDみたいに影も形もなくなったものというのも多いわけで、CDというのはよく生き残ってきたものだなとも思うんです。

清春:それは言えますね。だけどそれは、CDなりDVDなりというメディアが、ゲームとかにも共通してるものだからじゃないかな、と。音楽も、映画も、ライヴ映像作品も、ゲームも、同じ形をした盤で存在している。それが、音楽CDが残されている理由のひとつでもあると思うんですよね。

──音楽を聴くためだけのメディアではないからこそ、ということですね?

清春:うん。そういうことによって辛うじて残ってるというか。レンタル店とかでCDとかDVD、ゲームが一緒に並んでるのを見るとね。ただ、音楽CDというのは、ゲームとかと違って参加できないじゃないですか。聴いて、それによって元気づけられたりとかそういった作用はあるだろうけど、ゲームみたいに自分で操作したりできるものではない。そこが弱いんでしょうね、参加型ソフトじゃないっていうことが。参加して楽しめるモノに対して、音しか入ってないモノのほうが価値を感じられにくいというか。同じような盤でありながらね。ただ、ゲームについても今ではアプリとかダウンロード中心になってきてるわけじゃないですか。そっちのほうでも個体を買うことが減ってきてるわけですよね? そうなってくると、CDってものはいっそう抹消されてしまう危険性が高くなってくるんじゃないかと思ってしまう。

──怖いこと言いますね!

清春:ふふふ。でも、さっきも言ったように、コレクターズ・アイテムとして残っていく道があると思うんです。今のアナログ盤みたいに。CDを聴くという行為自体に対しては「まだプレステやってんの?」みたいに言われるようになると思うんですけどね(笑)、いずれ。うちの子供も実際、ネットでゲームを購入してパソコンでやってますし。そういう現実を見てるとね、“ああ、そういうことね”と思わされてしまう。映画とかもそうでしょう? DVDを買わなくてもネットで見放題だったりするし。それと同じように、わざわざCDという盤を買わなくなる傾向は強まっていくんじゃないかと思う。そうやって、さまざまな用途で使われてきたあの盤そのものの需要が減ってくると、それこそ工場とかも減っていくことになるんだろうし。だから……もちろん確実に残ってはいくはずですけど、減っていくことは間違いないという気がするな。

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