【ライブレポート】Ice(ex.BFN)、ソロプロジェクト本格始動「音楽を続けていきたい」

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2016年4月10日に東京・LIQUIDROOMで行われたワンマンライブ<未完の筐体~Bye For Now~>を境に活動停止に入ったBlack Gene For the Next Scene。そのフロントマンであるIceの初のソロライブが2017年1月4日に東京・TSUTAYA O-WESTで開催された。

◆<未完の筐体~Bye For Now~> ライブ画像(1)

バックバンドのメンバーは同じくBlack Gene For the Next Sceneとして活動していた刻(G)、ex.SCREWの和己(G)、ex.DuelJewelのNatsuki(B)、BREAKERZや陰陽座のサポートを務めるMAKOTO(Dr)という強力な布陣。ゲストバンドはΛuciferのMAKOTO(Vo)やLa'cryma ChristiのSHUSE(B)らで構成される†яi¢к、さらにスペシャルゲストとしてex.BOØWY、現JET SET BOYSの高橋まことが登場という、新春とIceの新しいスタートに相応しい華やかな面々が揃った。

†яi¢кは、TERO(Dr)がBlack Gene For the Next Sceneのサポートをしたことが縁でゲスト参加が決定し、SHUSEも「TEROちゃんのお陰でIceくんに誘ってもらえた」と喜ぶ。最新シングル「FIXER」などを中心に計8曲を披露。ダークで叙情的な側面を見せてからじょじょにアッパーチューンやダンスナンバーでボルテージを上げていき、ラストは「FREEDOM」で晴れやかに締めくくった。


続いてのアクトはこの日の主役、Ice。厳かな雰囲気のSEのなかステージ上の幕が開くと、既にバンドメンバーがスタンバイ。続いてステージに現れたIceがセンターにつくと、この日会場限定でリリースされた「promise」を1コーラス、アカペラで、オペラのような豊潤な歌声を響かせた。丁寧に言葉を紡ぐ彼の歌と切なくも力強いバンドの演奏に、観客はじっくり聴き入る。この日が初披露となるIceの楽曲は、バンドサウンドのなかに効果的に電子音やピアノなどを用いたものが多く、そのすべてが彼のボーカルにスポットを当てたものだった。2曲目の「雨は次第に弱まる」も繊細なメロディと彼の低音が生きる。

†яi¢кの熱演を受け、MCで「大先輩の胸を借りてがんばりたいと思います」と力強く語るIce。彼がステージに立つのはBlack Gene For the Next Sceneの活動停止ライブ以来、約9ヶ月振りとなる。「そのブランクのなかで僕が何を得て、何を失ったのかを表現していきたい」と、前向きでありながらも少々後ろ向きなニュアンスも感じさせる決意を堂々と語ると、観客から笑いがこぼれる。Iceの持ち前の弾丸トークはさらに加速し、観客の緊張も解けていくだけでなく、サポートメンバーも思わず笑ってしまうなど、たちまち会場全体が和やかなムードになっていった。

「隣の人が拳を上げていても、頭を振りたいなら振ればいい。全員同じ動きをしてほしいとは一切思ってないので、好きにやってください」「難しいことを伝えるつもりはなくて、シンプルに自分の想いをみなさんと共有できたら、“こういういい音楽あるぜ!”というのを一体となって楽しめたらと思っています」と気持ちをまっすぐ伝えると、四つ打ちやワルツなど様々な展開を見せる「Dream」へ。ミクスチャーロックテイストの「Harness」ではコール&レスポンスで会場と密にコミュニケーションを取っていく。ハイテンポのパンクナンバー「together」、ロックナンバー「Fly」と、汗だくになりながら全身全霊で歌を届ける彼のエモーショナルで雄々しいパフォーマンスは、会場中から熱視線を集めていた。



インターバルを挟みステージに再登場したIceは、衣装の上着を脱ぎ、腹部と腕の隆々とした筋肉を見せる。恰好はあまり合ってないかもしれないけど、と前置きをしながら「お前らの湧き上がる炎のようなロックのソウルをステージの上まで集めてこい!」と叫び、それに続いてNatsukiと和己がフロアを煽ると、BOØWYの「DREAMIN'」のカバーを披露。リスペクトを込めた歌声はやわらかく伸びやかに観客を包み込んだ。

そしてとうとうスペシャルゲストの高橋まことが登場。高橋はフロアを見渡すと「IceがHotになったね」と笑う。Iceが高橋へ「DREAMIN'」のカバーの感想を尋ねると、高橋は「よくできました!」と一言。観客からも大きな拍手が起こった。するとMAKOTOがドラムから離れその場を高橋へ明け渡し、高橋とIceの弦楽隊とIceでBOØWYの「B-BLUE」と「MARIONETTE」をカバー。満面の笑みで時折歌詞を口ずさみながらドラムを叩く高橋も、その様子を無邪気な笑顔で見ながら演奏する刻とNatsukiも少年のようで、舞台袖でそれを見守るMAKOTOも微笑みながら手でリズムを取るなど、そのプレミアムな空間を存分に楽しむ。ベテランならではの深みと若々しいフレッシュ感が共存する高橋のドラミングに、会場中がたちまち陽のパワーへと巻き込まれていった。



Iceは今後の活動についてのビジョンを述べ、「音楽をしっかりやっていきたい」「1本1本のライブを大切にしていく」と真摯な気持ちを口にした。「今日という日をいい思い出にするために、最後にもう一度この曲をみなさんに届けたいと思います」と告げ、ラストに「promise」を再演奏。さらにダイナミックになる演奏としなやかな歌声に、この日のライブが彼らにとって特別な1日になったことを痛感した。ステージを去る前に「やるからにはちゃんと音楽を続けていきたい」と語ったIce。春にリリースされるミニアルバムも含め、今後の動向にも注目だ。

取材・文◎沖 さやこ
撮影◎牛島 康介


■†яi¢к セットリスト

1.Phenomena
2.LOVE RAIN
3.High Ripe Flower
4.FIXER
5.DEEPER
6.RADIANT
7.MADNESS
8.FREEDOM

■Ice セットリスト

1.promise
2.雨は次第に弱まる
3.Dream
4.Harness
5.together
6.Fly
7.DREAMIN'
8.B-BLUE(Dr/高橋まこと)
9.MARIONETTE(Dr/高橋まこと)
10.promise

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