【2017年グラミー特集】二度目の成功で足元を固める、マイク・ポズナー

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マイク・ポズナーは、アメリカのシンガー・ソングライターでありプロデューサーだ。2009年にミックステープ『A Matter of Time』を発表し音楽業界から注目を浴び、2010年にデビューシングル「Cooler than Me」を発表した。このシンセをベースにしたダンス・ポップナンバーはアメリカやイギリスを筆頭に世界中でヒットを記録、一躍スターの座につくこととなった。その後はソングライターとしての才能を開花させ、ジャスティン・ビーバーやマルーン5などにヒット曲を提供することとなった。

◆マイク・ポズナー画像

だが現実は厳しい。「成功してとても嬉しかったし、もっと成功したいと思った。成功を失いたくなかった」と語るマイク・ポズナーだが、曲が思うように売れない時期が続き、マイクは所属するレコード会社から解雇されることとなる。

「最初は世間から忘れられることが心配だったけど、時が経つにつれてあまり悩まなくなった」と振り返るが、曲が売れずに成功から遠ざかった頃、彼は普通の人は取らないような行動を取っていた。後部座席にベッドがついたバンを買い、服とギターを詰め込んで、ユタ州の山に向かったのだ。

「僕はとにかく逃げたかった。家やスポーツカー、靴のコレクションといったすべてのものから逃げたかった。成功して得たものから逃げ出しても、幸せでいられるかどうか知りたかった。しばらく山奥でバンの中で質素な生活をしてみたけれど、実際、僕は幸せだった」

その後、マイクは自身の感じていた空虚感を「I took a pill in Ibiza」という曲に描きだした。「僕はロサンゼルスに住んでいて、スポーツカーを運転し、成功したお金を女性と靴につぎ込んだ」と歌う作品だ。過去の成功の虚しさを歌ったこの作品はさほど売れなかったものの、ノルウェーのデュオSeeBによってEDMリミックスされ、ヨーロッパで人気を博しビルボード・ホット100でも5位まで登りつめることとなった。そのリミックスは、悲しいアコースティックのフォークソングを、快楽主義を称賛するかのようなダンストラックに仕上げたものだ。

マイクは、「僕は悲しい曲を作ったのに、人々はその曲で楽しんでいる。皮肉なものだよ」と冷静に分析する。この経験が彼を覚醒させた。最初の成功では足元がおぼつかなかったマイクも、2度目の成功でうまく立ち回ることができていると語っている。ロサンゼルスから離れ、家族のいるデトロイトに移ったことも大きかったようだ。現在マイクは独身だが、女性に惑わされることもなければ、アルコールやドラッグに溺れることもない。

「成功して有名人になっても落ち着いていられるように努力している。最初の成功のときはうまくいかなかったけど、今は現実としっかり向き合えているんだ」──マイク・ポズナー

ポズナーを再び成功に導いた「I took a pill in Ibiza」は、2017年グラミー賞『年間最優秀楽曲』にノミネートされている。

第59回グラミー賞 ノミネート
・年間最優秀楽曲

写真:Getty images

WOWOW番組

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放送日:2017年2月13日(月)夜10:00 [WOWOWライブ]※字幕版

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