【インタビュー】あのCMで歌う古澤剛、数奇な人生を明かす。コブクロ小渕や安田顕との運命的な出会い

■ すべてが結実したメジャーシングル曲「Color」

それが、バイトルのCMソングの制作依頼で、ある場所で彼が歌ったことがきっかけで話が進んでいった。そのCMが大きな話題を呼び、ついに9月28日にメジャー・デビュー。ただ、デビュー曲に選んだ「Color」という曲は、新曲ではなかった。それは5年前、まさに強烈なプレッシャーにさいなまれていた時期に、やむにやまれず生み出した、極めて私的なメッセージを織り込んだ楽曲だった。

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「最初に作った動機としては、自分にとって良い出来事でなくても、そのことをしっかり愛さなければ先へ進めないという気持ちがあって、作り始めたんですけど。結果、どんなにつらい思い出になろうとも、すべての出会いにありがとうという気持ちが残るんだということは、2016年の頭にその気持ちが証明されたんですよね。今まで挙げてきた名前の人たちのみならず、些細な関わりを持った人たちをひとりずつ思い出してみると、今僕が立ってるこの場所で、今見ている空の色は、その人たちがいなければ本当の意味で見えていないんだなと思うので。“ここにあなたが居なければ 空の色も知らない”という歌詞は、そういう気持ちを歌ってます。あなたのおかげで今の私があるよ、という言葉はよく聞きますけど、それはひとり残らずすべての人だと思うんですよ。自分の世界にいてくれる人がひとりでも欠けたら、バランスが全部崩れて、今の自分はここにいない。この歌の中には、その思いがシンプルな形で、無駄なものなしで込められていると思うんですよね」

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「Color」は、今年から新しいCMソングになった。野球の大谷翔平選手、サッカーの山口蛍選手が出演している、ニッポンハムグループの新企業CM「食べることで、つながる未来がある。」。正月の箱根駅伝中継での初放送を皮切りに、美しいメロディのスロー・バラード、力強さの中に深い優しさを秘めた古澤剛の歌が、今再び日本全国に広がりつつある。

▲シングル「Color」

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「この曲をさらに役立てたいと思う人が現れてくれたことが、本当にうれしいです。CMで使われている言葉と、歌詞にある“世界にひとつの くじけない心を”というメッセージがコール＆レスポンスしているような絡み方をしていて、映像を観て非常に感動しました。本当はデビュー曲は新曲を書きたくて、でも書けなくて、レーベルの人にも申し訳ないという自信喪失の状態になってたんですけど、結果的に「Color」を世の中に出すことをみなさんが許してくれて、新しく生まれ変わった「Color」ができたということに、ちゃんと響いてくれたという証拠があると思いますね。また樋口さんの言葉を借りますけど、“本当にいいものはゆっくり届いていくんだよ”って、さとされたんですよ。たぶんこの歌のメッセージを必要としてくれてる人には、必ず届いてると思います。もちろん売れればうれしいですけど、ちょっとでも心の琴線に触れる瞬間があったならば、それが一番の、この曲にとっての成功だと思うので。とにかく届いてくれ！という気持ちです」

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ここから始まる、新しい道のり。どんな登場人物が、どんな運命を携えて、彼の心のドアをノックするのか。何があってもすべてに感謝して、良い歌を歌い続けたいと彼は言う。自らワゴンを運転し、全国を回って歌を届ける旅企画“歌ワゴン日本全国 仲間だろ！”も継続中だ。その歌は、あなたに聴かれるのを待っている。古澤剛の歌に心揺さぶられたなら、あなたはもう、彼の物語の登場人物のひとりだ。

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「今はまた曲作りをしていて、新しい精神革命をこの冬にまた起こそうとしているところです。ひとつ残らず、すべてつながっているんですよね。過去の嫌だったことも、自分の中で押し込めようとせずに勇気をもって引っ張り上げるというか、良かったことに変えていく。「Color」を歌っている時にそういうことをいつも感じるんです。とにかく刺さってほしいですね、これをきっかけに」

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取材・文◎宮本英夫



◆古澤 剛 オフィシャルサイト