【インタビュー】VALSHE、10thシングル完成「キレイに死ぬより楽しく汚く生きていく」

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VALSHEが2017年2月8日、ソロ復帰後初にして10枚目のシングル「MONTAGE」をリリースする。約2年ぶりとなるシングルの表題曲は、ViCTiMで培ったバンドサウンドを継承しながら、ソロ従来のデジタルサウンドとのせめぎ合いが激しく新しいハードチューンだ。<VALSHE Sixth Anniversary Live OUROBOROS –FANG&TAIL–>でサプライズ公開され、ライヴ会場の温度を一気に高めたことも記憶に新しい。

◆「MONTAGE」ミュージックビデオ

“イキザマ★モンタージュ”をキャッチコピーとした本作には、十人十色の生き方や、人生の分岐点を切り取ってコーラジュしたような世界観が描かれた。カップリングに引き継がれたストーリー展開はVASHEならではの感性と技巧に溢れ、1枚を通して深く刺激的。自身初のソロダンスを取り入れたミュージックビデオや突如ピンクに染めた髪を含むアートワークなど、視覚的注目ポイントも尽きない。「MONTAGE」制作やミュージックビデオ撮影の裏側、2017年の活動について訊いたロングインタビューをお届けしたい。

   ◆   ◆   ◆

■1つ1つの自分の選択や出会いで
■人生が変化する様を感じていた

──シングルとしては2年ぶりとなる「MONTAGE」はポップでパンクで毒もあるアッパーチューンですが、どんなふうに生まれた楽曲ですか?

VALSHE:1stシングル以来、久々に応援歌になるような曲を作りたいと思って書いた曲です。

──VALSHEさんの場合、最初にミュージックビデオの映像が浮かんで曲ができることもありますよね。

VALSHE:この曲の場合はまずサビが出来て、次にミュージックビデオに出てくる“雑多な部屋のイメージ”が浮かんだんです。それから楽曲をフルで完成させてジャケットなどのアートワークを考えていきました。

──時計やぬいぐるみやキャンディーに囲まれているおもちゃ箱みたいなぶっ飛んだ部屋のことですよね。

VALSHE:あの部屋は自分の頭の中をイメージしたものなんです。普通の部屋にはないようなカラフルなものが置かれているんですが、時間がつねに張り巡らされている感じをたくさんの時計が示していたり。だから、非日常的な空間になっているんです。

──VALSHEさんの部屋になくて、この部屋にあるものは?

VALSHE:まず、自分の部屋はもうちょっとキレイ(笑)。実際には真逆ですね。モノトーンでモノがあまりない生活感のない空間です。でも、ミュージックビデオの中の部屋は自分の好きな色だらけだったり、好きな服がかかっていたり、おもちゃが置いてあります。特にピンクのロディくんはAmazonで見て「これがいい」ってリクエストして持ってきていただきました(笑)。1つ1つのアイテムにこだわった自分が好きな部屋です。

──なるほど。ミュージックビデオの話は後で詳しく聞くとして「MONTAGE」はデジタル色が強いナンバーに仕上がりましたね。

VALSHE:サウンド的には前作『RIOT』(ソロ復活第一弾ミニアルバム)をバンド体制で作ったこともあって、今回は自分の下地になっているデジタルサウンドを突き詰めてみたらどうなるのか試してみたくて、がっつりデジタルで行こうと思ったんです。『RIOT』を経てもう1回新しいデジタルサウンドに着地したいと考えていたので、時間が許す限りアレンジもやり直して今の形になりました。ライヴでバンドサウンドになることを想定してアレンジするのはつまらないと思ったので遠慮せずにデジタルに振り切っていこうと。

──ビートが変則的で一筋縄ではいかない感じですよね。

VALSHE:そうですね。間奏でコロコロ拍子が変わったり、台詞が入っていたり、遊び心を取り入れています。

──『RIOT』とはまた違う攻撃性があると感じました。

VALSHE:第三者に対してエールを送るというより、どうしても自分で自分を応援する曲を作ってしまうので攻撃的になるんだと思います。「頑張ってね」と声をかけているというよりも自分で自分に「オマエ、もうちょっとやれるだろ?」って言っているような、自分を奮い立たせるような歌詞になりました。

──キャッチコピーに“イキザマ★モンタージュ”とありますが、生き様、死に様が歌詞のテーマだったりするんでしょうか?

VALSHE:この曲が生まれたのって『RIOT』を作っている最中だったんですよ。その時に自分が置かれていた環境だったり、当時の心境の中、フツフツと湧き上がるものがあって。

──ユニットViCTiMの活動がストップして、ソロとして再び立ち上がる時期に書かれたものだったんですね。

VALSHE:そうですね。1つ1つの自分の選択や出会いで自分の人生が変化する様を感じていた時期でもあったので、簡単に言うと、物事は自分の捉え方/見方次第でいかようにも変わるんだということを強く実感したタイミングで生まれた曲ですね。

▲10thシングル「MONTAGE」通常盤

──“ぶつかって散るも一生 どっちがいいんだ?”と歌っていますが、覚悟をシリアスではない温度感で歌っているのが好きです。

VALSHE:嬉しいです。人生をポジティブに捉えて書いた曲でもあるので。生きていく上で先のことを考えて計画して動くのは良いことでもあるんですけど、先のことばかり考えていてもなーって。今は今しかないし、キレイに死ぬより楽しく汚く生きていったほうがいいなと思うようになったんです。

──そう考えるようになったのは、この1〜2年とか?

VALSHE:うん、そうですね。デビュー当時はキッチリ自分の将来を考えて「何年後にはこうしていたいから、今はこれをやるべきだ」とか1つ1つ考えながら動いていたんですけど、「やりたいと思ったことはやってもいいんだよね」と思うようになったのは、この1〜2年の大きな変化ですね。

──石橋を叩いて渡っていたけれど、さまざまなことを経験して楽しむ余裕とか強さが出てきたのかな。

VALSHE:もともと人間性は楽天的なんですよ。この世界に入ってから慎重に生きていかなきゃってどこかで思っていたんでしょうね。今は何をするにしても誰と話すにしてもフラットになれて、1つ1つを以前より楽しめるようになりましたね。

──それがショッキングピンクの爆発したヴィジュアルに繋がっている?

VALSHE:ははは(笑)、その通りだと思います。これじゃ全然慎重に見えないですもんね。

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