【インタビュー】ランサー「30回聴いても、新しい発見がある」

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2016年11月19日に原宿アストロホールで行われた<LOUD & METAL MANIA 2016>に参戦したスウェーデン産メロディック・パワー・メタル・バンドのランサーが、3rdアルバム『マスタリー』を完成させた。北欧らしい叙情派のヴォーカル・メロディが魅力の彼らだが、ドイツの大手ヘヴィ・メタル専門レーベル“ニュークリア・ブラスト”に移籍した本作ではアレンジの面でも急成長が感じられ、過去2作より密度の濃い内容の作品に仕上がっている。このバンドの進化の背景には今作で初めて制作に携わった新加入のイーウォ・シルヴェリウ(G)の影響が大きいようだが、この新作について、そのイーウォとイザック・ステンヴァル(Vo)、フレドリック・ケレメン(G)の3人に話を訊いてみた。

◆ランサー画像

――新作の『マスタリー』はバラエティに富んだ内容になっていますね。

フレドリック・ケレメン:2ndアルバムの『SECOND STORM』(2015年)が出た時、「ハロウィンやガンマ・レイにそっくり」とレビューによく書かれたので、そこから離れて僕たちは独自のスタイルを見つける必要があった。恐らくそれが最優先されたと思う。そのために、曲のアレンジやギターの弾き方などに凄く時間をかけた。あと、イーウォのインプットもかなりあった。

――特にヴォーカル・メロディが素晴らしいですね。

イザック・ステンヴァル:そうだね、僕は曲を書く時にメロディを重視している。リスナーが最初に歌ったりハミングしたりするのがヴォーカル・メロディだから、ヴォーカル・メロディは強烈な印象を与えないといけない。それと、初めて聴いた時に耳に入って来るのはヴォーカル・ラインだけど、たとえヴォーカル・メロディに飽きてきても、アレンジにこだわっていれば曲が面白く聴こえる。

イーウォ・シルヴェリウ:ヴォーカル・メロディを際立たせるのが楽器隊の役目なんだ。ヴォーカル・メロディが後ろに引っ込んでいたら、上手くいかない。だから、フィーリングをつかんでちょっとしたディテールでヴォーカル・メロディを際立たせないといけないんだよ。ドラム、ベース、ギターでね。そこのところはかなり時間をかけて取り組んだ。もちろん、キーもいろいろ変えた。転調はとても大切だよ。

フレドリック・ケレメン:テンポも変えた。

イザック・ステンヴァル:「Follow Azrael」は、歌詞とヴォーカル・メロディの点ではかなりシンプルな曲だけど、7回くらい転調するんだ。

イーウォ・シルヴェリウ:歌詞やメロディにももちろんこだわった。僕はアルバムを聴いた時、最初はいいなと思っても何度か聴くと飽きてしまうことがある。でも、このアルバムは30回聴いても、まだ何か新しい発見がある。僕にとってそれはとても重要なことなんだよ。

――歌詞はどんなことを歌っているんですか?


イザック・ステンヴァル:アルバムに一貫したテーマがある。「人間はより素晴らしいことを達成しようとするけど、必ず失敗する」ということだ。

――それは興味深いですね。過去の2枚のアルバムではそこまで熱心に曲作りやアレンジはしていなかったのですか?

フレドリック・ケレメン:そうだね。それは経験によって培われるものだと思う。デビュー・アルバム(『ランサー』/2013年)はお試しという感じで、自分たちが何をやっているかもわからずに、ただクールな曲を集めようとしただけだった。2作目になると、前回やったことのどこを変えたら、より良いものができるかを考えた。それはアルバムを作るたびに思うことだろうけどね。

イーウォ・シルヴェリウ:今回大きかったのはサウンド・プロダクションなんだ。1stアルバムの時は何も知らないから、大して意見もできなかったけど、2回目はわかってきて、3回目はさらにコントロールできるようになった。プロダクションはとても重要だよ。ギターをどういうサウンドにして、ベースをどういうサウンドにしたらいいのか、といったことを考えないといけないんだ。

――今後の予定を教えていただけますか?

フレドリック・ケレメン:2017年の初めからハンマーフォールとゴローリーハンマーと一緒に4週間ヨーロッパ・ツアーに出る。この規模のツアーをやるのは僕たちにとって初めてなので、心身共にどうなるか凄く興味深いよ。

取材・文:Jun Kawai
Photo by Peter Nilsson




ランサー『マスタリー』

2017年1月13日 世界同時発売
【通販限定 メンバー直筆サインカード付CD】¥3,000+税
【通常盤CD】¥2,300+税
※日本盤限定ボーナストラック/歌詞対訳付き/日本語解説書封入
1.デッド・レイジング・タワーズ
2.フューチャー・ミレニア
3.マスタリー
4.ヴィクティムズ・オブ・ザ・ナイル
5.イスカリオテ
6.フォロー・アズラエル
7.フリーダム・イーターズ
8.ワールド・アンノウン
9.ウィドウメーカー
10.エンヴィ・オブ・ザ・ゴッズ
11.ザ・ウルフ・アンド・ザ・クラーケン
12.フォロー・アズラエル(ラジオ ver.)*日本盤限定ボーナストラック

【メンバー】
イザック・ステンヴァル(ヴォーカル)
フレドリック・ケレメン(ギター)
イーウォ・シルヴェリウス(ギター)
エミール・オーベルグ(ベース)
セバスチャン・ペデルネラ(ドラムス)

◆ランサー『マスタリー』オフィシャルサイト
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