【NAMM SHOW】<She Rocks Awards>で、女性パワーを賞賛

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統領就任に合わせてウーマンズ・マーチがアメリカ各都市で行われた1月20日、この日アナハイム・ヒルトンホテルでも、世界の音楽業界で活躍する女性を称える<She Rocks Awards>が<NAMM Show>アフターパーティーとして行われていた。WIMN(ウーマンズ・インターナショナル・ミュージック・ネットワーク)が主催するこのアワードは、パフォーマーをはじめ、メーカー、小売業者、教育者、マネージャー、広報担当者、ジャーナリストなど音楽業界で活躍する女性を表彰するもので、今年で5回目を迎えている。アワード前にはレッドカーペットで会見が行われ、たくさんの女性トップメディアとセレブが集結していた。

この日アワードを受賞したのは、Icon賞にリタ・フォード(ランナウェイズ)、ネクストジェネレーション賞にザ・コマンドシスターズのシンガーサラ・コマンド、レジェンド賞に、誰もが知るヒットソング「Be My Baby」でお馴染みのロニー・スペクター(ザ・ロネッツ)、ドリーミング・アウトラウド賞にリサ・フォックス(iHeartRadioパーソナリティ)、エクセレンス賞にRebecca Eaddy(ローランドUSA・マーケティングコミュニュケーション・マネージャー)、インスパイヤー賞にエスペランサ・スポルディング(グラミー受賞ジャズベーシスト、シンガー)、チャンピオン賞にMonique Boyer(M.A.C.グローバルアーティストリレーションズディレクター)、マッドスキルズ賞にKarrie Keyes(パールジャムのサウンド・エンジニア)、パワーハウス賞にシャリー・マンソン(ガービッジ)、達成者賞にLeanne Summers(ロサンゼルス・ウーマン・イン・ミュージックCEO)、スピリット賞にBeverly Fowler(PRS Guitars A&R ディレクター)、モチベーター賞にCharyn Harris(Place Called Home音楽指揮者)、ヴィジョン賞にDani Markman(ディズニーミュージックグループA&Rディレクター)、エンタープライズ賞にTracy Leenman(ミュージカル・イノベーションズ・ミュージックリテイラー)だ。

またハウスバンドには、ビヨンセ・バンドのベーシストとして知られるディビニティ・ロックス率いるRock Sugah(KAT DYSON(G)、BENITA LEWIS(Dr)、LYNETTE WILLIAMS(Key)に、今年はGretchen Menn、Steph Paynes(Zapparella)、YASHI HOFERとアリス・クーパー・バンドやアイアンメイデンズでお馴染みのギタリストNita Straussが迎えられた。

WIMNの創設者LAURA WHITMOREは、このアワードを始めたきっかけをこのように語っている。

「業界で活躍している女性のネットワークを広げ、表舞台に立っている人だけでは無く裏方で活躍している女性も同等に表彰されるべきだという思いから始まった。さらに女性の社会的地位についても、性別関係なく同等であるべきで、世界中の女性が手を取り合いクリエイトし、国際的にミュージックビジネスの力で世の中を変えていけることを望んでいる。私達女性が協力してステップアップしましょう」


また、Icon賞を受賞したリタ・フォードは、スピーチで以下のように語った。

   ◆   ◆   ◆

「音楽業界で40年活動してきました。ランナウェイズがきっかけで私のキャリアが始まっていますから、“ランナウェイズ”という言葉を皆さんにおくりたいです。1979年、ティーンエージャーの女の子達は、まだ誰もそんなことやってない時代で、モンスターガールズだったと思うの。ある意味問題児よね(笑)。ファーストアルバムがリリースされたとき、誰も私達のことを真面目にとりあってくれなかったわ。私達5人の女の子がそれをやっつけたわけ。ジョーン・ジェット、サンディ・ウェスト、シェリー・カーリー、ジャッキー・フォックスと一緒に私はギターをプレイしたわ。私が本当にギターを弾いていたなんで誰も信じてくれなかったの。誰かがステージ袖のカーテンの裏でギターを弾いているんだろうって思われてた。

5年後に、私はソロプロジェクトをスタートして、3ピースバンドを始めたんだけど、そこで女性がギターを演奏できるということを証明したわ。男性ギターを入れずに、私が弾いたの。私とベーシストとドラマーでジミ・ヘンドリックスの様な自分のスタイルを採り入れたわ。


1stアルバムの契約をしたとき、レコード会社はどうやってマーケットに私を売り込だらいいのかわからなかった。私はシンガーではなくギター・プレイヤーだったから。私は、そこが凄くフラストレーションだったわ。周りの人達は、どうやって私を売り込めば良いのか凄く混乱してたのよ。それで私は、「あなた達、ジョー・ペリーとか他の素晴らしいバンドを売り込んでいる様に、同じ様にすればいいのよって言ったのよ。だって私は彼らと同じ様にギターを弾いているんだから。ただ違いは私が女性でここにおっぱいがあるってことよね。違いはそれだけよ。40年間ロックをやってきてるけど、それについて答は無いわ。でも私達はやりたいことをやるのが好きだから続けてるの。

今日会場に来ているマーシャル・アンプのジョン、エリー、ニック、またB.C.Rich guitarのバーニーが私のギターを作ってくれた。さらに弦のDean Markleyは、リタ・フォード、ニューシグネチャーモデルをリリースしてくれたわ。凄いカッコいいからチェックしてね。

ランナウェイズのプロデューサーであるキム・フォーリーは、周りから風変わりな人と言われていたけど、彼にはティーンエージャーの女の子をクリエイトするビジョンがあったから、私たちはモンスター・バンドにって次のレベルにステップアップできたの。バンド・メンバーやプロデューサーにも感謝するわ。それまでは、ロック雑誌の表紙を女の子が飾ることなんてなかったのよ。これは正しい道だったと思うし、このアワードを受賞できたことも嬉しく思うわ」

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また、レジェンド賞を受賞したロニー・スペクターも、ロックの核心を語ったスピーチを届けてくれた。

   ◆   ◆   ◆

「どうもありがとう。みなさんに感謝します。国際ミュージックネットワークで賞を受賞するなんて嬉しいわ。<She Rocks Awards>は、私が探してたロックだわ。そしてジョン・レノン・エデュケーションバスにも感謝します。彼らがサポートしてくれたから、きっとこのハプニングが起きたの。まだ今も歌っているけど、私はロックンロールが歌いたいのよって言いたいわ。


デビューアルバムは1961年だったんだけど、いつも「何をみんなに伝えたい?」って聞かれてた。でもそれはビジネスのためにやってきた人達だったのよね(苦笑)。全ての女性のみなさん…女性以外のみなさんでもいいわ、あなたが持つ夢を信じ続け決して諦めないで。自分に素直でいてください。あなたがあなたであることがとっても重要だから。私はいつも、自分が人より勝ってるなんて思ったことはないの。私はちょっと他の人と違うだけ。そして、好きじゃないことはやらないほうがいい。何故ならそれは、凄く本当に大変なことだから。

ロックンロールって、私の人生ではいつも目眩がするようなことよ(笑)。でもね、それはいつもステージで輝かせてくれることでもあるの。Be My Baby~ってね!私は女性達がそれを一緒にやっていくことが大好き。スーパースターになれなくても、私達はその一部なの。夢を大き過ぎず持たなければ、それはつかむことだってできる。夢っていうのは、あなたが何を愛し好んでいるかってことなのよ。一番大事なのは、諦めなければ自分で人生をコントロールすることができるということ。それはあなたの旦那やガールフレンドでもプロデューサーでもないの。絶対諦めないことよ。私が好きなテイラー・スウィフトなんて、ずっと諦めてないわ(笑)。ファンのみなさん、私をいつもサポートしてくれてどうもありがとう。たくさんの愛に感謝ししているわ。私はいつもあなた達のベイビーだからね」

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この日パワーハウス賞を受賞したシャリー・マンソン(ガービッジ)は、<She Rocks Awards>への参加をとても楽しんでいたようだ。

「自分が尊敬するたくさんのアーティストと一緒にこのイベントに参加できてとても嬉しいわ。リタ・フォードやずっと憧れて来たロニー・スペクターと共演できるなんて夢のようだわ。今は、長いヨーロッパ・ツアーが終ったばかりで、ガービッジのキャリアを書いたコーヒーテーブルブックを今年リリースする準備が整ったところ。ニューアルバムの制作にもとりかかっているの。次のアルバム・ツアーではぜひ日本にも行きたいな。」──シャリー・マンソン


昨年Icon賞を受賞したジェニファー・バトゥン(マイケル・ジャクソンやジェフ・ベック・バンドのギタリスト)は、女性の社会的地位の動向に関して、新政権になったことで「ポジティブな意味では、以前よりもたくさんの人達が政治に興味を持つ様になったと思うから、そういう点は良いと思うし、女性もたくさん参加するようになったわね。もし私が<NAMM Show>に来ていなかったらウーマンズ・マーチに参加したわ。だからACLU(American Civil Liberties Union=アメリカ自由人権協会)にお金を寄付したの。スノーデンTシャツの為にね。色んな意味で今年はとっても興味深い年になると思う」と語ってくれた。


多過ぎるぐらいツアーをやっているというジェニファー・バトゥンは、「またヨーロッパで最低でも3ヶ月は今年ツアーを行うし、ポーランドでも違うプロジェクトを持っていて、そこで毎年数週間プレイする」とのことだ。マーチ・シェアというポップス・シンガーのアルバムにも参加しており、ちょうどトラックダウンの真っ最中だそうだ。「日本のみなさん、こんにちは。ここ数年日本に行ってないので凄く恋しいです。日本には地球上で一番美味しい食べ物があるしね。私は日本酒の大ファンです(笑)。また日本で逢いましょう」とメッセージを寄せてくれた。

今回ゲスト・プレゼンターとしてアワードに参加したスティーヴ・ヴァイは、素晴らしい女性ギタリストが世界中で増えており、ギター・センターでの2016年売り上げは、男性よりも女性の購入者が多いと語ってくれた。また、ネクストジェネレーション賞を受賞した新人のザ・コマンド・シスターズは、そのサプライズの受賞に驚いていたが、彼女たちによる「Be My Baby」のカバー・パフォーマンスに、今後の期待を集めていた。この日はリタ・フォードによる名曲「Kiss Me Deadly」の演奏で華々しく幕を閉じた。





取材・インタビュー&映像写真:Sayaka Shiomi
ロニー・スペクター写真提供:WIMN
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