【インタビュー】キサンドリア「大きなターニング・ポイントになる予感」

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21世紀のシンフォニック・メタル戦線をリードするキサンドリアが、通算7作目となるアルバム『シアター・オブ・ディメンションズ』を2017年1月25日に発表する。

◆キサンドリア画像

1997年にドイツでマルコ・ホイバウム(G)を中心に結成、ヘヴィでドラマチック、時にクラシカルな世界観で支持を得てきた彼らだが、本作『シアター・オブ・ディメンションズ』は、オランダ出身の歌姫ディアネ・ファン・ヒアースベーヘンを迎えて2作目となるものだ。“メタル・オペラ”と呼ぶべき壮大なスケールの展開は、多くのファンを圧倒するのと同時に、その抒情派サウンドで感涙にむせばせる。

バンドのベーシスト、スティーヴン・ヴッソウが“多次元の劇場”を舞台にした新作について語った。



──『シアター・オブ・ディメンションズ』の音楽性はどのようなものでしょうか?

スティーヴン・ヴッソウ:俺たちは同じアルバムを2枚作ることがないんだ。アーティストとして自然な進化を経ることが必要だと考えている。キャッチーな曲はよりキャッチー、ヘヴィな曲はよりヘヴィにしたかったんだ。合唱団を加えた「ホェア・ザ・ハート・イズ・ホーム」や「ア・シアター・オブ・ディメンションズ」のようなヘヴィでオペラチックな大曲もあるし、「バーン・ミー」は我々が最もポップ・ミュージックに接近した曲だ。「ダーク・ナイト・オブ・ザ・ソウル」もキャッチーな方向に向かった曲だね。ただ周囲にどう言われようと、俺たちは信じる道を進むしかないんだ。『シアター・オブ・ディメンションズ』は自分たちのあるべき姿だと信じているよ。

──スティーヴンがバンドに加入したのは2013年ですが、コミュニケーションはどのように取っていますか?

スティーヴン・ヴッソウ:特に努力しなくても心配ないよ(笑)。不思議なものだけど、もう永遠の昔からバンドにいる気がするんだ。俺が入ったちょっと後にディアネが加入したけど、パズルのピースがすべて揃った感じだった。第2の家族、ファミリーなんだ。お互いの家を行き来したり、飲みにいったり…今度フィリップ(レステマイヤー/ギター)と一緒にフランクフルトでオルター・ブリッジのライヴを見に行くよ。

──前作『サクリフィシアム』(2014)からディアネ・ファン・ヒアースベーヘンがバンドのシンガーとなりましたが、彼女はどのようにバンドに貢献していますか?

スティーヴン・ヴッソウ:『サクリフィシアム』は難しいアルバムだった。スタジオに入る直前にシンガーのマヌエラ(クララー)がバンドを去ることになったんだ。プライベートを大事にしたいという理由で、それは仕方ないと思ったけど、アルバム作りの直前、しかもツアーもブッキングされている状態でシンガーを失ったのは痛かった。そのときプロデューサーのヨースト・ファンデン・ブロークが「オランダ出身の良い女性シンガーがいるけど、会ってみる?」と提案してくれた。それがディアネだったんだ。彼女は素晴らしい声をしていたし、すぐに仲良くなったから、彼女がキサンドリアの新しいシンガーになるのは自然な成り行きだった。ただ、スタジオに入るまで4週間しかなかった。新曲はもちろん、その後のツアーでは昔の曲も歌えなければならない。しかもただ歌うだけではなく、ハートと魂を込めて歌えるようになる必要があるんだ。あと数ヶ月時間があれば彼女も俺たちももっと準備ができただろう。『サクリフィシアム』は良いアルバムだと思っているけど、あと数ヶ月あれば、150%良いアルバムになっていたよ。『シアター・オブ・ディメンションズ』は真のキサンドリアを披露する作品だ。ディアネの能力を100%発揮しているアルバムだよ。

──ディアネの加入はバンドのソングライティングにどんな要素をもたらしましたか?

スティーヴン・ヴッソウ:ディアネは元々クラシックの知識があるし、作詞・作曲の能力もある。だったらそれをフルに利用しないとね!マルコとディアンという才能あふれるソングライターがいることで、キサンドリアは音楽的にさらに深く豊かになった。ディアネはオランダ出身だけど、ドイツ人の我々と呼吸がピッタリだった。『サクリフィシアム』をリリースしてから150回ぐらいライヴをやってきたんだ。そうして全員でミュージシャンとしてステップアップすることができた。全員がより焦点を絞ったプレイヤーになったね。

──あなた自身は『サクリフィシアム』にともなうツアーでどのように成長しましたか?


スティーヴン・ヴッソウ:自分の音楽性の幅が拡がったのを感じる。元々1970年代スタイルのクラシック・ハード・ロックを聴いて育ったし、キサンドリアのメタル・スタイルに慣れるのに時間がかかったけど、今では慣れ親しんでいるよ。プレイの面でもゲリット(ラム/ドラムス)とお互いの呼吸を読むことができるようになった。このツアーは自分を大きく成長させたと思う。

──ヨースト・ファン・デン・ブロークは『サクリフィシアム』からプロデューサーを続投していますが、今回はソングライティングでも多くの曲でクレジットされています。彼の役割はどう変化したのでしょうか?

スティーヴン・ヴッソウ:ヨーストは前作の時点でもキサンドリアの音楽性に深く関わっていたんだ。彼はクラシックの素養があるし、幾つもアイディアを出して、メタルとクラシックの世界の橋渡しをしてくれた。『シアター・オブ・ディメンションズ』では彼の貢献度はさらに高くなっているし、作曲クレジットに彼の名前を入れるのがフェアだと感じたんだ。彼は本当のプロだよ。

──『サクリフィシアム』の後にリリースしたEP『ファイアー&アッシェズ』(2015)はどのような位置を占めるでしょうか?

スティーヴン・ヴッソウ:『ファイアー&アッシェズ』は『シアター・オブ・ディメンションズ』へと繋がっていく序章なんだ。ディアネも俺もチームの一員となって、ヨーストとの歯車もピッタリ噛み合っている。フルレンス作ではないけど、とても気に入っているよ。楽しみながら作ったEPで、カヴァーも2曲入っているんだ。『サクリフィシアム』のプロモーション用のフォト・セッション中に、ムードを乗せるためにBGMを流していたんだ。それでミート・ローフの「愛に全てを捧ぐ」が流れたら、全員がすごく盛り上がってね。いろんな思い出を話し始めた。「いつかカヴァーしようぜ!」という話になったけど、その時点でキサンドリアはカヴァーを録音したことがなかったから、あくまで冗談だったんだ。その翌年、EPを作ることになったとき、俺が「あの話、覚えてる?」って提案した。当初マルコは「冗談だろ?」って表情だったけど、とにかくやってみることにしたんだ。もしうまく行かなくても、発表しなければ誰にも聴かれることがないってね。実際やってみたらすごく良い出来だったし、EPに収録することにしたんだ。ソナタ・アークティカの「ドント・セイ・ア・ワード」は元々トリビュート・アルバム用にレコーディングしたのを再収録した。ソナタのファンだけでなく、キサンドリアのファンにも聴いて欲しかったんだ。他人の曲を俺たちなりにプレイするのは初めてだったけど楽しい経験だったし、またやってみるかもね。

──『シアター・オブ・ディメンションズ』の14分半のタイトル・トラック「シアター・オブ・ディメンションズ」について教えて下さい。どのように書いたのですか?どんな曲にしようと思ったのですか?

スティーヴン・ヴッソウ:「シアター・オブ・ディメンションズ」はアルバムで一番気に言っている曲だよ。この曲はミニ・オペラとして書かれたんだ。マルコがこの曲のアイディアを俺に話してくれたとき、実はピンと来なかった。ラフなデモを聴いた時点でも「うーん」という感じだったよ。でも男女のヴォーカルが加わると聞いて、なるほどと思ったんだ。ひとつの曲の中に3曲ぶんのアイディアが込められていて、キサンドリアの音楽が達したピークのひとつだと思う。

──インストゥルメンタル「ケイリー」はどんなところからアイディアを得たのですか?

スティーヴン・ヴッソウ:この曲はディアネのジョークから始まったんだ。ライヴ中に休憩できるようにインストゥルメンタルを書いて欲しいと言っていた。面白いアイディアだと思って、トライしてみることにしたんだ。マルコが書いた曲だけど、すごく楽しくて良いアイディアが入っているよ。アイリッシュ・フォークやフランスのアコーディオンとかね。「ケイリー」というのはケルトのお祭りのダンスを意味する言葉なんだ。それと女の子の名前っぽいと思った。マリリオンの「追憶のケイリー」って曲があるだろ?曲は全然似てないし、マリリオンからの影響は特にないけどね。実際に「ケイリー」をライヴでプレイするかはわからないけど、アルバムに起伏をもたらしている良い曲だ。

──アルバムには数人のゲスト・ヴォーカリストが参加していますが、まずソイルワークのビョルン・ストリッドについて教えて下さい。

スティーヴン・ヴッソウ:当初ゲスト・シンガーは1人だけのつもりだったんだ。ディアネと対比をなすグラウル・ヴォイスの持ち主を起用しようと考えていた。それでビョルンに頼んでみたらどうかと提案したんだ。ソイルワークとキサンドリアの音楽はまったく異なっているし、フェスで顔見知りになった程度だったけど、ダメ元で頼んでみたら快くOKしてくれた。彼は「ウィ・アー・マーダラーズ(ウィ・オール)」で凄まじいヴォーカルを聴かせているよ。ソイルワークは『ナチュラル・ボーン・ケイオス』の頃から好きだったから、参加してもらえて本当に嬉しかった。友達に触れ回ったよ。

──それ以外のゲストはどうでしょうか。

スティーヴン・ヴッソウ:ヘニング・バッセ(ファイアーウィンド)とロス・トンプソン(ヴァン・カント)は良い友達なんだ。ザヘル・ゾルガティ(ミラス)はマルコが「バーン・ミー」でアラビア的な要素を入れたら良いと考えて声をかけた。キサンドリアとミラスはアメリカのフェスに一緒に出て、面識があったからね。「アルバムで歌ってくれる?」と頼んで、みんな快諾してくれたよ。2016年9月に完成したアルバムをレコード会社に納入しなければならなくて、4人もゲスト・シンガーが参加するなんて、スケジュール的に不可能だと思っていたけど、すべてがスムーズに行った。彼らが参加してくれて、アルバムの世界が拡がったよ。

──ボーナスCD『アコースティック・アルバム』のアイディアはどこから得たのですか?

スティーヴン・ヴッソウ:『シアター・オブ・ディメンションズ』を完成させたとき、レコード会社が「全13曲あるなら、そのうち11曲をアルバム本編にして、2曲をスペシャル・エディション用のボーナス・トラックにしよう」と提案してきたんだ。でも、このアルバムは全13曲で完成されているし、2曲をカットすることはできなかった。それでボーナス・トラックを新たにレコーディングすることにしたんだ。前回のヨーロッパのファン・ミーティングでアコースティック・ミニ・ライヴをやったのを思い出して、アルバムからの曲と過去の曲をアコースティックでレコーディングすることにした。俺自身は「ヴァレンタイン」を特に気に入っている。

──2017年の予定を教えて下さい。

スティーヴン・ヴッソウ:2017年は世界中をツアーするんだ。1月にドイツでアルバムのリリース・ショーを2回行ったらアメリカ、ヨーロッパ…『シアター・オブ・ディメンションズ』は俺たちにとって大きなターニング・ポイントになる予感がする。2016年には南米で大規模なツアーをやって、最高の手応えがあったし、日本にもすぐに戻って、新作の曲をプレイしたいね。

取材・文:山崎智之


キサンドリア『シアター・オブ・ディメンションズ』

2017年1月25日日本先行発売
【50セット通販限定 直筆サイン入りフォトカート+CD+ボーナスCD】¥7,000+税
【初回限定盤CD+ボーナスCD】¥3,000+税
【通常盤CD】¥2,500+税
※日本語解説書封入/歌詞対訳付き
1.ホエア・ザ・ハート・イズ・ホーム
2.デス・トゥ・ザ・ホーリー
3.フォーセイケン・ラヴ
4.コール・オブ・デスティニー
5.ウィ・アー・マーダラーズ(ウィ・オール)
6.ダーク・ナイト・オブ・ザ・ソウル
7.ホエン・ザ・ウォールズ・ケイム・ダウン(ハートエイク・ワズ・ボーン)
8.シップ・オブ・ドゥーム
9.ケイリー
10.ソング・フォー・ソロー・アンド・ウォ
11.バーン・ミー
12.クイーン・オブ・ハーツ・リボーン
13.ア・シアター・オブ・ディメンションズ
《ボーナスCD:アコースティック・アルバム》
1.コール・オブ・デスティニー
2.ダーク・ナイト・オブ・ザ・ソウル
3.イン・リメンバランス
4.スイート・アトーンメント
5.ヴァレンタイン

【メンバー】
ダイアン・ファン・ヒアースベーヘン(ヴォーカル)
マルコ・ホイバウム(ギター)
フィリップ・レステマイヤー(ギター)
スティーヴン・ヴッソウ(ベース)
ヘリット・ラム(ドラムス)

◆キサンドリア『シアター・オブ・ディメンションズ』オフィシャルページ
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