【対談連載】ASH DA HEROの“TALKING BLUES” 第2回ゲスト:中島卓偉

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■中島卓偉とASH DA HEROの激突は
■日本一ロックな日──ASH DA HERO

──ASHは、卓偉さんをひな型としてソロロックヴォーカリストという道を進んだところもあると思うんです。卓偉さん自身には当時、日本のシーンにそういう存在はいたんですか?

卓偉:実を言うと、僕がデビューした1999年とか2000年当時は、ソロでロックをやっているというスタンスの人は本当にいなくてですね。バンドでデビューした後に解散して、ソロになったという人はたくさんいたんですけど。

──BOOWYの氷室京介さんとか、ZIGGYの森重樹一さんとか。

卓偉:そうですね。だから、当時のレコード会社の人には、「ソロロックシンガーでデビューの前例があまりないので、売り方が難しい」ってよく言われましたね。

ASH:それは今、僕も言われてます(笑)。

卓偉:関係ないよ。“ソロなんですか? バンドなんですか?”なんて訊いてきたら、その時点で“じゃあね”って帰ったほうがいいよ(笑)。それはさ、単にその人の中にボキャブラリーがないだけの意見だからね。曲として判断できない人の言い訳ですよ。我々の曲が「この時間帯はオンエアされにくい」という意見はまだ許しましょ、「すみません、うるさくて」ということですから(笑)。

ASH:ははは!

卓偉:ただね、日本ってそういう国なんですよね。前例とか肩書きとかスタイルを気にするんですよ。ところが、売れたら売れたで、「出てください」となる。でもね、海外にはたくさんいるんですよ、プリンスとかマドンナとか、ソロでロックをぶちかましているアーティストが山ほど。もっと言えば、バンドとかソロとか、そういうスタイル自体も関係ないと思っているんです。たとえば、“ボン・ジョヴィってどうなのよ?”という話で。バンドですけど、ヴォーカリストの名前でバンドをやってるわけで。

ASH:マリリン・マンソンもそうですね。

卓偉:そうそう。逆を言えば、ジャミロクワイってグループはジェイ・ケイありきのバンドじゃないですか。「こういうスタイルの人たちは、どういうふうに判断するんですか?」って、それこそ媒体の人たちに訊きたいくらいです(笑)。

ASH:激しく同意ですね(笑)。僕なんかは今、「もっとジャンルを絞ったほうがいいんじゃないか」とかよく言われるんですけど、そんなにファイリングとカテゴライズをしたいんですかね。

卓偉:わかりますよ。僕も最初のうちはバンドスタイルにこだわったライヴをやっていたんですけど、ごく初期から“アコースティックこそブルースだ”と思っていて。そういうことをやらせてほしいって言っていたんだけど、当時の事務所が「フォークに見えることはダメ」っていうので全然できなかったんだよね。 “アコースティックギター=フォーク”って、昔世代の価値観ですよね。僕らは小学校の頃から、ニルヴァーナのアンプラグドをMTVで観ていたわけだから、そうではないんですよ。

ASH:1990年代後半当時は、まだ“アコースティックギター=フォーク”っていうイメージを持ってる人がいたという。

卓偉:そう。今は自分の好きなようにやっているけど、僕としては、当初からそういうことを同時にやる男でいたかったというのがあってね。ASHくんはアコースティックとかやられているでしょ。こんなことを言うのもおこがましいけど、どんどんいろいろなカタチでやっていけばいいと思う。ただね、そこで判断しなければいけないのは歌詞。HIPHOPとか激しいロックをやっているときと同じソウルとかパッションが歌詞に一行でも入ってさえすれば、それはロックだと思うんです、僕は。

ASH:ありがとうございます。ロックってサウンドだけじゃなくて、スピリットでありマインドなんですよね。僕はどんなジャンルの音楽も好きだから、縛られずにやっていきたいんです。たとえば、マドンナのアルバムなんて全曲ジャンルが違うし、テイラー・スウィフトはそもそもカントリー畑のシンガーですからね。

卓偉:日本のCDショップってジャンルが細分化されているじゃないですか。ところが海外のCDショップに行くと、ロック、レゲエ、ソウルくらいにしか分かれてないんだよね(笑)。それを見てすごく海外が好きになるのね(笑)。細分化したほうがCDを探しやすくて親切なのかもしれないけど、それくらい分けたがる国だっていうことが明らかでさ。そこに寂しさを感じるね。

ASH:そもそも、音楽ってそんなに明確に分けられるものではないですから。

卓偉:ASHくんは、「ジャンルを絞ったほうがいい」と言われたんですよね? でもね、“なんでデビッド・ボウイが亡くなって、これほど脚光を浴びてるんだよ?”っていう話でさ。彼ほどアルバム毎に、カメレオンのようにサウンドを変えてきた人っていないわけじゃない? 言葉を選ばず言えば、1枚1枚無責任にね。でも、それこそがデビッド・ボウイなんですよ。それを称賛する一方で、俺たちに、「これじゃ、ジャンル感がわからない」っていうのは、もう、その意味自体がわからないよね。

ASH:矛盾してますよね(笑)。

卓偉:だから、自分のなかに根拠がある人は、それをやったほうがいいと思うんですよ。根拠のない人の意見に振り回されることはない。

ASH:ああ、そこに苛立ちを感じている時点で僕は小さいのかもしれないですね。

卓偉:いや、そう思える時点でオトナですよ(笑)。

ASH:卓偉さんのブレずに一貫したところはホントにカッコいいと思います。それも今回のシングル「我が子に捧げる PUNK SONG」に表れていると思ったんですよ。

卓偉:もう、なんでも訊いてください。結婚も子供も公表した今、構えることはなにもないですから(笑)。

ASH:BARKSのインタビューで、そのことを話してましたね。

卓偉:結婚していることも子供がいることも、“隠してる”と以前から思われていてね。でも、別に言う必要のないことですよね。だって音楽で勝負しているわけだから。僕は昔から、いずれ結婚はしたいと思っていたし、いずれ父親にならなければいけないって、ずっと思っていたんですよ。

ASH:それって人として普通のことで。

卓偉:だけど、息子が大きくなると、外で声を掛けられたりしたときに、上手くかわしている自分もいてね。黙っているというか……義務じゃないから言わないだけなのに、それが段々苦しくなってきて。で、「我が子に捧げる PUNK SONG」という曲ができたから、“このタイミングかな”みたいなものがありましたよね。

ASH:そのアウトプットの仕方というか伝え方が卓偉さんらしくて、さすがだと思いました。

卓偉:いやいや、とんでもない。自分が公表しようと思うなら、そうすればいいだけのことなんだよね。ただ、そういうことがきっかけで、アーティストとファンの関係が壊れたりこじれたりするっていうのはおかしいと思っていたんですよ、公表する前から。公表して得する人/しない人、いろいろいるとは思うんだけど、そういうのって日本だけらしいですよ。海外だと、ガールフレンドを横に連れてレッドカーペットを歩くじゃない?

ASH:今の若いハリウッドセレブやトップアーティストは、それこそInstagramで“俺の新しいハニー”って紹介しますからね。それをみんなで祝福したり。逆に、“ディスるのはダサイ行為”っていう雰囲気になってますよね。

卓偉:ところが、日本って宗教のない国だからさ、それが良いところでもあり悪いところでもあるんですよね。

ASH:デリケートすぎるんですかね。それと、根底にはアイドル文化っていうものもありますよね。

卓偉:アニメ文化もそうですよね。そういうことで苦しんでいる先輩とか同世代のミュージシャンを僕は見てきたんです。で、ひとつ言っておきたいのは、結婚したり子供ができたら、それを公表しなきゃいけないんだぜとは僕は絶対に言ってないんだよね。だから、もしASHくんが結婚したり、子供ができたりしても公表する必要はない、全然。僕はたまたま言ったけどっていうだけで。

ASH:そうですよね。

卓偉:“公表することが正しい”っていう一部ファンの意見もあるんだけど、そうではない。僕のファンのなかにも勘違いしちゃってる人がいて、“あのアーティストも結婚していて子供もいるんだけど、公表してないんです。みんな卓偉さんと同じように公表すればいいと思います。だから私、そのアーティストにも手紙を書きました”っていうファンレターが来て、“おいおいおい、そうじゃないんだよ!”と。これは、この対談にしっかり書いておいてください(笑)。

──はい(笑)。では最後に、4月5日に下北沢 GARDENで行われる2マン<ASH DA HERO 2MAN SHOW SERIES 2017「CONNECT X」>は、ソロロックシンガー同士の熱い火花が飛び散るものになりそうですね。

卓偉:いいライヴにしますよ!

ASH:中島卓偉とASH DA HEROの激突は、個人的にも楽しみですし、きっと来てくれるお客さんにとっても期待値の高い2マンだと思うんです。日本一のロックな日にしたいですね。

卓偉:楽しませたいですね。よろしくお願いします。

ASH:お願いします!

取材・文◎梶原靖夫(BARKS)


■ASH DA HERO 2nd FULL ALBUM『A』

2017年5月24日発売
¥3,000(tax in)CRCP-40515
1.A New Journey
2.WE'RE GONNA MAKE IT
3.ANSWER
4.BRAND NEW WORLD
5.Waiting For
6.JAPANESE ROCK STAR
7.Layla
8.Coffeeshop
9. A!!
10.Somebody To Love
11.W.Y.W.G (Wherever You Will Go)
12.ラブソング
13.Rain
14.いつか世界が僕を忘れても
15.WANT YOU BAD

■<ASH DA HERO ONE MAN SHOW 2017 「BRAND NEW WORLD」>

2017年7月28日(金)東京・TSUTAYA O-EAST
開場/開演 18:00/19:00
▼チケット
オールスタンディング 4,000 yen(税込み・ドリンク代別)
【プレイガイド最速先行受付】
2017年3月28日(火)12:00~4月10日(月)23:59
http://w.pia.jp/t/ashdahero/

■2マンイベント<ASH DA HERO 2MAN SHOW SERIES 2017「CONNECT X」>

【ACT.3】
ASH DA HERO × 中島卓偉
2017年4月05日(水)東京・下北沢 GARDEN
開場・18:30/開演・19:00
▼チケット
前売り4,500円 当日5,000円
一般発売:2016年1月21日(土)10:00~
(問)ディスクガレージ 050-5533-0888(平日12:00~19:00)

【ACT.4】ASH DA HERO × MICHAEL
2017年5月18日(木)東京・TSUTAYA O-WEST
開場・18:30/開演・19:00
▼チケット
【プレイガイド最速先行受付】
2017年4月5日(水)12:00 ~4月9日(日)23:59
http://w.pia.jp/t/ashdahero-t/

■ASH DA HERO出演イベントライヴ

▼<THE GREAT ROCK'N'ROLL SEKIGAHARA 2017>
2017年4月15日(土)千葉・幕張メッセ 国際展示場 9〜11番ホール
▼<MICHAEL SPRING JUMPING CIRCUS 2017>
2017年4月21日(金)東京・赤坂BLITZ



ニューシングル「我が子に捧げる PUNK SONG」

2017年3月8日発売
EPCE-7302 ¥1,389+税
1.我が子に捧げる PUNK SONG
2.たられば
3.上手く言えない
4.超えてみせろ

■<TAKUI NAKAJIMA LIVE TOUR 2017 THE SINGLES COLLECTION vol.1>

5月13日(土) 神奈川・新横浜NEW SIDE BEACH!!
(問)ディスクガレージ 050-5533-0888
5月14日(日) 東京・TSUTAYA O-WEST
(問)ディスクガレージ 050-5533-0888
5月27日(土) 愛知・JAMMIN'
(問)サンデーフォークプロモーション 052-320-9100
5月28日(日) 長野・LIVE HOUSE J
(問)サンデーフォークプロモーション 052-320-9100
6月03日(土) 栃木・HEAVEN’S ROCK宇都宮VJ-2
(問)ディスクガレージ 050-5533-0888
6月04日(日) 埼玉・HEAVEN’S ROCKさいたま新都心VJ-3
(問)ディスクガレージ 050-5533-0888
6月17日(土) 京都・KYOTO MUSE
(問)グリーンズコーポレーション 06-6882-1224
6月18日(日) 大阪・Music Club JANUS
(問)グリーンズコーポレーション 06-6882-1224
6月24日(土) 福島・郡山CLUB #9
(問)G.I.P 022-222-9999
6月25日(日) 宮城・仙台MACANA
(問)G.I.P 022-222-9999
OPEN17:00/START17:30(全公演共通)
musicians:Guitar生熊耕治 / Bass鈴木賢二 / Drums 石井悠也
▼チケット
発売中
スタンディング(整理番号付)¥4,800(税込)
※入場時、学生証提示で¥1,000キャッシュバック学割あり


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