【インタビュー】なぜ水曜日のカンパネラは絶対的オリジナリティーを放つのか? コムアイ&ケンモチヒデフミの思考回路を探る

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「変わってるわー」。水曜日のカンパネラのボーカル&パフォーマー・コムアイがそう言われてる場面を、よく目にする。はあ? である。人とは明らかに違った表現が出来る人のことをアーティストと呼ぶんじゃないのかい。しかも彼女は、瞬間瞬間に自分が感じたことを最良の形で表現しているように見える。もっともそれは単なる予測。だから真相を知るべく会ってみたかった。折しもメジャー第一弾アルバム『SUPERMAN』がリリースされるというタイミング。しかもインタビューには、これまた信じられないぐらいオリジナルな詞と音を作るケンモチヒデフミも参加してくれるという。まだまだリリースまでには時間がある昨年の12月、二人に初対面した。

◆水曜日のカンパネラ 画像

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■ 「カメハメハ大王」でハワイのこと調べすぎて、PCに出てくる広告が全部ハワイ・ツアーになった(笑)

── ニュー・アルバム1曲目収録「アラジン」のミュージック・ビデオ。あれは画期的だと思ったんだよね。動きで見せる映像って振り付け通りだったりするけど、「アラジン」のソレは2度と同じことは出来ない印象だったから。

コムアイ:確かに出来ないですね。使われているのはあの場所で撮った一回目の本番テイクで、しかもそれは1曲丸ごと通しで撮ったものだったんですよ。ま、要所要所には事前に決めた動きっていうのも入ってるんですけど、基本的には振りって覚えられない(笑)。そのとき曲を聴いて湧いてくるものしか出来ないんです。

── そのライヴ感が、何度見ても飽きない内容を作ってるんじゃないかな?

コムアイ:うん。一遍いいシーンだけを集めて編集したものも作ってみたんですけどね。そうするとグッと来ない。1カットでズーッと撮ってていいのは、その途中で「やべえ! 次の動きが思いつかない」ってなった時のちょっとした空白を見ている人も感じて緊張してくれること。思わずしてしまった変な動きも入ること。見てて惹かれるのはたぶんそういう所だと思うんですよ。逆に全編振りがあると安心してしまって、そういう表情が出てこないんですよね。


── ピタゴラ装置のようなアクションとリアクションの連鎖。それはケンモチくんの詞にも感じたんだけどね。

ケンモチヒデフミ(以下ケンモチ):あ、なるほど。たしかに書き始めた時とは最後のオチが変わってくることはけっこうありますね。言葉のハネ方で「あ、こういう流れにしていった方がおもしろいな」ってドンドン変化していくんで。まさにライヴ、じゃないですけど。

── 変化のきっかけは直感?

ケンモチ:何回かアップデートします。とりあえず最初はメロディーにはめてみる。その際「この曲は意味っていうより音をはめたいな」と思ったらハナモゲラで歌って、近い言葉を当てていく。それを歌詞として見て甘い所があったら言葉の組み合わせを変えてみたり…。

── 一人でやるセッションのような。

コムアイ:うん。

ケンモチ:で、日が変わってみると「あ、ここはダメだ」って分かったり。1週間ぐらいそんなことばっかりやってます(笑)。

── 詞を見せてもらうのは完成してから?

コムアイ:ケンモチさんの詞ってEXCEL(表計算ソフト)のシートに書いてあるんです。何列にも区切ってあって歌詞の列、ネタ群の列みたいに分かれていて。

ケンモチ:そういう部分じゃかなりロジカルな作り方ですね。

コムアイ:で、迷っている場合はそれを見ながら「こっちの言葉の方がいいんじゃない?」って言ったりすることはありました。そうすると彼は歌詞の横の列にその言葉を置いて比べたりしてます。でも今回は、以前のようにこっちから言うことはしないようにしたんです。

── それはなぜ?

▲アルバム『SUPERMAN』

コムアイ:詞って歌ったものを客観的に聴いてみないと良し悪しが分からないから。だから、まずは気になったことも言わないでやる方向(笑)。その方が歌うまでに「こういう風にしたい」という気持ちの貯金も貯まるし、そのことで歌がよくなる気がしたんです。

── 実際そうだった?

コムアイ:うん。あんまり歌詞の内容を拾うことはしなかったんですけどね。集中力を向けたのは音の方で。トラックをすごい真剣に聴いて、自分が飲み込まれてからやる、みたいな。

── 曲のノリに没入したのち歌う。

コムアイ:そうするとうまくいく。クラブで1時間とか踊ってるとあとは自然に体が動くのと同じで。

── あー、あるね、そういうの。

コムアイ:私は歌詞について考えるよりそっちの方が本当な気がして。相変わらず音で歌詞を読んでるし。

ケンモチ:ボクもまず曲名でコンセプトが与えられたあと、トラックを作って、最後に歌詞を考える。だから曲に引っ張られて詞を作ってる所があるんです。

── でも詞は詞ですごい! 聴き手に雑学があればあるほど楽しめる内容、というか。

コムアイ・ケンモチ:あー、そうですねー。

── 例えば「世阿弥」の“義教公は冷たい”とか。

ケンモチ:世阿弥は足利義満にはすごい気に入られて、

コムアイ:お金もかけてもらってたんだけど、

ケンモチ:義教公になると冷たくされて…。

── そういうことって趣味で知ってるの?

ケンモチ:調べてるんですよねー、毎回。1曲ごとに膨大な量を。時間ないからメシ食いながらYouTubeで能の映像みたり(笑)。

──「オニャンコポン」に出てくる“西アフリカ ガーナのアシャンティ州”っていのも調べたらちゃんと出てた。カカオの産地として(笑)。

ケンモチ:「世阿弥」とかは世の中に大量の情報が流れてるけど、「オニャンコポン」に関してはあんまり情報がなかった。そういう時は想像でふくらませたり、ぜんぜん関係ない話を盛り込んだりしています。

コムアイ:「カメハメハ大王」もネタがなくって困ったよね。調べたら意外とない。


── 有名な人なのに。

コムアイ:事件とかなかった人なんですよ(笑)。

ケンモチ:カメハメハの時は、ハワイのこと調べすぎて自分のPCに出てくる広告が全部ハワイ・ツアーのになって。こっちは行きたいから調べてるんじゃないのに(笑)。

コムアイ:ハワイ好き女子だと思われたのかもねー。

ケンモチ:かと思うといきなり能のこと調べだしたり(笑)。

──「チンギス・ハン」はモンゴルが舞台だけど使われてるコーラスはアフリカのものだよね?

ケンモチ:マサイ族のですね。

── そこで前曲のガーナから繋がってたりするの?

ケンモチ:なるほど、じゃそういうことにしておきましょう(笑)。

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