【音踊人 42】音楽のジャンルを超えた思想<ACIDMAN 20th Anniversary プレミアムワンマン>@Zepp Tokyo(音踊人蝦夷支部長)

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現在、結成20周年のAnniversary Yearを迎えているACIDMAN。そのACIDMANが2017年でワンマンライブを行うのは一度きりだ。それが2017年1月21日、Zepp Tokyoで行われた<ACIDMAN 20th Anniversary Fan's Best Album“Your Song”リリース記念プレミアムワンマンライブ>だ。Anniversary Yearは各地でのツーマンライブと11月23日に彼らの地元埼玉で行われる<SAITAMA ROCK FES“SAI”>との事前告知がされていた中で急遽発表された今回のプレミアムワンマンライブにはとても胸が高鳴った。

ライブ前日、北海道から東京に向かう飛行機の中でACIDMANを聴き「ある証明」が流れ出した時、とても熱い気持ちになった。私は「ある証明」と出会い、歌詞を自分の中で紐解いた瞬間に新しい音楽の世界観が広がり始めたのだ。その時々の気分に合わせ選曲して音楽を聴くこと楽しんでいた私にとって、ACIDMANの音楽は明らかにそこから一線を画し、本質を時には抉るように、また違うときには優しく語り掛けるような音楽だった。ACIDMANの音楽がなぜそこまで自分の心にダイレクトに響いてきたのかあいまいで理解できずにいたのだが、今回のプレミアムワンマンライブに行ったことで自分のあいまいだった気持ちが一本の線となり視界が開けた。

「音楽はロックやパンクなどのジャンルではなくて思想だと思う。そう思ったことでバラードがとても好きになった」と、Vo.オオキノブオがライブ中盤のMCで語った。「そうか。そうだよな。そうだったんだ」と私は共感し、これまでたくさん抱いていた気持ちが一本の線で繋がった。私はACIDMANの音楽を思想として捉え、歌詞を反芻し、音で揺れていたのだ。この感覚を与えてくれるのは数多くいるアーティストの中でACIDMANだけである。

では、なぜACIDMANの音楽を思想として聴くことができたのだろう。

「思想」として考えるならば理由は単純だった。それは、極限に研ぎ澄まされた思いから「生命」を奏でているからだ。Vo.オオキノブオはライブのMCなどにおいて次のようなことを常々口にする。「人はいつか死ぬ。愛する人も、家族もそして自分も。無限な生命などなく、すべては有限であり最後を迎える。その瞬間まで生きることに必死になりたい。だからこそいまこの一瞬、一秒一秒を大切にして、一秒後には世界が変わると信じて生き続けたい。そう言った気持ちを皆が持つことができれば世界に溢れている争いはなくなる」と。また、ビックバンなどの宇宙や生命の起源の話を掲げたうえで、「今の世界に我々が生きていることが奇跡であり、生きているだけで意味があるから」と、語ることも多くあり、その言葉にも私は感銘を強く受けた。

プレミアムライブはファンが選曲しベストアルバムに収められている20曲がすべて演奏された(プラス上位20曲以外からのアンコール3曲も演奏された)。ご存知の方もいらっしゃると思うが、その上位20曲の中でバラードが占める割合が非常に高かったことが実にACIDMANらしいと思うことができる。一位に選ばれた、宇宙をテーマにして壮大で果てしない愛を歌う「ALMA」や、Vo.オオキノブオがバラードへの抵抗がなくたったきっかけという一曲の「季節の灯」。



さらには、生きているからこそ向き合わなければならない「死」をテーマにした「世界が終わる夜」。極限の哲学に近い想いではあるのだけれど、そこと対峙したからこそ生まれた深遠でシンプルな大切にすべきアンセム。「人は必ずしも死ぬのだから美しく生を全うすべき」、だと改めて気づかせてくれる名曲である。



他にも「アルケミスト」や「リピート」など新旧を織り交ぜたバラードが数多く奏でられた。また、インディー時代からファンに愛されてきた、「赤橙」、「酸化空」、「培養スマッシュパーティー」が演奏され、ACIDMANがインディー時代から今に至るまで「生命と宇宙」をぶれずに歌い続けていることが感じ取れた。

そして、バラードが多い中、一気に会場の熱量を上昇させたのが「ある証明」だ。荒ぶるように演奏される曲のなかで歌われる決意に溢れた言葉たち。「吹き荒ぶ風を受け 今 意志を掲ぐ 遥か遠い丘で 今 鐘は響く 何度でも息を深く吸い込むのだろう」自分を鼓舞し続け、自分が生きている意味を証明するために何度でも立ち上がり限られた命を全うする決意が込められているのだ。



アンコールではリリース前の「愛を両手に」が披露され、さらには最新シングルの「最後の星」が演奏された。そして、記念すべきワンマンライブを締めくくる一曲は会場に訪れた人、そして会場に来ることができなかったが20年間の歩みを支えてくれた人、すべてのファンに贈る「Your Song」だった。

ライブが終了したのは開演から約3時間が過ぎていたが、ジャンルを超えた「思想」を存分に届けてくれた素晴らしいライブは実に短い時間に感じた。会場に足を運んだファンがそれぞれにACIDMANを想い、この先も彼らが奏でる美しも尊く、そして生命に思いを馳せる音楽の必要性を再認識することができたとても貴重なライブとなった。

ACIDMANのAnniversary Yearは11月23日の<SAITAMA ROCK FES“SAI”>まで続く。このフェスでは彼らの盟友がそれぞれにACIDMANを思い熱いライブを繰り広げてくれるだろう。その貴重なフェスは必ずや見逃してはならないものになると確信している。

136億年前に起きたビッグバンが人類の起源となり、いまこの時代にACIDMANの音楽と出会い、同じ時間を過ごせている奇跡に感謝し、私はこの先もACIDMANの音楽を聴き続けたいと思う。そして、「生命」と「宇宙」についての知識を深めて、ACIDMANの「思想」に共感し続けて生きてゆく。


撮影◎藤井拓

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