【インタビュー】アクセプト「最高の出来だと思った」
アクセプトのライブ作品『レストレス・アンド・ライヴ』が、1月13日に世界同時発売となる。
◆アクセプト画像
アクセプトが単体でのライヴ作品をリリースするのは久々のことだ。現時点での最新作『BLIND RAGE』(2014年)にともなう2015年のヨーロッパ・ツアー中に録り溜められた選りすぐり音源から構成されるのが2枚組CDで、映像に関しては2015年のドイツ『BANG YOUR HEAD』で撮影されたものがDVD及びBlu-rayとなっている。2015年に陣営替えが行なわれたが、新しいラインナップにとっての最初の作品にあたるものだ。このライヴ作品について、そして件のメンバー交代や2017年の活動予定についてもウルフ・ホフマン(G)に語ってもらった。
――2017年はまたツアーに出るようですね。新作『BLIND RAGE』にともなう活動はまだしばらく続きそうですか?
ウルフ・ホフマン:非常に長いツアーになる予定だけど、正確に言うと新作『BLIND RAGE』にともなうツアーではなく、今度出るライヴ・アルバムをサポートしたツアーでね。ちょうど(アルバムとアルバムとの)間のツアーであり、俺達としては少し珍しいことでもある。もうひとつ普通でないこととして挙げられるのは、このツアーではサバトンのサポートでヨーロッパ中を廻る予定になっていることだ。普段やらない珍しいことだけど、今回はやることにした。彼らのことが大好きだし凄く楽しそうだったからね。
――新作のための曲作りは既に始めていますか?
ウルフ・ホフマン:ああ、既に半分できているよ。これもまたツアーのオファーを引き受けた理由のひとつだ。しばらくの間スタジオを離れて、ライヴを観たりライヴをやったりした後に、再びスタジオへ戻れる。そうやって少しブレイクを取った方がスタジオに年じゅう籠っているよりも良いからね。2016年1月から作業に取りかかっているんだけど、その大半は曲作りに費やしていた。つまりほぼ1年間ずっと、ピーター(バルテス/B)と週に数回会っては2人で曲のアイディアに取り組みながらベストなものを生み出そうとしてきた。そして5週間くらい前に、アンディ・スニープ(プロデューサー)が初めてナッシュヴィルへやって来て、ひととおり曲を確認していった。そして今はマーク(トーニロ/Vo)と一緒に取り組んでいる。だから、そう、作業の真っ最中だよ。
――いつ頃リリースの予定ですか?
ウルフ・ホフマン:2017年の半ば頃になると思う。7月か8月頃だ。2017年後半はそのアルバムのツアーに出るよ。アルバム・タイトルはまだ決まっていないが、13曲ほど書き終えている。
――ライヴ・アルバム/DVD『レストレス・アンド・ライヴ』ですが、『BLIND RAGE』のツアーで撮影や録音を行なって、作品としてリリースしようという計画はかなり前からあったのでしょうか? それとも録音や撮影をした素材をチェックして、良い仕上がりだから作品にしようと思ったのですか?
ウルフ・ホフマン:過去にもドイツのバーリンゲンでの<BANG YOUR HEAD FESTIVAL>でプレイしたことがあるから、そこで働く人達やステージとか、あの場所に関する大方のことは知っていた。それに、以前もあそこでのショウは何度も撮っていたから、他の、よくは知らないような場所よりもトラブルを最小限に抑えられることもわかっていた。それだけリスクも少なくて済むから、今回も撮ろうと言うことになった。そして、どうせやるならちゃんとやろう、機材をもっと揃えて、カメラマンをもっと集めてベストなものを残しておこうと。今回違ったのは、それが今の新しい編成での最初のヨーロッパ・ツアーだったことだ。だから、みんな気分的に少し不思議な感覚でいたというかね…。ツアーの中盤だったらもっと気分も落ち着いていただろうし、やるべきことがわかっていて精神的にも安心感を抱いていられる。でも今回は、新しい2人との初めてのヨーロッパ・ツアーだったから、少し奇妙な気分ではあった。でも、撮ってみて、どんなものに仕上がるか見てみようと決断した。そして最高の仕上がりだったらリリースしよう、とね。実際、撮ったものを見て「最高の出来だ」と思ったんだ。映像も最高、サウンドも最高、そしてみんな素晴らしいプレイをしていた。だから「リリースすべきだ、チャンスを逃すな」ということになったんだ。ちゃんとしたDVD作品は長いことリリースしていなかったし、新しいメンバーが加入した2016年現在のバンドの姿を披露するのに最適な素材だと感じたよ。
――CDの収録曲はどのようにして選んだのですか?全部を聴き返して、べスト・パフォーマンスを選び抜いたのでしょうか?ヨーロッパ・ツアー全公演全曲をチェックするとなると大変な時間と労力を要するはずですが。
ウルフ・ホフマン:ああ、オーディオCDの方は、物凄い数のショウとトラックを録音していたので、そのすべてのバージョンを聴き返さなければならなかった。例えば「Stalingrad」や「Metal Heart」のような毎晩プレイする曲がある。つまり「Metal Heart」の異なるバージョンが24本あったりして、それをひとつひとつ聴き返さなければならなかった(笑)。その中からオーディオCDに最も相応しい優れたマテリアルを選ぶのは、もう永遠に続くような作業だった。バーリンゲンでの音源を使ってしまうと、同じパフォーマンスをまた聴くことになってしまから、それは避けたよ。違う国での異なるパフォーマンスを選ぶべきだ。例えばモスクワやサンクトペテルブルクなど都市によってそれぞれに異なるヴァイブがあるしね。CDに入っている曲は、すべてを毎晩プレイしているわけではないから、ファンにとってはライブで聴けなかった曲を聴く機会ができる。そういうものをオーディオ・ヴァージョンの中に収めたいと思ったし、実際そういう内容になって良かったと思っている。
――あなたは全部聴き返したのですか? 客観的な判断のできる第三者の意見も聞いたとか?
ウルフ・ホフマン:まずクリストファー(ウィリアムズ/Dr)に「まず先にひととおり聴いて、ドラマーとして自分の気に入ったパフォーマンスを選んでくれないか?」と伝えた。そうして彼にチェックしてもらい、その後に俺もそれぞれ聴いていった。1日に何時間も何時間も聴き続けていたよ(笑)。
――ハーマン・フランク(G)とステファン・シュヴァルツマン(Dr)が辞めると言ってきた時、あなた方はどういう反応でしたか?
ウルフ・ホフマン:ハーマンとステファンのバンドからの脱退はかなり突然の出来事だった。彼らは自分達のプロジェクトを持っていて、そっちに集中したくなって、ある日突然告げられた。でも彼らとは長年一緒にやってきた仲だし、自分達の夢やプロジェクトを追いたいという思いは完全に理解できることなので、俺達はそのことに敬意を払いたいと思って彼らを解放した。そして幸運なことに、そのすぐ後に彼らの去った空席に座ってくれる人達を見つけることができた。その1人がナッシュヴィル出身のクリストファー・ウィリアムズで、彼は若くて素晴らしいエネルギーとクリエイティヴィティに溢れたドラマーであり一緒に過ごすにも最高の人物だ。彼を迎えることができて俺達は本当にラッキーだと思っている。
――本当に確かな腕前を持つドラマーです。そしてバンドの平均年齢を下げてくれたようですね。まだ30歳くらいなのだとか。
ウルフ・ホフマン:ああ、嫌になるほど若い。もう最悪だ(笑)。でも若さはドラマーとして良いものだ。文句1つ言わずに何時間もずっと激しいプレイをし続けていられる。ドラマーとしては大事なことだよ。
――ウヴェ・ルリスの加入については?
ウルフ・ホフマン:ウヴェもまたバンドに加入する少し前からの知り合いだった。彼はドイツではかなり知られたギタリストでプロデューサーで、ギター・テクニシャンとしてこのバンドをヘルプしてくれていた。だから個人的に前々から知っていて、彼の人柄が凄く気に入っていて上手くやっていた。でも彼のギタリストとしての腕前ときたら…。あんなに素晴らしいギタリストだってことは、俺はまるで知らなかったんだ。
――彼はGRAVE DIGGERで演奏していました。
ウルフ・ホフマン:彼がGRAVE DIGGERで演奏していたのは知っていたが、個人的に知り合ったのはそれからずっと後、3~4年前に彼がギター・テックとして俺達をヘルプするようになってからだよ。
――アクセプトで演奏するには、スーパー・タイトなリズム・ギターが弾けて、ギター・ハーモニー等であなたと歩調のあったソロ演奏ができる能力がないといけませんが、ライヴ作品を観る限り彼こそ適任だと思いました。
ウルフ・ホフマン:ああ、まさに。変な話だが、ウヴェと俺は、これまでの(歴代の)ギタリストの中では最も上手く一緒にプレイできていると思う。凄く似通ったスタイルのプレイをするギタリストだから、もの凄く上手くやれている。
――新作も期待しています。
ウルフ・ホフマン:ああ、俺もさ(笑)。今これだけは断言できる。俺達は劇的な変化を求めてはいないので、アルバムに劇的な変化はない。マークとの過去3枚のアルバムでやってきたことを、あの路線を引き続き歩みつつ、アルバム毎により前進しようとしているまでだ。今回もまたアンディ・スニープを起用しているので、スタイルとしてはよりハードでヘヴィになるかもしれない。でも、それもこれも完成するまでは何とも言えない。だけどスタイルが大幅に変化するようなことはない。
――日本のファンに言っておきたいことは?
ウルフ・ホフマン:こうしてインタビューを受けるのはいつも嬉しいことだし、日本のファンとの間には強い絆を感じている。長いことそっちへ行っていないことを申し訳なく思うが、2017年は必ず行けるよう最大限の努力をしたいと思っている。それまでは新作を気に入ってくれることを願っている。みんなとツアーで早く再会したいよ。
取材・文:奥野高久/BURRN!
Photo by Jaenecke, Bossenmeier
アクセプト『レストレス・アンド・ライヴ』
2017年1月13日 世界同時発売
【初回限定盤Blu-ray+2CD】 ¥7,000+税
【初回限定盤DVD+2CD】 ¥6,000+税
【通常盤Blu-ray】 ¥5,000+税
【通常盤DVD】 ¥4,000+税
【2枚組CD】 ¥2,800+税
※日本語解説書封入/日本語字幕付き
【Blu-ray/DVD】ドイツ『Bang Your Head!!!』フェスティバル2015
1.スタンピード
2.スターリングラード
3.ロンドン・レザーボーイズ
4.レストレス・アンド・ワイルド
5.ダイイング・ブリード
6.ファイナル・ジャーニー
7.シャドウ・ソルジャーズ
8.ルーザーズ・アンド・ウィナーズ
9.200イヤーズ
10.ミッドナイト・ムーヴァー
11.ノー・シェルター
12.プリンセス・オブ・ザ・ドーン
13.ダーク・サイド・オブ・マイ・ハート
14.パンデミック
15.ファスト・アズ・ア・シャーク
16.メタル・ハート
17.チュートニック・テラー
18.ボールズ・トゥ・ザ・ウォール
CD[DISC 1]
1.スタンピード(ライヴ・イン・サンクトペテルブルク2015)
2.スターリングラード(ライヴ・イン・サンクトペテルブルク2015)
3.ヘルファイア(ライヴ・イン・ザールブリュッケン2015)
4.ロンドン・レザーボーイズ(ライヴ・イン・モスクワ2015)
5.リヴィング・フォー・トゥナイト(ライヴ・イン・ザールブリュッケン2015)
6.200イヤーズ(ライヴ・イン・プラッテルン2015)
7.デーモンズ・ナイト(ライヴ・イン・ハノーファー2015)
8.ダイイング・ブリード(ライヴ・イン・ザールブリュッケン2015)
9.ファイナル・ジャーニー(ライヴ・イン・モスクワ2015)
10.フロム・ジ・アッシュズ・ウィ・ライズ(ライヴ・イン・ハノーファー2015)
11.ルーザーズ・アンド・ウィナーズ(ライヴ・イン・ベルリン2015)
12.ノー・シェルター(ライヴ・イン・ミンスク2015)
13.シャドウ・ソルジャーズ(ライヴ・イン・グルノーブル2015)
14.ミッドナイト・ムーヴァー(ライヴ・イン・ソフィア2015)
CD[DISC 2]
1.スターライト(ライヴ・イン・エカテリンブルク2015)
2.レストレス・アンド・ワイルド(ライヴ・イン・モスクワ2015)
3.サン・オブ・ア・ビッチ(ライヴ・イン・ザールブリュッケン2015)
4.パンデミック(ライヴ・イン・ザールブリュッケン2015)
5.ダーク・サイド・オブ・マイ・ハート(ライヴ・イン・エカテリンブルク2015)
6.ザ・カース(ライヴ・イン・クラクフ2015)
7.フラッシュ・ロッキン・マン(ライヴ・イン・ザールブリュッケン2015)
8.ブレットプルーフ(ライヴ・イン・ザールブリュッケン2015)
9.フォール・オブ・ジ・エンパイア(ライヴ・イン・ザールブリュッケン2015)
10.ファスト・アズ・ア・シャーク(ライヴ・イン・モスクワ2015)
11.メタル・ハート(ライヴ・イン・サンクトペテルブルク2015)
12.チュートニック・テラー(ライヴ・イン・サンクトペテルブルク2015)
13.ボールズ・トゥ・ザ・ウォール(ライヴ・イン・サンクトペテルブルク2015)
【メンバー】
ウルフ・ホフマン(ギター)
ピーター・バルテス(ベース)
マーク・トーニロ(ヴォーカル)
ウヴェ・ルイス(ギター)
クリストファー・ウィリアムズ(ドラムス)
◆アクセプト『レストレス・アンド・ライヴ』オフィシャルページ