【機材レポ】松本孝弘、『Electric Island, Acoustic Sea』REC機材に「武道館で使ったプロトタイプも」

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B'zの松本孝弘とダニエル・ホーによる“Tak Matsumoto & Daniel Ho”が2017年2月8日、アルバム『Electric Island, Acoustic Sea』をリリースする。“日本とハワイ”、まったく異なるふたつの島国文化を持つ音楽がブレンドされたインストゥルメンタルは、音楽に対する真摯で温かい姿勢が1音1音に感じられる仕上がりだ。

◆松本孝弘REC機材 画像

“両グラミー・ウィナーの初共演”となったアルバム『Electric Island, Acoustic Sea』は、松本孝弘が唯一無二のエレクトリックギターで奏でる美しいメロディと、ダニエル・ホーが織り成す色彩豊かなアコースティックの楽器群が融合。それぞれの背景にある音楽文化と特性がアメリカ西海岸で出会って極上のサウンドを産み落とした。

「“Electric Island”がTakさんという、中心にある島。メロディ担当ですね。私がその周りを(“Acoustic Sea”として)囲んで2つの文化を融合させるというアイディアです」──ダニエル・ホー

つまり、松本孝弘の弾くエレクトリックギターを中心に、ダニエル・ホーが琴、三線、太鼓、ウクレレ、イプヘケ、スラックキーギターなどの伝統的アコースティック楽器群で取り囲むというサウンドプロダクツ。アルバムタイトルは両者の融合がピースフルでナチュラルなカタチで行われたことも意味しているようだ。レコーディングは、それぞれのハウススタジオでの作業を基本としたものだが、「全体的に時間もあったし、わりとゆっくり、いろいろなことができました」と松本孝弘。

「ダニエルさんは自らエンジニアもやるんだけど、「エレクトリックと一緒にやるのは初めてだから、上手な録り方を知らない」っていうことを言っていてね。今回の僕のギターのほとんどはいつものエンジニアと東京で録っているんですよ。結果的に音源に収められたサウンドは個々のスタジオで録ったものですけど、ダニエルさんのハウススタジオで一緒に音を鳴らしたり、実際に一度録ってみたりもしたしね」──松本孝弘

その際にはダニエルのスタジオに松本孝弘の楽器群が集結。「スタッフさんと膨大なエレクトリック機材を僕のスタジオに運び込んだんですが、あんなに多くの機材がスタジオに入ったのは初めて(笑)」とダニエル。それらチャレンジを含め、今回のレコーディングは「音楽的な高揚感をもって、楽しみながら制作することができました」と明かしてくれた。

「Takさんと僕とは、音楽的に属しているジャンルは違うと思うんですけど、音楽に対するヴィジョンや規律がマッチしているんです。音の細部へのこだわりは、その最たる例で、決して荒々しくはない。1音1音に目を配っているんです。たとえば、ロックなエレキギターの持つ出力的なエネルギーの大きさと、アコースティックではレベルがまったく異なるものですよね。そこはエンジニアがエレクトリックとアコースティックを絶妙のバランスでミックスしてくれた結果、1音1音が意味を持つサウンドとしてしっかり繊細に表現することができた。ギターレコーディングの勉強になった部分のひとつです」──ダニエル・ホー

感情豊かなサウンドは、個々の楽器による多彩でデリケートなタッチが何層にもわたって表現されていることによるもの。ここからは、松本孝弘が『Electric Island, Acoustic Sea』レコーディングで使用したギターをご紹介したい。

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▲<Gibson Tak Matsumoto 1959 Les Paul>
収録全12曲中8曲で使用されたのがGibson Tak Matsumoto 1959 Les Paulだ。これはアルバム『enigma』を掲げて行われたツアー<Tak Matsumoto Tour 2016 -The Voyage->にてニューギターとして登場していたもの。自身が以前より所有している1959年製のレスポールを採寸/計量し、フォルムやスペック、経年変化によるキズやクラックなどのルックスまで細部にわたって再現されたのみならず、ピックアップの電圧を計測してそれにマッチさせるなど、そのすべてが1959年製オリジナルの現在の状態を再生させたものとなる。

松本孝弘曰く、「武道館公演でも使ったプロトタイプですね。1959年オリジナルモデルに比較して、今のものはやっぱり弾きやすい。見た目は、綺麗なトラ目だったり、キズも同じところにつけてあったりするから、本当に僕の1959年製オリジナルと同じなんだけどね。今回のツアーは、このレスポールとフライングVが中心になるんじゃないかな」とのこと。

機材テクニシャンによると、「オリジナルの1959年製よりもプロトタイプのほうがローがあると思います。同じようにつくっても木材の乾燥状態が異なるので、1959年製オリジナルはやっぱり乾いた音がするんです」と語ってくれた。ちなみに、ヘッド裏に書かれた“Tak M LP Proto #1”はプロトタイプならではのもの。シリアルナンバーの刻印はないが、仕様およびサウンドとしては完成の域に達している。今回のレコーディングでは、「Soaring on Dreams」「Fujiyama Highway」「Faithfully」「Sunny Tuesday」「Wander Blues」「Adrenaline UP!」「Island of peace」「Lia」で使用した。


▲<Les Paul 1957 Gold Top Reissue 1991 #1-8283>
1957年製ゴールドトップのリイシューは、「Fujiyama Highway」「Magokoro (True Heart)」「Infinite Escapade」「Wander Blues」「Omotesando」の5曲で使用。後述するGibson Les Paul Gold Top 1956 P-90 #615315のメンテ中に入手した1991年生産モデルで、「Tak Matsumoto 1959 Les Paulと比較するとジャキジャキしたサウンドが特徴です。トーンとしてはソロで映えると思います」(機材テクニシャン)とのことだ。ピックアップカバーを外したゼブラカラーがルックスにインパクトを与えていることに加え、もともと付いていたピックガードを取り外し、ビス穴を木材で埋め込んでリフィニッシュしているとのこと。


▲<Gibson Les Paul Gold Top 1956 P-90 #615315>
「Adrenaline UP!」で使用した1956年製ゴールドトップ。ピックアップにP-90を搭載したモデルだけに、シングルコイル・ピックアップのサウンドを欲するときに重宝される。今回は、「ハムバッキングではないんだけど、起こし気味のパワー感はほしいというところで採用されました」(機材テクニシャン)。B'zのアルバム『SURVIVE』(1997年発表)当時に入手したもので、前ソロアルバム『enigma』レコーディングでは最も使用頻度が高かったヴィンテージギターだ。


▲<Gibson Les Paul Standard 1961 #15712>
<B’z LIVE-GYM 2015 -EPIC NIGHT->で使用した松本孝弘生まれ年のGibson Les Paul Standard 1961 #15712は、SGシェイプながら1961年の開発当初レスポールと呼ばれていた最初期のものであり、トラスロッドカバーには“Les Paul”の刻印が。今回のレコーディングでは「Omotesando」で使用。クリーントーンでその存在感を発揮した。

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