これはただ1曲の愛の歌ではない。グループ史上最大の危機を乗り越えて生まれた、かつてない深みを持つ希望と再生のメッセージだ。昨年2016年10月7日、ko-daiが胆管結石による急性重症膵炎で緊急入院。一時は生命の危機も危ぶまれた状況から生還する過程で、ベッドの上で書いた歌詞をもとに、3人が今の思いをすべて注ぎ込んだ言葉と音。「一生一瞬」──Sonar Pocketの新しいストーリーはこの1曲からスタートする。

◆Sonar Pocket 「一生一瞬」MV映像

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■ 自分のために曲を書かないと人には伝わらない
■ ちょっと忘れかけていたものを思い出したんです

▲ko-dai(Vo)

── 心配しましたが、いま体調は?

ko-dai(Vo):はい。大丈夫です。

── よかった。今回の新曲について語るには、そこから話を始めないといけないと思うんですけど、やはり去年10月のあの経験が、ko-daiさんを変えた部分は大きいですか。

ko-dai:そうですね。入院をしていろんな価値観や考え方が変わったんですけど、いろんなことに対して当たり前だと思っていたことが、当たり前ではなく、ひとつひとつの物事に対してありがたみを忘れちゃいけないなということは、病気をしてあらためて感じたことなので。口ではそう言ってもいたんですけど、死と隣り合わせになって……2割から3割の確率で死ぬかもしれませんと言われたんです。そういう状況ってあんまり経験しないと思うんですけど、それを経験した上で実感しましたね……首のこれも点滴の跡なんですけど、体中が管だらけだったりとか、おむつをして寝たきりで、尿道に管を通して垂れ流しだったり、1週間以上水を飲んではいけないとか、11日間絶食したりとか、そういうことがあった時に、日常生活で当たり前にしていることがすごくありがたいことなんだって見えてきたので。

── はい。

ko-dai:この普通のみんなの人生の中で、Sonar Pocketというグループを選択して、Sonar Pocketのライブに足を運ぶのは当たり前のことじゃないんだなと、それは忘れちゃいけないことだと思ったので。Sonar Pocketは何を人に届けていけるグループなんだろうか?というところで、今までも「笑顔の連鎖」という言葉を掲げてやってたんですけど、それ以上に周りにいる大切な人や応援してくれてる人たちが、生きててくれればいいなと思い始めたというか……正直、「死ぬかもしれない」という話をされた時に、「別にいいですよ死んでも」っていう感じだったんですよ。それは後悔のない毎日を歩んでいたからかなとか、いろいろ考えたんですけど、そうじゃなくて、失ってもいい人生だったんだなっていうことを思ったんですね。病院のベッドの上で。自分がそう思ったということがすごく申し訳ないというのと、俺は周りの人にそんなふうに思ってほしくないなと思って、じゃあ俺は何のために生きるのか?というと、周りにいる大好きな人たちが生きてるから俺も生きたいと思うんだな、ということに自分の中でなっていって。そうやって、生きる理由の一つにSonar Pocketというグループがなれたらいいなというマインドになったんですね。

── 変わったというよりは、より深く気づいた。

ko-dai:そうですね。音楽で何かを変えるとか、すごい難しいと思うんですけど、誰かが変わるきっかけにはなれると思っていて。今までも人を感動させたり、人の心に訴えかけるものを届けたいなという気持ちがあったんですけど、やっぱりどこかで「Sonar Pocketってこんな感じだろう」とか、人が求めているものにアプローチしちゃってた時もあったんですよね。

── ああ。期待に応えようとか。

ko-dai:誰かのために曲を書いてたんですけど、音楽って本来そうじゃない。誰かがほしいものを提供するアーティストじゃなくて、「自分たちはこう思っている。自分たちはこう感じている」というものを、本来僕らは歌っていたはずだし、自分のために曲を書かないと人には伝わらないなって、ちょっと忘れかけていたものを思い出したんですね。クリエイティブな作業は本来そうあるべきだと思うし、大量生産するありきたりの商品じゃなくて、こだわり抜いたものを送り出したいなと思って、病室で書いていたのが「一生一瞬」です。

── eyeronさんは、相方がそういうことになって、いろいろ考えることがあったと思うんですけども。

▲eyeron(Vo)

eyeron(Vo):はい。「一生一瞬」は、ko-daiのそういう思いと経験があったから紡ぎ出せたものなので。シーンが見えるようなラブソングをずっと歌ってきて、僕らに対してそういうイメージもあると思うんですけど、今回はアーティストとして「人となり」が見えるような歌です。……でも俺は本当に、ko-daiが病気になって、もしかして続けられないかもしれないと思った時は苦しかったですけど、こうして戻ってきて思うことは、いいきっかけになったというか。“第二章”という言葉をしっかり掲げてやっていくんだったら、こういうことがないと変われないだろうし(彼らは2016年12月の7周年記念盤『ソナポケイズム THE FINAL 〜7th Anniversary〜』のリリース以降を“第二章のスタート”とし、10周年に向けてリスタートを切った)。だから本当にマイナスだと思ってないし、ko-daiにとってもここを乗り越えて書く歌詞は絶対に違うと思います。俺も同じで、8年間走ってきたからこそ、止まってみて恐怖を感じたりとか、初めて見えてきた部分ってすごいあったと思うんですよ。そういう意味では貴重な経験をさせてもらったし、また音楽ができる喜びもあって、今ファンクラブツアーをやってるんですけど、あらためて本当に幸せなことだなと思いますね。別にセールスがどうこうじゃなくて、アーティストとして、音楽を作って、Sonar Pocketを好きな人たちの前でライブができる。それがこの8年間は当たり前だったし、応援してくれる人がいるのも当たり前だとどこかで思っていたかもしれないけど、でもこうして待っててもらって、またライブに来てくれる、それが今は本当に嬉しくて楽しい事なんだなって思うんですよね。本当はそれが音楽の一番の良さだけど、どうしても忘れがちになってしまうじゃないですか、メジャーで、第一線でやろうと思うと。でもこの時間ですごく考えることができたし、答えも見つかったので。3人が同じベクトルでまた一歩目を踏み出せてると思うので、よりワクワクしてますね。デビュー当時とは違うワクワク感があって、今すごく楽しいです。

── mattyさんは、今回の経験で、自分の中でどういう変化を感じてますか。

▲matty(DJ)

matty(DJ):デビュー以来歩みを止めることなく、3人で歩幅を揃えてきたんですけど、今回初めてそういう経験をして……eyeronが言ったように、今思い返すと、ko-daiには悪いけどグループとしてはいい経験だったと思うんですよ。その時は勿論いいとは思えなかったですけど。たぶん人間って、プラスのこともマイナスのこともちゃんと自分でかみ砕いて消化して、それを形にして吐き出す作業をすることによって成長できると思うんですよ。あの経験がなかったらこの作品はできなかったし、今までの楽曲制作の中でも、今まで以上に言葉の重みがある楽曲なんじゃないかと思います。大きな意味ではラブソングですけど、自分たちとしては人生讃歌だと思っていて。人生を削り取って作った1曲というか、そういう結晶なんじゃないかと思うんですね。今、第二章がスタートして、この曲はそのテーマソングなんじゃないかと感じてます。

── まさに。特別な雰囲気を持ってます、この曲は。

matty:ファンクラブツアーでも歌ってるんですけど、ライブをやるたびに思うのは、この楽曲自体のイメージが変わらないんですよ。他の曲はたとえば、会場ごとに一緒になって盛り上がったりして、それぞれの世界観を作り上げて、イメージの違う楽曲がその日その日で生まれてくる感じなんですけど、この曲に関してはいい意味でイメージが変わらない。曲って不思議だなと思います。込められた思いの深さによって、曲の形が違ってくるから。この曲はたぶん10年後にやっても変わらないでしょうし、ずっと生き続ける楽曲なんじゃないかと感じる。自分の中ではすでにグループのアンセムになりかけているところがあって、そういう意味でも、あの経験がなかったらできなかった曲だし、あの時はもう戻りたくない瞬間ですけど、あれがあったから、3人がグループに対してより向き合える状況を作り出せてると思います。

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