【対談】人間椅子 鈴木研一×BARKS編集長、ライブ盤を語る

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烏丸:アナログ時代は、ジャケットやインナーも穴が開くほど見ましたよね。レコードが傷付くのがイヤでカセットテープにダビングして聴くんですけど、この『ライブ・イン・ジャパン』の長さが微妙でね、2枚組なのに7曲しかなくてどうにも気持ちよくテープに収まらない。結局「ミュール」いらねぇやって、6曲を60分テープに収めて聴いてたなぁ。

鈴木:確かに俺のカセットも「ミュール」と「スペース・トラッキン」は途中で切れてた。そういうのありましたよね。アイアン・メイデンの3rd『魔力の刻印』も最後の曲「審判の日」が途中で終わっていてね、あと20秒位なんですけど、その先をずっと聴いたことがなかった(笑)。

烏丸:カセットテープの場合は、まちがってREC(録音)ボタンを押しちゃって、音が一瞬消えちゃうというのもありましたよね。いつもそれを聞いているから、毎回そこで音が途切れるのが当たり前になっちゃったりして。

鈴木:ありますあります、それもカセットあるあるですよね。俺の場合はね、ピンク・フロイド『炎〜あなたがここにいてほしい』のレコードが「クレイジー・ダイアモンド」で針飛びを起こすんだけど、ちょうど符割りがあっているの。だから、あそこのキーボードフレーズを何回も繰り返す「クレイジー・ダイアモンド」が僕のバージョンなんです(笑)。

烏丸:ぶはは、それはひどい(笑)。すごい時代ですね。それにしても今回はライブ盤を持ち寄りましたが、でも当時はライブ盤ってあんまり好きじゃなかったなぁ。

鈴木:それはあるかも。KISS『アライブ(地獄の狂獣KISS・ライヴ)』の第一印象は、意外と「あんまりよくねえなあ」だったんですよね。死ぬほど聴いたから持ってきたけど。


烏丸:でも名盤ですよ。「KISS聴くなら『アライブ』から」と言う人もいるくらいで。

鈴木:はい。だけどなんだろ、最初の「デュース」「ストラッター」から、テンポが違うなーって。

烏丸:ちょっと速すぎ?

鈴木:ほとんど速いんですよね。遅くなってくれるんだったらカッコいいんだけど、ちょっと速い。音もなんかね、特にドラムがスタジオ盤とぜんぜん違うから、それでがっかりした覚えがある。でも今聴くとね、みんながなんで凄えっていうか分かります。どの曲もライブ用にアレンジを直している点がスゴイんです。フェイドアウトの曲とか「こうやって終わるんだ…」って思ったな。

烏丸:確かに、フェイドアウトの曲をどうやって終わらせているのか、そこには凄く興味ありましたね。ライブ盤の醍醐味のひとつだったな。

鈴木:「こうやって終わるのか!」って凄く感動したのもあるけど、「え、これはないだろ…」というのもありますよね。ひどいなと思ったのはイーグルスの「ホテル・カリフォルニア」。

烏丸:「ジャジャジャジャ!」って強引な終わりね。僕も「え、こんな?」って思いました(笑)。

鈴木:多分ね、あまりにもソロがかっこよすぎて、いい終わり方が思い浮かばなかったんだと思うんですよね。だからフェイドアウトにしちゃったんだと思うんです。絶対そう。実際アウトロ(エンディング)って考えるの難しいんですよね。

烏丸:人間椅子の場合、フェイドアウトは?

鈴木:ほとんどないですね。特に和嶋くんは、エンディングまでかっちり作らないと気が済まないタチだから。フェイドアウトで終わらせるのって、なんかごまかしているような…そんな気がするような感じかな。

烏丸:分かります。なんか手抜きに見えるよね。

鈴木:そうなんですよね。「なんだ、エンディングが思い浮かばなかったのか?」って思っちゃう。でねフェイドアウトの曲って、終わりを長めに録っておくんだけど、そこを弾いているときって「どうせ聴こえなくなる」と思うと凄いむなしいんですよ。でもちゃんと演奏しなくちゃいけない。そういうときに限って凄いフレーズが出てきたりしてね、ガッカリ(笑)。どうせ聴かれないんだと思うと、すごく手が自由に動いて、むしろ良いプレイになる。

烏丸:これもミュージシャンあるあるですね。

鈴木:最近再発CDのボーナストラックで、そのフェイドアウト部分を出してきたりするんですよ。ディープ・パープルとかもフェイドアウトだからと思ってだるい感じで終わっていたりしてるの。でも意外と、力が抜けたいいプレイをしていたりするんですよね。リッチー(・ブラックモア)の力の抜け方はハンパじゃないですけど(笑)。

烏丸:気分が乗らないときの彼のライブのひどさ、ね。

鈴木:あれもライブ盤ならではですよね。『ライブ・イン・ジャパン』は凄く良いプレイをしていますけど、ひどいときはルート音をビーーンって伸ばしているだけだもん。「どんだけ機嫌悪いのよ」って思いますよね(笑)。

烏丸:あのときは、ステージ上でポーズとってパフォーマンスしているのかな?

鈴木:そうそう、画がないから想像するしかなくて、それがまた楽しいんだけどね。「リッチーが機嫌悪くて、またロジャー・グローヴァーやイアン・ペイスがハラハラしてる」とかね。だから、昔はリッチーのひどいソロを聴くとがっかりしたものだけど、今聞くと逆に楽しい。

烏丸:まさにライブだ。

鈴木:ライブ盤と言いながら人によってはスタジオで弾き直したりするけど、リッチーはそのままリリースしちゃう。そこがいいですよね。

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