【音踊人37】a Soulless Pain 不器用だけど真っすぐな男たちが紡ぐ未来(影井公彦)

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名古屋を中心に活動する5人組「a Soulless Pain」(以下:aSP)。aSPの音に触れたのはもう5年ほど前になる。<FREEDAM NAGOYA>でのステージで登場した彼らを……当初、僕は無視した。

タイムテーブルを見てもお目当てのアーティストがいない為、ブラブラしようと決めて彼らが演奏を始めようとしているステージから離れた瞬間に音が鳴り、僕は思わず振り向いてしまった。メタリックなギター、暴力的なドラムとベース、KILLSWITCH ENGAGEを意識したような美メロが流れる中、巨漢のVoが叫ぶ。僕の頭を鷲掴みにして振り向かせたその音の方に吸い込まれるように近づいていった。気が付くと彼らのステージの一挙手一投足を見逃すまいとしていた。

気付くと彼らのステージは終わっていて、心の中には「これはいいバンドを観た」という思いだけが残っていた。その後彼らの物販ブースに寄り、彼らの出していた2枚のデモCDを購入した。その直後にステージで時に優しく歌い、時に獣のように吼えていた巨漢のヴォーカリストに偶然会ったのでライブの感想を率直に伝えると、その大きな体からは想像できない優しい顔で「”伝える”ということができて良かったです」
と握手をしてくれた。これが彼らとの出会いだった。

家に帰ってから購入したデモCDを聴いた際に、他からの影響が見えてしまうぐらいの粗削りさを感じたが、それを消し去ってしまうほどの演奏のテンションの高さと詩の良さに惚れこんだ。それから2年ほどして彼らは1枚のアルバムを完成させ、世に放った。それが『繋ぐ世界』である。


このアルバムに封じ込められている楽曲達の1つ1つに”伝える”という思いが込められている。僕がVoのYonemura君と握手した際に彼の口から出た自然と出た「”伝える”ということができて良かったです」という言葉が、そのままパッケージされているかのようだった。勿論、演奏能力や録音状態も変わっており、デモCDからの楽曲群はヴァージョンアップされて収録されている。

1stアルバムと言えば、漫画『BECK』にもある通り”えげつないパワー”が封じ込めらているのが特徴だが、aSPの『繋ぐ世界』ではそれが顕著だ。どの楽曲もむき出しの”言葉”が詰め込まれている。時に優しい言葉で未来を提示し、時に暴力的ともいえる強い言葉で怒りを吐き出す。その中にある「弱さがあってもいい、それでも僕らは寄り添うんだ、君に」と言ってくれる優しさが、傷つき戦うことに疲れた心を癒してくれる。

激しい音を出しながら芯で人と繋がろう、分かり合おうとする彼らの楽曲に触れてほしい。触れたのならきっと、心に日差しが降り注ぐから。

◆a Soulless Pain オフィシャルサイト

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