【ライブレポート】テスタメント、世代を超えたエクストリーム・エンタテインメント

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2017年2月、テスタメントがジャパン・ツアーを行った。スラッシュ・メタルを代表するバンドのひとつである彼らだが、メタリカを筆頭とする“四天王”と較べるとフットワークが軽く、頻繁に日本のステージに立っている。<THRASH DOMINATION 13>、2014年のデヴィルドライヴァーとのツアー、<LOUD PARK 15>と3年連続で来日、1年ちょっとぶりの来襲を果たした彼らの公演には、最上級のスリルと興奮を求めるジャパニーズ・スラッシャー達が集結。フロアー前方は立錐の余地もなく、2階バルコニーも一部開放する盛況ぶりだった。

◆テスタメント画像

スラッシュ黎明期の1980年代から最前線を爆走、最新アルバム『ブラザーフッド・オブ・ザ・スネイク』で変わらぬ殺傷力を思い知らせたテスタメント。ファンも彼らの過去の虚像でなく現在進行形のバンドとして捉えており、最新作からの「ブラザーフッド・オブ・ザ・スネイク」、そして前作『ダーク・ルーツ・オブ・アース』(2012)からの「ライズ・アップ」という新しめの曲から始まったショーの序盤から首を振り、怒号に似た叫びを上げ、今にもバターになってしまいそうな勢いでフロアーを駆け回るサークル・ピットで応じる。

もちろんテスタメントをスラッシュ・レジェンドたらしめた初期のクラシックスにも、観衆は凄まじい反響を返す。「ディサイプルズ・オブ・ザ・ウォッチ」「プラクティス・ホワット・ユー・プリーチ」「ザ・ニュー・オーダー」などが発表されてから四半世紀以上が経つが、今もなお世界で最も過激な音楽であり続ける。40代のリアルタイマーから十代の若きスラッシャーまで幅広い年齢層が同じ黒Tシャツに身を包み、首を振りまくるショーは、世代を超えたエクストリーム・エンタテインメントだ。


各メンバーの個性を最大限に生かし、一丸となった塊でガツンと喰らわすのがテスタメントの流儀だ。バンドの創始者であるエリック・ピーターソンのギターは、バンドの音楽性を定義するアイデンティティを持ったものだし、すべての立脚点となっている。チャック・ビリーのハリと伸びを兼ね備えたボーカルは観客ひとりひとりのハートにダイレクトに突き刺さり、遠近感を失わせるその顔のデカさもあり、会場のどこにいいても最前列であるかのように思わせる。

アレックス・スコルニックのギターとジーン・ホグランのドラムスは超絶テクニックをもたらすことで、バンドの音楽をさらにスリリングに昇華させている。ただでさえ速いスラッシュ・メタルに驚速ドラムスと速弾きギターが加わって生み出す焦燥感には、聴く者が暴れずにいられないマジックがある。スティーヴ・ディジョルジオのベースもまた、テスタメント・サウンドの低音部をブーストする。1990年代後半から21世紀初頭まで在籍した彼だが、2014年に呼び戻されたのは、彼のプレイがバンドの最も求めるものだからだだろう。





「オーヴァー・ザ・ウォール」でいったんステージを降りた彼らだが、観客の最後の1人の首がムチ打ち症になるまで許さないつもりなのか、すぐにアンコールで姿を現す。「D.N.R.」「3デイズ・イン・ダークネス」「ザ・フォーメイション・オブ・ダムネイション」「アローン・イン・ザ・ダーク」と畳みかける終盤の展開は、鬼気迫るテンションの高さだった。

最高レベルのステージ・パフォーマンスで我々の肉体と精神をレッドゾーンに叩き込む1時間半。彼らが近い将来また日本を襲い、狂乱の渦に巻き込むのは、もはや確定事項だ。我々が最も信頼できるスラッシュ・メタル・バンド、それがテスタメントなのだ。


文:山崎智之
Photo by Mikio Ariga




BSフジ「伊藤政則のロックTV!」

3月18日(土) 25時30分~26時00分
※2月20日東京公演のライヴ映像&インタビュー放送
※BS視聴環境があれば日本全国無料で視聴可

テスタメント『ブラザーフッド・オブ・ザ・スネイク』

【通販5セット限定 メンバー直筆サイン入りブックレット付CD】 ¥2,500+税
※3月18日(土)「 伊藤政則のロックTV!」放送開始時間より販売
【通常盤CD】 ¥2,500+税
【完全生産限定CD+Tシャツ】 ¥5,000+税

◆テスタメント『ブラザーフッド・オブ・ザ・スネイク』オフィシャルページ
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