【インタビュー】エミュア、苦難を乗り越え屈強サウンドが誕生

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メタルコアとニューメタルを融合させたNu-Metalcoreシーンの筆頭バンド、エミュアが、日本デビュー作『ルック・アット・ユアセルフ』を完成させた。

◆エミュア画像

2014年にリリースされた前作『Eternal Enemies』以降、フロントマンのフランキー・パルメリが喉を傷め活動停止、その直後に他のメンバーが全員脱退するというトラブルに見舞われていたエミュアだが、その苦難を乗り越え過去を超越する屈強なサウンドを身にまとった作品を仕上げてきた。これまでの道のりと新作についてフランキーに話を聞いた。



――2015年9月にあなた以外のメンバー全員が脱退するという大きな出来事がありました。タイトルには彼らへの“復讐”のような意味も含まれているようにも感じましたが…。

フランキー・パルメリ:いや、そういう意味は含まれていない。彼らが脱退した直後はそういう感情も抱いていたし、そう捉えられる曲もあるかもしれない。だけど、この作品のテーマは、自分自身と向き合うことであって、誰かへの“復讐”というのは当てはまらないな。

――今作の制作を始めたのはいつ頃ですか?

フランキー・パルメリ:他のメンバー全員が去った2か月後の2015年11月だ。新メンバーのジョシュア・トラヴィス(G)と6ヶ月間アイディアを交わしながら曲作りをした。その後3ヶ月かけてレコーディングと最後の仕上げを済ませて、完成したのが2016年8月頃だった。ジョシュアとの制作はとても充実したものだったよ。

――いつもアルバム制作には時間をかける方ですか?

フランキー・パルメリ:いや、過去の作品はあまり時間をかけて作っていない。だいたい曲作りは2ヶ月で済ませて、ツアーなどで作業の中断を挟みながら、浮かんできたアイデアを随時加えつつ完成させていくというスタイルだった。

――2015年は喉の深刻なダメージを受けましたが、もう完治したのでしょうか。

フランキー・パルメリ:うん、これまでの不健康な生活を見直して食生活などを改善したんだ。今はボーカル・トレーナーからエクササイズも受けているし喉のケアを心掛けているよ。以前よりはるかにパワフルになった声を早くファンに聴いてもらいたいよ。

――2015年9月に日本で開催された<Bloodaxe Festival 2015>もキャンセルとなり、本当に残念でした。あの時は、あなたの体調不良とバンドの都合により出演キャンセルとの理由でしたね。

フランキー・パルメリ:いや、キャンセルの理由は俺の体調不良じゃない。メンバーの脱退が原因だ。代わりのメンバーを探してでも来日したかったんだけど、時間がなさ過ぎた。日本はプライベートで7~8回は訪ねているのに、ライヴはまだ1度しか実現していないのが残念でならないな。

――プライベートで7~8回も来日しているんですか?

フランキー・パルメリ:そうだよ。俺はゲーマーだしアニメも大好きなんだ。日本の文化も食事も最高だし、東京は他のどの都市より平和で清潔でハッピーな場所だと思う。だから毎回素晴らしいバイブを感じて、日本に行くと少年のような気持ちになってしまう。俺は日本が大好きなんだ。

――あなたが住んでいるニューヨークも東京に近いのではないですか?

フランキー・パルメリ:うん、東京とニューヨークは確かに似ている部分もあるかもしれないね。でも、東京の方がはるかにキレイだよ(笑)。新宿駅からすぐのところにある寿司屋がお気に入りなんだ。秋葉原に行けばゲーム店やAKB関係の店にも行くし、渋谷には友達がいる。東京はどこに行っても楽しい時間を過ごせるよ。

――メンバーの脱退自体は、あなたが解雇したものなのですか?

フランキー・パルメリ:4人が脱退を決断して去っていった。原因はメンバー同士の人間関係だと思う。あの頃は本当に厳しい時期だったけど、ラッキーなことに素晴らしいメンバーが新たに加入してくれた。現在のエミュアはとてもいい状態なんだ。こんな気分を感じたことはバンドを始めて以来なかったし、素晴らしい時間を過ごしているよ。

――4作目『Speaker of the Dead』(2011年)、5作目『Slave to the Game』(2012年)、そして6作目『Eternal Enemies』(2014年)まで、プロデューサーはジョーイ・スタージス一筋でした。今回はWZRD BLD(ウィザード・ブラッド)に変わっていますね。


フランキー・パルメリ:彼はドリュー・フォークという名前の男で、彼が所有しているスタジオ名がWZRD BLDっていうんだ。彼はこれまで素晴らしい作品をいくつも手がけてきているし(Crown the Empire、Miss May I、Motionless in White他)、とんでもない才能を持っていると思う。彼はバンドのビジョンを完璧に理解していたし、素晴らしいアイデアを毎日のように俺たちに提示してくれた。そして常にバンドに寄り添って、求めている音を見事に引き出してくれたんだ。彼と仕事できたことはラッキーだった。あと、これまでボーカルに関してプロデューサーからアイデアをもらうことはなかったんだけど、ドリューから提案されたアイデアは5曲目の「Flag of the Beast」でありがたく頂戴したよ。

――ジョーイ・スタージスは、作品にとてつもない音圧と分厚い壁のような轟音もたらすと同時に、プログラムを多用するなどプロデュースが少し過剰な部分もあります。今回、別のプロデューサーを起用していますが、そういった理由はあったのでしょうか?

フランキー・パルメリ:そういう意見もわからないわけじゃないけど、ジョーイと仕事をしなかったのは新しい環境を求めたからなんだ。新しいメンバーと新しいアルバムを作るわけだから、スタッフも一新したかったし、新しいことにも挑戦してみたいって気持ちになれた。プロデューサーを代えたのは新たな扉を開けるためで、その結果、素晴らしい作品が完成したんだ。

――新たにSharpTone Recordsと契約をしましたね。昨年設立されたばかりのレーベルですが、すでにAttila、Don Broco、LOATHE、Miss May I、We Came As Romansなどが所属していますね。

フランキー・パルメリ:SharpToneは、ヨーロッパでチカラを持っているNuclear Blastのグループ・レーベルだし、アメリカでもきちんと動いてくれている。これからワールドワイドに活動していくには、これ以上ないレーベルだから所属することができてとてもハッピーだよ。

――これまで所属していたVictory Recordsとの関係はいかがでしたか?度々、契約などでバンドとトラブルになることがあるレーベルのようですが。

フランキー・パルメリ:他の人たちが言うような難しい関係ではなかったな。エミュアとVictoryの契約はフェアなものだったし、居心地も悪いとは感じなかった。今の自分たちの成功は、彼らが導いてくれたと思っているよ。

――元Glass Cloud、The Tony Danza Tapdance Extravaganzaのギタリストで新たに加入したジョシュアは、見た目のインパクトはもちろん、テクニックも素晴らしいですね。今回、彼は8弦ギターを使用しているんでしょうか。

フランキー・パルメリ:9弦ギターを使っていたと思うよ。レコーディングでは7弦ギターと9弦ギターを主に使っていたんじゃないかな。俺はその辺りのことはよくわからないし、ジョシュアが何を使おうと彼がハッピーならそれでいい(笑)。

――新ドラマーのジョシュ・“ベイビーJ”・ミラーも「Natural Born Killer」のイントロでグルーヴィなドラミングを披露するなど存在感を示していますね。

フランキー・パルメリ:“ベイビーJ”はまだ20歳という若さなのにとんでもない天才で、今作の強靭なサウンドを生み出すことに大きく貢献してくれているよ。

――日本人としてはアルバム2曲目の「Shinjuku Masterlord」というタイトルがとても気になりました。

フランキー・パルメリ:滞在中は新宿にいることが多いからね。ただ新宿にいるだけで気分がいいし、他の街とは何か違う空気を感じる。曲ができ上がって、パワフルなイメージと新宿のバイブが俺の頭の中で合致して、このタイトルが浮かんだんだ。

――確かに、「Shinjuku Masterlord」は新宿…特に歌舞伎町の混沌としたイメージにとてもフィットしていると思います。

フランキー・パルメリ:ありがとう。収録曲に対する感想をいろいろな人から言われるんだけど、今作は各々意見が違うんだ。人によって感じ方が違っていて面白いね。

――日本盤リリースによって日本デビューを果たしたということで、ファンにメッセージをお願いします。

フランキー・パルメリ:俺は日本にとても大きな関心を抱いているんだ。言葉が見つからないくらい日本のことは大好きだし、サポートしてくれているファンにも感謝している。君たちに会いたくてたまらないよ。

取材・文:澤田修
Photo by Jason Mageau


エミュア『ルック・アット・ユアセルフ』

2017年3月10日 発売予定
【50セット通販限定CD+Tシャツ】¥5,000+税
【CD】GQCS-90314 / 4562387202829 / ¥2,500+税
※日本語解説書封入
1.ユー・アスクド・フォー・イット
2.シンジュク・マスターロード
3.スモーキー
4.ナチュラル・ボーン・キラー
5.フラッグ・オブ・ザ・ビースト
6.アイス・マン・コンフェッションズ
7.ロシアン・ホテル・アフターマス
8.コール・ミー・ニニブ
9.メジャー・キー・アラート
10.タートル・イン・ア・ヘア・マシーン
11.トーチ
12.デレリクト
13.グッチ・プリズン

【メンバー】
フランキー・パルメリ(ヴォーカル)
ジョシュア・トラヴィス(ギター)
フィル・ロケット(ベース)
ジョシュ・ミラー(ドラムス)

◆エミュア『ルック・アット・ユアセルフ』オフィシャルページ
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