オアシス、ロックンロール・ドリームの一瞬の夢と輝き 〜映画「オアシス フジロックフェスティバル’09」を観て〜

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あの日、大雨の降りしきる苗場の地で、世界最高のロックンロール・バンドのステージを堪能したオーディエンスは、これが最後になるとは考えもしなかっただろう。2009年7月24日、フジロックフェスティバル初日、グリーンステージのヘッドライナー。オアシスは日本でのライヴを終え、その1か月後の8月28日、ノエル・ギャラガーの脱退によってバンドの歴史に幕を引く。オリジナル・アルバム全7作が全英1位、アメリカや日本でも大成功を収め、全世界でアルバム・セールス7000万枚。数々の栄光に包まれたバンドは、手を滑らせて落ちたガラスのコップのように、一瞬のうちに壊れて消えた。いつまでも聴き継がれるであろう、いくつもの名曲を残して。

◆オアシス画像

その、伝説のバンドの日本における最終公演を収録した映画『oasis FUJI ROCK FESTIVAL'09』が、3月4日から全国の映画館にて、期間限定で上映される。タイトル通り、あの日の苗場のステージのすべてを、約100分にわたって収録したライヴ映画だ。リアム・ギャラガー(Vo)、ノエル・ギャラガー(G&Vo)、ゲム・アーチャー(G)、アンディ・ベル(B)、そしてサポート・ドラムとキーボード。90年代からゼロ年代にかけて、紛れもなく世界の頂点を極めたバンドが、日本で最後に見せてくれた夢はどんなものだったのか。試写会での体験をもとに、ひとあし早く紹介しよう。


オープニング・シーンは、鮮烈だ。大雨をものともせず、広いグリーンステージ前の敷地を埋め尽くした大観衆が、オアシスの登場に一斉に手を振り上げる。地鳴りのような歓声が湧き上がる、鳥肌の立つ瞬間をカメラが見事にとらえる。カーキ色のモッズコートを着たリアムが、ふてぶてしい態度でタンバリンを口にくわえる。「ロックンロール・スター」のイントロが爆音で鳴り響き、爆発の衝撃波が会場全体へと広がる。スマホやテレビはお勧めしない。映画館の大画面でしか味わえない、とんでもない大迫力だ。

セットリストは、完全フェス仕様。つまり代表曲、ヒット曲が立て続けに登場する。「ライラ」「シガレッツ&アルコール」「ロール・ウィズ・イット」。序盤は肩慣らしのようだったリアムの声も、1曲ごとに力強さを増してゆく。ド派手なロックンロールだけじゃない。ノエルの歌う「ザ・マスタープラン」、リアムの作った「ソングバード」と、アコースティック・スタイルの名曲二連発。時にアンディがキーボードに回り、ゲムはアコースティック・ギターを、ノエルがアコギの時にはエレキでリードも取る。ギャラガー兄弟を支える実力派ふたりの存在が、最終ラインナップのオアシスにとってどれほど重要だったか、この映像を見ればよくわかる。


重厚な「スライド・アウェイ」から猪突猛進の「モーニング・グローリー」へ。世界中のロック・ファンを熱狂させてきた本物のビッグ・サウンドが、雨の降り続ける苗場に轟く。ノエルが歌う「ハーフ・ザ・ワールド・アウェイ」は、バンド初期の曲だが日本のステージでは初披露。にも関わらず、客席からの大合唱がスピーカーから聴こえてくる。このライヴのもうひとりの主役は、オーディエンスだ。洋楽アーティストのライヴで、これほど大音量のシンガロングが聴こえる映像は、他に類を見ないはずだ。

ライヴ後半。「ワンダーウォール」「スーパーソニック」「リヴ・フォーエヴァー」…次々と繰り出される必殺の名曲たちが生み出す熱狂を、一体どう表現すればいいだろう。「ドント・ルック・バック・イン・アンガー」で、サビを丸々オーディエンスに歌わせたノエルが、満足げな表情を浮かべる。無数の手が、おだやかな波のようにワイパーを繰り返す。オアシスは、洋楽ロック・ファンのみんなのうただ。

壮大な「シャンペン・スーパーノヴァ」から、ノイジーでサイケデリックを極めたザ・ビートルズ・ナンバー「アイ・アム・ザ・ウォルラス」へ。歌い終わったリアムが、タンバリンを高く投げあげてステージを去っても、延々と続くジャム・セッションのアウトロ。最後にノエルの姿が見えなくなっても、いつまでもやまない拍手。まさかあれが最後になるとは、あの時は考えもしなかった。

全編通して、カメラワークは的確で美しい。メンバーのアップに加え、オーディエンスの様子をとらえた引きの画もふんだんに盛り込み、ライヴ全体の迫力がよく伝わってくる。リアムは時にラフな様子を見せるが、ノエルはギターも歌も緊張感高く集中している。あの時彼の頭の中には、もう脱退の二文字はあったのだろうか?と、歌う横顔を見ながらふと思う。答えは神のみぞ知る。はっきり言えるのは、この『oasis FUJI ROCK FESTIVAL'09』が、世界の頂点を極めたバンドが最後に到達した場所として、歴史的にも音楽的にも大きな価値を持っているという事実だ。

彼らのようなバンドは、その後出ていない。今も中断されたままのロックンロール・ドリームの、一瞬の夢と輝き。それを、どうか映画館の爆音の中で体感してほしい。


『oasis FUJI ROCK FESTIVAL'09』

3月4日(土)19:00~ ※一部劇場では2週間上映
新宿ピカデリーほか、全国にて“期間限定”上映
入場券のみ:2,500円(税込)
公開記念グッズ付き入場券(入場券+トートバック+Loppi限定フリーサイズTシャツ):7,500円(税込)

【抽選先行受付】
・受付期間:〜2/7(火)23:59
・当選発表:2/15(水)12:00〜
※チケットのお渡しは2/15(水)12:00より、グッズのお渡しは3月下旬を予定しております
※公開記念グッズ付き入場チケットは先行受付のみの販売となり、一般発売はございません
【一般発売】
・販売期間:2/23(木)10:00〜各会場売切次第終了
※公開記念グッズ付き入場チケットは先行受付のみの販売となり、一般発売はございません

入場券はいずれも会場・日時・座席指定にて、ローソンチケットでの販売となります
お買い求め、詳細情報はこちら:http://l-tike.com/oasisfrf09


協力:ソニー・ミュージックレーベルズ、ソニー・ミュージックパブリッシング、スマッシュ
宣伝:ローソンHMVエンタテイメント、スキップ
配給:ローソンHMVエンタテイメント、カルチャヴィル
セット・リスト(全20曲):ファッキン・イン・ザ・ブッシーズ/ロックンロール・スター/ライラ/ショック・オブ・ザ・ライトニング/シガレッツ&アルコール/ロール・ウィズ・イット/ウェイティング・フォー・ザ・ラプチャー/ザ・マスタープラン/ソングバード/スライド・アウェイ/モーニング・グローリー/マイ・ビッグ・マウス/ハーフ・ザ・ワールド・アウェイ/アイム・アウタ・タイム/ワンダーウォール/スーパーソニック/リヴ・フォーエヴァー/ドント・ルック・バック・イン・アンガー/シャンペン・スーパーノヴァ/アイ・アム・ザ・ウォルラス
上映劇場
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※*劇場は2017年3月4日(土)より2週間の上映、それ以外の劇場は3月4日(土)のみの上映


◆『oasis FUJI ROCK FESTIVAL'09』オフィシャルサイト
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