未完成アイドル？ 動員0人を乗り越え、120名のファンと1stワンマンライブ

2017年1月22日、六本木morph-tokyoにて＜未完成リップスパークル 1st Anniversary ワンマンライブ ～完成への片道きっぷ～＞が開催された。

◆未完成リップスパークル画像

未完成リップスパークル（通称：ミリスパ）は、2015年に開催されたオーディションで集まり、2016年1月22日にデビューした4人組アイドルグループだ。そう、この1stワンマンは、デビュー1年後に、同じ会場、同じ時間に行われたライブだ。

開演時間は、1年前に彼女たちが出演した18時。1年前に披露した3曲を冒頭に用意し、1年前を再現した。違うのは彼女たちの前には、120名のミリスト（ミリスパのファンの総称）がいることだ。


毎日、多くの場所で行われているアイドルライブ。数えきれないほどのアイドルグループが上を目指して活動するなか、どうやったら自分たちを見つけてもらえるか？　ミリスパも悩みながら1年を過ごしてきた。デビューはゴールでなくスタート。ライブを重ねるほどに悩みは増える。1年間で約180本のライブを行ってきた彼女たちには、動員が0人というライブがあったという。自分たちがなぜこの活動をしているのか？このまま続けていいのか？ということにも悩んだ。それを乗り越えて、この日を迎えることができたのはメンバー4人が自分たちの気持ちを正直に互いにぶつけ合い、気持ちをひとつにしたことだという。そして、ライブというステージ上の活動だけでなく、ライブがない日にはチラシ配布を行い、一人でも多くの人にミリスパを知ってもらう努力を惜しまない。

「ミリスパは、どんなアイドル？」という質問には、キャピキャピした可愛いアイドルではなく、不細工な顔でがむしゃらにライブをする、汗の量なら負けないアイドル、と語る。

そんな彼女たちのライブは、ファンを巻き込むことが特徴。ライブでは、オリジナル4曲を披露したあと、4人が2人ずつに分かれて、ユニットカバーコーナーへ。さえとさくらは、可愛らしく「となりのバナナ」を。すみれとみゆうは、大人っぽく「夢幻クライマックス」を。





それぞれ思い出に残っているライブの話をしたあとは、事務所の先輩アイドルまなみのりさが歌唱する「キライじゃないのぉ」をミリスパバージョンで初披露。可愛らしい動きが、新たな「キライじゃないのぉ」として生まれる。さくら作詞のモンスターと女の子が恋をするという「らぶモン」は、非現実的なことを書きたいと思った彼女の自信作。本編ラストは、「私信津々恋愛CHU」。ライブは、冒頭で宣言した通り思い切り“ぶち上がり”、会場はひとつになった。

アンコールは、アレンジが変わりテンポアップした「ポラリスAb（ミリスパバージョン）」だ。こちらも、新しい曲としてミリスパのオリジナル曲に加わることだろう。続いて、「夢の中ワンダーランド」「私信津々恋愛CHU」を披露した彼女たちは、たくさんの“ありがとう”と“大好き”を伝えステージを降りた。

辞めたいと思ったこともあった、逃げ出したいと思ったこともあった。それは正直な気持ちだろう。それを隠して、辞めたいと思ったことはないと言い切ることもできるけれど、そんなに人は強くない。普通の女の子が夢を見るとき、そこにはキラキラと同じだけの障害がある。それを乗り越えた数だけ強くなれるのであれば、まだまだ未完成な彼女たちも、これからゴールない完成に向けてひとつずつ目標をクリアしていくだろう。






ライブ終了後には、写真で振り返る1年がスクリーンに映される。初めてのライブ、練習風景、オフショット。どこにでもいる普通の女の子が輝くためには、いくつもの越えるべき壁がある。この日、彼女たちはそのひとつを越えたのだろう。

写真：中邑ヒロシ
寄稿：伊藤緑　http://www.midoriito.jp/




◆未完成リップスパークル・オフィシャルサイト