【インタビュー】メトロノーム、7年の時を経て完全復活を宣言したフル・アルバム『CONTINUE』

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2016年9月に7年間の活動休止期間を経て再起動を果たし、シーンの話題をさらったメトロノーム。3月15日にリリースされる復活後初のフル・アルバム『CONTINUE』は、エレクトロやテクノ、レトロ・ミュージック、パンクといった様々なジャンルをブレンドしたメトロノームならではのオリジナリティーを継承したうえで新たな顔も披露した意欲作に仕上がっている。強力な“病みつき感”を持った音楽と唯一無二の個性を武器に、彼らが再びシーンを席捲することは間違いなさそうだ。

◆メトロノーム~画像&映像~

■結成した当時はパンクっぽい感じでいきたいと言っていたんです
■だからそういう匂いが自然と出ているような気がします


――『CONTINUE』を作るにあたって、テーマやコンセプトなどはありましたか?

フクスケ:メトロノームを再起動することになった時から、新しいアルバムは3人が作った曲が同じ分量で入っているものにしようと決めていたんです。全員が曲を作るバンドなので、もう一度始めるにあたって全員の曲がバランス良く入っていたほうが良いだろうということで。それに、再起動してから出したシングルを作った時もそうでしたけど、メトロノームらしさを感じさせるものにしたいなという想いもありました。その後、各々が曲を作って持ち寄ったんですけど、どれもデモの段階でメトロノームらしさに溢れていたんです。そこで、それぞれの中に、今でも変わることなくメトロノームらしさが息づいていることを改めて感じました。

リウ:『CONTINUE』は、メトロノームらしさを継承しつつ新しい顔や、幅広さを出すことが出来たんじゃないかなと思います。曲作りに関しては、シャラク君の書く曲は昔から“これぞメトロノーム!”という感じで、今回もそういうものを持ってくるだろうなというのがあって。なので、僕は新しいメトロノームを見せることを意識して曲を作りました。自作曲で特に印象が強いのは、アルバムのリード曲になった「強くてNEW GAME」ですね。この曲がリード曲に選ばれて、MVも撮ることになった時に、シャラク君がそれを踏まえて歌詞を書いたんです。それがゲームをテーマにした歌詞だったので、今度はフクスケ君が歌詞に合わせてゲーム音楽っぽい音を入れてくれたんです。それに、間奏でフクスケ君のパッドと僕のベースが交互にソロを取る場面がありますけど、デモではギターとベースだったんですよ。でも、フクスケ君のアイディアで、パッドでいくことになった。そういう風に3人で作り上げたという印象があって、「強くてNEW GAME」はすごく気に入っています。あとは、シャラク君が書いた「ボク募集中」は世界観が強くて好きだし、フクスケ君が書いた「自分コンプレックス」とかは勢いに溢れているけど、サビは聴きやすいものになっていて、すごく良いなと思います。

シャラク:今回の曲で特に印象が強いのは、「強くてNEW GAME」です。サビのメロディーが良いし、ガンガン展開が変わっていく構成になっていて。こんなに展開するアイディアがあったら、僕だったら3曲は作れるのに…という(笑)。リウさんは、そういう作り方で5曲とか作ってくるから凄いなと思いますね。自作曲に関しては、できるだけ当時のメトロノームっぽいものを作るように心がけました。みんなが思うメトロノームの曲を作ろうと。そういうものの最新形を形にできたかなと思います。

フクスケ:僕は今回「自分コンプレックス」と「空想ヒーロー」「惨敗生活」、それからオープニングSEの「CONTINUE」を作りました。もう一度メトロノームをやるなら、こういう曲をやりたいなというところを強めに出して。僕がメトロノームで作って来たのはテンポが速くて、バンド感を活かした曲が多くて、再起動してからもそういうものをやりたかったんです。僕以外のメンバーが作った曲だと、シャラクが作った「暗いbaby」とかはどこかしら懐かしいメロディーで、サウンドも'80Sっぽい雰囲気になっていて、カッコいいなと思う。リウの曲では、僕も「強くてNEW GAME」ですね。アルバムを考えた時に、これがリード曲に決まって、シャラクの歌詞が乗った時点で、コンセプトがガッチリ決まったんです。そういうところで、印象が強いですね。


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――他にも、和風の「東京ロマンチカ」や高速ビートと昭和感のあるメロディーを融合させた「空想ヒーロー」、R&Rテイストを活かした「豆腐メンタル」など、いろいろな曲が入っていて楽しめます。

リウ:「東京ロマンチカ」は再起動が決まって、真っ先に書いた曲です。だから、始まる感じとか、春っぽさが自然と出ているなと思いますね。最初のシングルの時の候補曲の一つだったんですけど、その時は選ばれなくて。この曲は世に出したいと思っていたので、今回のアルバムに入れることが出来て良かったです。

フクスケ:「東京ロマンチカ」だけ、シャラクの声をあまり加工していないんですよね。それで、より楽曲の世界観の景色が見えるようになっている気がして、とても良かったなと思います。シャラクと僕は高校生の頃から一緒にバンドとかをやっているので、この曲を録っている時に、若い頃のシャラクが歌っていた「上京物語」を思い出しました(笑)。シャ乱Qを歌っているシャラクだ…みたいな(笑)。

リウ:アハハ(笑)。実は、メトロノームを休んでいる間に、アコースティック・セッションでシャラク君と「上京物語」をやったことがあるんですよ。この曲を作った時に、どこかにそういうイメージがあったんじゃないかなと思います。

フクスケ:そうなんだ。「空想ヒーロー」に関しては……人の曲だと、ここが良いねとか、こういうところが面白いねと言えるけど、自分の曲のことは分からないんですよ。メロディーが古い歌謡曲っぽいというのはよく言われるけど、狙っているわけじゃないし。それに、僕は本当に自然体で曲を作ると、ごく軽くですけど、演歌っぽさが出てしまうんですよ。そういうところも含めて自分が作るものは自分で嫌いではないし、周りの人達も良いと言ってくれるので、そのまま活かしています。

――メトロノームは昭和歌謡っぽさや演歌っぽさがオシャレに聴こえたりしますので、ぜひ今後も活かして欲しいです。

フクスケ:本当ですか? 僕らはリフがいなたい感じだったり、メロディーがレトロだったりするところに電子音を乗せていますよね。あまりそういうことをしているバンドは聴いたことがなくて、自分達の個性になっているかなとは思うんですよ。なので、それが良い感じに聴こえたなら嬉しいです。

シャラク:意外なものにエレクトロをぶつけるということを、僕らはよくやっていて。僕が書いた「豆腐メンタル」も、パブロックだったり、パンクロック、速いR&Rといったものに打ち込みを乗せたらカッコいいじゃんというところから入ったんです。なので、この曲はギターもガレージロックっぽくしてくださいとフクスケさんに言いました。

――懐が深いですね。「豆腐メンタル」は、ちょっと人の声みたいに聴こえるインダストリアルなループを軽快なR&Rビートの上で鳴らしている間奏も最高です。

シャラク:ありがとうございます。こういう曲調で、ガレージロックの気分で歌ったら、ただのカッコいい曲になってしまうので。それで、できるだけ自分っぽさを入れて、ちょっと外すようにしたんです。「豆腐メンタル」は面白い曲になったし、アルバムの良いフックになっているんじゃないかなと思います。

――なっています。メトロノームはエレクトロやテクノという言葉で形容されることが多いようですが、『CONTINUE』を聴いて、根本にパンク・スピリットがあるような印象を受けました。

フクスケ:そう。ここまで打ち込みの音が多くなったのは、後半になってからなんですよ。最初の頃はそんなことはなかったし、メトロノームを結成した当時、シャラクとかはパンクっぽい感じでいきたいと言っていたんです。だから、そういう匂いは自然と出ているような気がしますね。

――いろいろな要素を巧みにブレンドして、中毒性を持った独自の音楽を作り上げているのはさすがです。作曲に加えて、メンバー全員が歌詞を書いていることも特色になっていますね。

シャラク:楽曲と同じように、歌詞にもそれぞれの個性が反映されていて。僕は、自分に対する怒りを書くことが多いんですよ。世の中の矛盾や荒廃といったことに対する警鐘や批判ではなくて、常に自分の内側に向いている。僕の書く歌詞は、わりと一貫してそういうものになっています。フクスケさんの歌詞はどこか斜に構えたシニカルな感じがあって、リウさんの歌詞は文学的な匂いがありますね。

フクスケ:僕が書く歌詞も基本的に自分のことを題材にしていて、ものすごく暗い歌詞なんですよ。でも、その暗さが、できれば自分じゃなければ良いなと思っているんです。自分のことだから完全に自分で受け止めないといけないけど、それが嫌で、ちょっと避けるみたいなところがあって(笑)。それで、斜に構えているような姿勢が歌詞に出ていますね。本当は斜に構えたりしないでクールに決めたいけど、それが出来なくて。全身で受けとめたくなくて、ちょっと避けてるという(笑)。聴いてくれた人に、そういうところを感じ取ってもらえると嬉しいです。

リウ:歌詞のメトロノーム・カラーということで言うと、シャラク君とフクスケ君が書くようなものがメインストリームだと思うんですよ。今回僕もそういうものを書きたかったんですけど、上手く書けなくて。それで、昔の自分はどういう風に歌詞を書いていたんだろうと思って過去の作品を見たら、昔も2人に全然寄せていなかった(笑)。それに気づいて、寄せなきゃと思うようになっただけ、自分もちょっと大人になったかなと思いました(笑)。それで、僕が好きな感じの世界観を描きつつ、少しだけ設定を暗くした感じの歌詞になっています。

フクスケ:俺も今リウの歌詞を改めて見て、文学的だし、物語みたいだなと思いました。歌詞の字面をパッと見ただけでも、“嗚呼”というのはこういう漢字を書くんだ…みたいな(笑)。俺とシャラクだったら、“あぁ”と書くと思う(笑)。リウの書く歌詞は、カッコいいよね(笑)。

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