【インタビュー】Tak Matsumoto & Daniel Ho、松本孝弘が語る「このユニットじゃないとこういう音にはならない」

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Tak Matsumotoの最新作『Electric Island, Acoustic Sea』が2月8日に発売となる。ラリー・カールトンとのコラボ作『TAKE YOUR PICK』を発表した2010年からほぼ2年毎にコンスタントにソロ作品を生み続けてきた松本孝弘だが、ここに来てアクセルをさらに踏み込み、前作『enigma』から1年も待たずして10ヶ月という短期間で新たな作品を打ち出してきた。しかも自由気ままなソロではなく、他アーティストと思いを交流させるラリー以来のコラボレーション作品だ。

◆Tak Matsumoto & Daniel Ho 動画

泉のごとく湧き出ずる制作意欲に身を任せる松本孝弘は、ミュージシャンとして極めて純度高い状態にあるとみえる。ダニエル・ホーとひざを交え、彼はどのような景色を見たのだろうか。

   ◆   ◆   ◆

■お互いが島国同士だから
■「らしいものを創ろうよ」みたいな

──前作『enigma』からあまり時間が経ってないですね。制作意欲が加速している状況ですか?

松本:そうですね。ちょうど『enigma』ができた後にダニエルさんから「何か一緒にやりませんか?」という話を頂いたんです。やるんだったらちゃんとアルバムとして形にしたいと思ったので。

──ダニエル・ホーもそのつもりだったんでしょうか。

松本:ダニエルさんはまず1曲持ってきて「どうですか?」って感じでした。それで彼の家のスタジオでギターを弾いたんです。どういうものになるのか分からなかったけど、「アルバムにしましょうよ」って。

──そもそもダニエル・ホーとの出会いは?

松本:共通の知人から、「ダニエル・ホーっていう面白いミュージシャンが友達にいて、ぜひTakさんに紹介したいんだよね」って。

──ウクレレ・プレーヤーとして紹介を受けたんですか?

松本:元々ハワイアンなんだけれども、クラシックの人とかスパニッシュ・ギターの人とかとも、いろいろやっている人で、「ほんと面白いから一回会ってみなよ」って紹介されたの。実際、本当にいろんな事ができる人で、しばらくして彼が曲を持ってきた。

──急速に話が進展していったんですね。

松本:そうなったら速いよね。もうね、制作意欲が湧いてきて。

──ラリー・カールトンとの制作状況とは、また違うものだった?

松本:いや、ラリーさんのときもわりとそんな感じだった。ラリーさんから連絡をもらって、「ちょっと早めに日本に行くから、そこで何日かやろうよ」って。それからずっと「ラリー・カールトンと一体何ができるんだろう」って考えていて、なかなか定まらなかったんですよ。

──どんなセッションになるかわからなかった?

松本:「どうしようかなあ」「どんなものを創ればいいんだろう」って。ラリーさんから直接言われたので「これは何とかしないといけないな」って思って、自分のイメージで2〜3曲創って行ったんですよね。で、ラリーさんに「どうしますか?」って言ったら、「いや、Takの曲やろうよ」って。それで3曲ぐらい形にした。その後にラリーさんが曲を書いて送ってきたんですよね。

──自然な流れですね。

松本:そう。そんな経験もあったんで、とりあえず「やる」って言っちゃって事を始めちゃえば、何とかなるんじゃないかと(笑)。だから、『enigma』のすぐ後だったけど「創る」って言っちゃって、それからマネージメントに相談して締め切りを決めてもらって進めていった。

──休みも取らず精力的にスタートさせた一番の理由/モチベーションって何ですか?

松本:それはやっぱり、彼が素晴らしいミュージシャンだから。

──純粋にやってみたかった?

松本:そうそう。一緒に演ることで自分自身も向上するだろうし。

──逆にダニエルさんは、どうしてTak Matsumotoと演りたかったんでしょうね。

松本:それはダニエルさんに聞いて下さい(笑)。

──ですね(笑)。今回はどういう作品を作ろうと思いましたか?

松本:コラボレーションをやるときはいつもそうなんだけど、違う要素が入って融合するわけだから、やってみないとわからない。

──計画を立ててもうまくいかない?

松本:計画が立たない。だから僕は、逆にダニエルさんの出方をしばらく見てたんだよね。最初にダニエルさんが4曲くらいまとめて持ってきたときから「ああ、わかった。こういう風のだったら、僕はこう創ろうかな」と思ってね、そんなことで進んでいった感じかな。

──ダニエル・ホーはいろんな楽器をプレイするので、どんな引き出しを開けてくるのかわからないですよね。まさかの三線や琴の音まで飛び出してきたわけで。

松本:あの辺はダニエルさんのイメージですよね。それこそ「Fujiyama Highway」なんて、元々はいつもの僕の感じの曲なんです。ダニエルさんのパートを抜くといつもの感じになる。ダニエルさんはそこで「ここに三線入れてみよう」とかイメージが湧くんだろうね。非常に面白いなと思った。いつもの僕のまんまだと新鮮味もないんだけど、彼が重ねていくことによって、どんどん面白くなったよね。

──アメリカ人から三線の音が出てくるとは想定外でした。

松本:自分のハウススタジオでダビングしてくるから、彼が三線をプレイするところは見ていないんだけど、ウクレレタイプの特製の三線らしいですよ。ダニエルさんはアジアの楽器にすごく興味があるみたいで、僕以上に東洋的なエッセンスを入れますよね。

──逆転していますね。

松本:いろいろ一緒に創り続けていくうちに、段々とそういうイメージが彼にも湧いてきたんだと思うんだよね。僕は日本人で彼はハワイ出身だから島国同士で、「らしいものを創ろうよ」みたいなね。

──お互いにアイディアを持ち寄る時点で、向いている方向が違って軌道修正することは?

松本:今回はほとんどなかった。お互いの楽曲やプレイに対して、「いや、これはやめようよ」とか「この音は抜こうよ」とか、まったくなかった。

──それは凄い。うまく息が合ったんでしょうね。

松本:そうでしょうね。また「それがいいな」と思える価値観とか、ちょっと似ているのかもしれない。

──それでも、斬新さ/新鮮さは満載で。

松本:そうだね。「Fujiyama Highway」は、エレキギターと三線でソロの掛け合いがあるでしょ? 最初は、いつもの感じで僕が延々と弾いてたんですよ。そしたら、バッキングに三線を入れてきたんで「これはふたりで半分ずつ弾こうよ」ってことにして、ソロパートも一緒にやることになったんだよね。

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