【ライブレポート】鬼気迫るパフォーマンスで観客を圧倒した間々田優・中村ピアノ・月野恵梨香バンドツアー<三原色パンデミック ~アイドル14歳の生きる才能~>

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2016年12月22日(木)東京・新宿区歌舞伎町にあるライブハウス新宿clubサイエンスにて間々田優・中村ピアノ・月野恵梨香バンドツアー<三原色パンデミック ~アイドル14歳の生きる才能~>が行われ、三者三様の個性豊かなパフォーマンスで集まった観客を魅了した。

◆間々田優・中村ピアノ・月野恵梨香~画像~

このイベントは、間々田優、中村ピアノ、月野恵梨香の3アーティストによるトリプルヘッドライナーツアー<三原色パンデミック~アイドル14歳の生きる才能~>として、それぞれバンドセットでのライブを2016年10月から12月まで東京・大阪・山梨などで開催してきたもの。この日はツアーのセミ・ファイナルとして行われ、3組の出演前にはReach The Sky、ROW-ZA、わけありブラザーズ、VOLOMUSIKSがサポートアクトとして出演して会場を盛り上げた。


▲月野恵梨香

この日、3組のトップを飾ったのは月野恵梨香だ。VOLOMUSIKSのライブが終わってから暗幕が張られ、幕が開くとピアノの旋律が静かに流れだすと徐々に激しく変化していく、2016年10月に発売した最新アルバム『再起可能』の冒頭を飾る「死んではいけない」をSEにバンドメンバーに続き月野がステージに上がる。「死んではいけない死んではいけない」と連呼する月野の声が耳に生々しく耳に残ったまま、ライブは同じくアルバムからのナンバー「過食症」でスタートした。ソリッドなギターサウンドに乗せて、観客に挑むような表情で歌う月野。後ろを向くと白い衣装の背中はざっくり開いておりセクシーだ。「三原色パンデミックツアー、明日のことは考えない、今のことしか考えないで、このまま駆け抜けようと思います」と、MCの第一声も続く「BARK」の印象同様に刹那的。リバーブがかかったボーカルがサビに差し掛かると豪快な歌声になり迫力満点だ。ビジュアル系的なイメージのバンドメンバー3人が歪んだギターを中心とした厚みのあるサウンドで後押ししている。

「アカ」ではオリエンタルなギター・リフと重たいフロアタムによるドラムが興奮を掻き立てる。身を乗り出して歌う月野に、最前列の観客が手を伸ばしている様子は何かに憑りつかれているようだ。「嫌なことは次の曲で全部忘れてください!」と「知りもしないくせに」へ。ラウドなサウンドに合わせて、ラップ調のボーカルでダークな感情を吐き捨てるように歌う姿に圧倒された。最後はアルバム・タイトル曲「再起可能」。長髪を振り乱しながら叫ぶ月野に煽られて、ステージ前方にどっと詰めかける観客を前にパフォーマンス。最初から最後まで戦うようなライブを見せた。


▲中村ピアノ

続いてカラフルな衣装で登場したのは中村ピアノ。ピアノ、キーボード、ドラム、ベースの4人編成での出演だ。2016年6月には作詞・作曲・アレンジの全てを彼女が手がけた初のオリジナルフルアルバム『ピアノショック!』を発表した彼女のステージは、艶やかな声の伸びに思わず引き寄せられた「落花生」でスタート。情感豊かな歌声と、サビでアップテンポに変化、ジャジーな演奏になって行く表現力豊かなアレンジは、芝居を見ているように立体的な展開だ。続く「14歳」の曲調はポップながら、歌の内容は女性の情念が燃えるようなもので、抑揚をつけたボーカルとピアノで観客を惹きつける。

「夜も深まってきたので、いやらしい曲を」と、ドキっとさせるMCをさりげなく挟んでからの「真夜中アバズレシーソー」はパンキッシュな激しいプレイでリビドー全開な歌詞で歌ってみせた。メンバー紹介から、「私たちは、いい時も悪いときも、常に一瞬一瞬を生きていかないといけません。次の曲は、それをやめてしまった、死んでしまった友だちに作りました。今日はここにいるみなさまとその友だちに歌います」とのMCから歌われた「ねえ」では穏やかなワルツ調で語りかけるように歌う中村に立ち尽くすように聴き入る観客たちの姿が印象的だった。ラストは昭和歌謡曲風なメロディラインとキーボードが奏でるアコーディオン的な音色も郷愁を誘う一曲「キャンディキャンディ」。ミュージカル仕立てのようでありポップで楽しくも妖しげな魅力も感じる、エンターテイナーぶりを存分に発揮したステージだった。


▲間々田優

トリプルヘッドライナーのトリを務めるのは2016年8月に弾き語りワンマンツアー収録2枚組DVD『復習旅行』を発売した“突き刺し系”シンガーソングライター間々田優。暗幕が開くとギター、ベース、ドラムを従えて、赤いトップスと青いスカート姿の間々田がアコースティック・ギターを鳴らし呟くようなセリフから「八千代」でライヴを開始。初っ端から睨みつけるような視線を見せながら、こぶしのきいた歌声で唸るように歌う間々田の激情が暴走しないように背後に引っ張っているかのようなバンドの粘りのある演奏が出色だ。対照的に爽やかなアコースティックギターのストロークから歌い出した「Home sweet home」では穏やかな歌声が徐々に張り裂けんばかりの叫びに変わり、続く「カシスオレンジ」ではギターのヘッドを客席に向けて掻き鳴らしながら歌い、激しい感情を爆発させた。バンドの演奏も息がピッタリで、咆哮するようなロングトーンで聴かせたギターが間々田の激しい歌声に寄り添っている。

まるで別人のようなキュートな歌声を聴かせたのは、「真心をこめて」とリズミカルなドラムに合わせて歌い出したポップソング「クリーム」。キャッチーなサビを持つとても華やかなラブソングだが、歌詞の内容は「四六時中 私だけ考えてよ」と、男性への強すぎる想いが詰まったもので、満面の笑顔で歌われると結構怖い。曲の終わりではクルリと一回りターンして見せる可愛らしさも見せた。

「私、じつは今年10周年でした!」とのMCで、2006年にライブ活動を開始、自主制作音源を発表してから10年が経ったことを知らせると大きな拍手が送られた。その10年間を振り返り、ギター1本、体ひとつで弾き語りでやってきた、と間々田。後半は、そのキャリアから培われたタフな歌声でロック・ナンバーを披露。「ニュース」ではバンドのメンバー紹介ではそれぞれソロを聴かせてバンドとの一体感も見せた。ラストの曲は「シンプル」で文字通り、シンプルなビートと観客の手拍子に合わせた身振り手振りで力強くも優しい歌い方で、素顔の少女のようなパーソナリティを垣間見せた。

「これにて本編は終わり……」と言いかけた瞬間、観客から「アンコール!」の大声がかかり、そのままアンコール「アイドル」へ。「冬の新宿に捧げますー!」とギターを後ろに回して、ハンドマイクでにこやかに歌い出したが、後半はバンドの演奏がスピードアップするのに合わせて鬼気迫る歌声を聴かせた。エンディングは、観客とともに「三原色パンデミック!」と大合唱。ツアー・セミファイナルとなるライヴを締めくくった。

個性派女性シンガー揃い踏みで楽しませたこの日のライヴ。それぞれがMCでも告知していたが、追加公演として「間々田優・中村ピアノ・月野恵梨香バンドツアー ~グランドフィナーレ~」が2017年3月24日(金)に東京・新宿BLAZEにて行われることが決定している。


▲ぼくたちのいるところ。

このライブには、メンタルぶっ壊し系バンド「ぼくたちのいるところ。」も出演。2013年に大阪で結成したノンジャンル的バンドで、自由奔放な中にパンクの姿勢が見え隠れする人生ダメ子と演奏隊それぞれ独自の世界観から産まれる一曲一曲の出来栄えは秀逸だ。この「ぼくたちのいるところ。」にも注目してほしい。

取材・文:岡本貴之

リリース情報

間々田優・中村ピアノ・月野恵梨香バンドツアー
<三原色パンデミック ~アイドル14歳の生きる才能~>
2016年12月22日(木) 東京・新宿club SCIENCE
〈セットリスト〉
●月野恵梨華
1.過食症
2.BARK
3.アカ
4.知りもしないくせに
5.再起可能

●中村ピアノ
1.落花生
2.14歳
3.真夜中アバズレシーソー
4.ねぇ
5.キャンディキャンディ

●間々田優
1.八千代
2.Home sweet home
3.カシスオレンジ
4.クリーム
5.ニュース
6.シンプル
アンコール
7.アイドル

ライブ・イベント情報


間々田優・中村ピアノ・月野恵梨香バンドツアー
三原色パンデミック―追加公演
~グランドフィナーレ~

2017年3月24日(金)
18時開場/19時開演
at/新宿BLAZE

【出演】
間々田優/中村ピアノ/月野恵梨香
ぼくたちのいるところ。(大阪)/中居裕

オープニングアクト:Reach The Sky
転換:Dj peah(ex.M-AGE)

チケット :
前売 3,800円/当日 4,300円
※1ドリンク代500円別途

チケット販売所:絶賛発売中
●イープラス
◆http://eplus.jp/sys/T1U14P002194685P0050001
●チケットぴあ(Pコード:313-216)
◆http://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventCd=1648605


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