【インタビュー】CHIHIRO、切なさを追求したラブソング集に「こういう生々しさを求めてくれているはず、という責任感」

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いまや恋愛ソング・マスターとして、20代〜30代の女性を中心に支持されるシンガーソングライターのCHIHIROが、3月29日(水)に約2年ぶりのフルアルバム『KISS MISS KISS』を発売する。恋を歌う女性アーティストは数多くいれど、彼女の“リアリティーを追求する姿”は他の追随を許さない。恋愛における無上の喜びも── “MISS”とあるこのアルバム名が物語るように、他人に言えない切なさや痛みをも真っ向から綴る彼女の歌詞は、今作で過去最上級に研ぎ澄まされている。自身のルーツにあるR&Bをベースにした綿密なサウンドメイク、そして美しいメロディが相まった全13曲には何度でも鳥肌が立つだろう。音楽に関しては(!)ストイックだというCHIHIROの恋愛ソングが、唯一無二の輝きを放つ理由に迫った。

◆アルバム『KISS MISS KISS』ジャケット画像

  ◆  ◆  ◆

■ 一番になれない女の子って、たぶん友達にも言えない
■ その心情を歌にする人もなかなかいない

▲アルバム『KISS MISS KISS』

── 琴線に触れる美しいメロディといい、恋にまつわる心情をていねいに描く歌詞といい、心を動かすニューアルバム『KISS MISS KISS』。CHIHIROさんとしては、そもそもどういう作品にしたいと思っていたのでしょうか。

CHIHIRO:2年前にリリースしたオリジナルアルバム『NAMIDA CARATS』は“涙歌”をコンセプトにしているんですが、今まで書いてきたたくさんのラヴソングの中でも、みんなが共感してくれるのは“涙歌”なんだっていうことがわかったんですね。以来、“切ない気持ち、どうしようもない気持ちを代弁することが自分の役割なんだ”と思うようになったし、今回はそこをもっとリアルに描いて、切なさをさらに追求したアルバムを作ろうと思っていました。

── どおりで1曲目の「アイマイな二人」の冒頭から、<友達以上恋人未満>な関係に翻弄される切ない恋心が描かれていて。ラヴソングってきれいなことだけを書いても成立はさせられると思うんですけど、この曲はあまりにも生々しいなと。

CHIHIRO:きっとリスナーの方は、こういう生々しさを求めてくれているはずだ、っていう責任感があるというか……一番になれない女の子、遊ばれているとわかっていても相手への想いを断ち切れない女の子って、たぶん友達にも言えなかったりするし、その心情を歌にする人ってなかなかいないじゃないですか。だからこそ、私は包み隠さずに全部書いて、それを敢えて1曲目に持ってきました。

── 正直、これは衝撃的でもあります。

CHIHIRO:ですよね(笑)。私も自分で挑戦的だなと思いますけど、ファンの方からいただくお手紙を読むと、実際にそういう切ない恋愛をしているって人ってすごく多くて。

── そういう場合、自分を振り回す男の人や、その人の本命にこじらせた想いをぶつけたくなってしまいそうですけど、CHIHIROさんが描くのは、そういうことではなくて。あくまでも真っ直ぐに相手を想う歌詞を綴られるからこそ、余計に切ないんですよね。

CHIHIRO:「好きになっちゃいけない人」もそうで、好きになっちゃいけない人を好きになってしまうことってやっぱりある。“だったらそれを自分の中でちゃんと貫いて、自分の幸せは自分で決めていけばいいんだよ”っていうことを言いたかったんです。

── この曲の<好きになっちゃいけない人なんて 本当はいないはず>という言葉、目から鱗が落ちましたもん。倫理的、道徳的に非難を受けてしまうこともあるかもしれないけど、そういう綺麗事をのけたら、本当はそうなんだよね……って頷きました。こうした歌詞は、CHIHIROさん自身の体験を基に生まれてくるのでしょうか。それとも、フィクションとして紡いでいるのでしょうか。

CHIHIRO:歌詞には、自分の経験もたくさん入っています。

── まさか、辛い恋愛のほうが多いということですか?

CHIHIRO:そうなんですよね(苦笑)。でも、私はそういう恋をする運命なんだと思ってるんですよ。だからリアルな気持ちがすごくよくわかるし、そこまで踏み込んだ歌詞を書けるんだと思います。

── しかし、歌詞を書いていて苦しくなったりしませんか?

CHIHIRO:します、時には。でも、なかなか気持ち的に前に進めない女の子ってたくさんいて、大人になればなるほど、カッコつけて友達にも言えなくなるじゃないですか。そういう人たちのためにも、自分の経験を踏まえて書いてあげたいなと思うんです。あと、嫌なことや哀しいことが起きたら、“これは歌詞を書く運命だ”と思うんです。

── なんと、生粋のアーティスト。

CHIHIRO:歌詞にしていい曲ができてしまえば、“もういいや”って思えるし。

── ある種、自身の体験した哀しみや切なさをそこで成仏させられるんですね。

CHIHIRO:そうそう。まさにそういう感覚です。

── また、たとえば「卒恋」の<イヤフォンから流れる曲 片っぽずつでよく聴いた>とか、情景描写も目に浮かぶようだなと思うんですよ。

CHIHIRO:できる限り、風景が見えるような実描写をしたくて。そうすることで、きっと聴く人それぞれが自分を重ねられるんじゃないかなと。そして、さっきも触れていただいた通り、恋を叶えられない人はいても、絶対に好きになっちゃいけない人はいないと私は思っているんですけど、「片恋」や「ただのトモダチ」でも描いたように、誰かに“やめろ”と言われたって、恋ってやめられないじゃないですか。だから、とりあえず“想いを貫け”っていうことをすべての曲で言いたくて。どんな結末になったとしても、自分が後悔しない恋だったらそれでいいはず、というメッセージは伝えたいんです。

── その凛とした想いの強さも、ひしひしと伝わります。

CHIHIRO:だったらよかったです。自分にウソをつかず、ちゃんと前を向くという強さも持ちつつ恋愛をしている女の子の姿を、描けたんじゃないかなと思います。

── 恋に悩む人にとって、そういう歌や言葉は大きな力になります。<夢や恋人は時に 泡みたいに しゅわっと消えてしまう>けど、<友達は永遠だね>というフレーズが印象的な「Champagne Love」にしても然り。

CHIHIRO:女友達は、なにがあってもずっと味方でいてくれるし。ひとつの恋、ひとつの夢が終わっても、人生はキラキラ輝けるよねっていうメッセージも込めたので、応援歌になればいいなと思っています。

◆インタビュー(2)へ
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