【インタビュー】綾小路 翔 (氣志團)、VAMPSと10-FEETとの対戦型フェスを語る「今は恐怖であり、希望であり」

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氣志團が4月15日および16日の2日間、千葉・幕張メッセにて<THE GREAT ROCK'N'ROLL SEKIGAHARA 2017>と題した“対戦型”フェスイベントを開催する。これは、初日15日にVAMPS主宰フェス<VAMPARK FEST>を迎えて「~氣志團万博 vs VAMPARK FEST~」と題した対戦型フェスを、翌16日には共に結成20周年を迎える10-FEETと「~万博大作戦日本シリーズ~」と題した合同フェスを実施するというもの。果たして、“フェスvsフェス”の対戦型イベントとはいったい!?

◆綾小路 翔 (氣志團) 画像

「団体対抗戦というのは今までなかったと思うんです。アーティスト主宰の憧れのフェスに、自ら挑戦状を叩きつけたわけです」と氣志團 團長・綾小路 翔の語気は荒い。これまでも、前代未聞/賛否両論の「“ありえない”を形にしてきた」氣志團だが、結成20周年を記念してぶち上げられた<THE GREAT ROCK'N'ROLL SEKIGAHARA>も、やはりロマンと希望、そして新しさに溢れてワクワクが止まらないものだ。

“仲間” “憧れ” “ステージ上のスリル”。最強の延べ24組が激突することで、これまで見たことのないような、とてつもない熱量が生まれるであろう<THE GREAT ROCK'N'ROLL SEKIGAHARA 2017>について、出演アーティストについて、首謀者の綾小路 翔に全貌を訊いたロングインタビューをお届けしたい。「今は恐怖であり、希望であり」と語る團長自身の言葉は、しかし自信に満ちている。

   ◆   ◆   ◆

■僕は、VAMPSは完全に外タレだと思ってますからね
■<京都大作戦>は出演がないのに2日間行きました(笑)

──バンド主宰のフェスは数年前から多くなっています。氣志團も地元・木更津で<氣志團万博>を2003年に立ち上げ、2012年からシリーズ化させて毎年袖ケ浦で開催しています。ただし、袖ケ浦での初回は大赤字と。

綾小路:いや、ずっと大赤字で(笑)。初回の大赤字っぷりは尋常じゃなかったですけどね(笑)。僕が初めてフェスをテレビで観たのが、石川県の金沢で行なわれていた<POP HILL>というフェスで。当時、フジテレビで深夜番組が放送されたんです。中学生だった僕が好きだったバンドが一堂に会していたというね。メンツでいうと、ユニコーン、JUN SKY WALKER(S)、LA-PPISCH、LINDBERG、COBRA、THE BLANKEY JET CITY、STRAWBERRY FIELDS、レゼルブ…。放送されたのは各バンド1〜3曲だったんですけど、テレビの前で僕は大興奮しまして。

──<KIRIN SOUND TOGETHER POP HILL '91>ですね。

綾小路:楽屋裏の様子もたまに映って、僕が最も憧れていたCOBRAが「あのブランキーってバンド、かっこいいね」と語っていたり。ブランキーはデビューしたばかりぐらいで、僕も大好きだったんです。かと思えば、ユニコーン、JUN SKY WALKER(S)、LA-PPISCHの仲良しバンドは、最後に「ホタテのロックンロール」を演奏したんですよ。ジュンスカとユニコーンはメインで演っているんですけど、LA-PPISCHのMAGUMIさんに至っては、ステージの高いところに昇るだけっていう、ありえないライヴパフォーマンスをしてまして(笑)。時を同じくして、それ以前から仙台で行なわれていた<ロックンロール・オリンピック>というイベントも映像で観て。XとDe-LAX、そこにニュー・ロティカやARBとかね。田舎の中学生ながら、“これは凄いことが起こっている”と衝撃を受けまして。“いつか、あんなことやってみたい”と思ってたんですよね。そして氣志團を結成した1997年に、あの<FUJI ROCK>が始まって。初年度から大雨で、ベースの白鳥松竹梅は片方の靴をなくしたまま東京に帰ってきたんですよ。

──客として観に行って、富士樹海の遭難者みたいな様子で帰宅したんですか!

綾小路:ホントですね(笑)。でも、“自分達もフェスに出てみたい”って。“人の波、渦。フェスでは何が起きてるんだろう”って。あれから20年ですよね。今では夏になったら毎年行くんだって根付いたフェスもあれば、1年で消えてしまうフェスもある。けど、日本人にとってロックフェスは遠いものではなくなって、名実共に夏の風物詩になった。僕らもその過程で10-FEETの<京都大作戦>や、湘南乃風やMINMIちゃんの<FREEDOM>といったアーティスト主宰フェスに呼んでもらったんです。他のフェスは、ある種、夏の営業感みたいなものがあったりするけれど、<京都大作戦>や<FREEDOM>では出演アーティストが誰も帰らないんですよ。みんなと話したら、「このフェスは最後まで観るし、明日の朝は超早いけど、打ち上げまで参加していく」という。やっぱアーティスト主宰フェスは他と違うなって。それを体感したとき、“猛烈に羨ましいし、自分達でもやってみたい”と思うようになったんですよね。これは俺の勘違いかもしれないけど、当時はなんとなくレコード会社からも事務所からも、肩を叩かれそうな予感がしてた時期だったんで。

──笑えない勘違いですね、團長。

綾小路:いや、だからそのタイミングで退職金代わりにSONYの金を全開に使って去ろうと思ったんですよ(笑)。“最後にドデカい花火をぶち上げて、俺らは終わるか”ぐらいのつもりで。そういう背水の陣も含めて、“自分達がこれまで培ってきた何かで、出来ることはないんだろうか”、“誰も想像しないような、ただの夢の塊みたいな花火を打ち上げることができないだろうか”って。そんないろんな気持ちが交じり合って生まれたのが2012年の<氣志團万博>。俺が子供の頃に観たら、人生変えられちゃうなみたいな、“人生変えちゃう夏かもね”みたいなフェスをやりたいなと。西田ひかるバリに千葉の片隅で叫んだわけです。

──その<氣志團万博>を主宰する誇り高き團長が、今回、VAMPSと10-FEETという、それぞれ自身主宰のフェスを行なっているバンドに挑戦状を叩きつけたわけですよね。

綾小路:VAMPSの<HALLOWEEN PARTY>に氣志團は呼んでいただいているんですけど、おそらく日本で一番デカいハロウィンイベントですよね。日本にこれだけハロウィンが根付いて、“クリスマスやバレンタインはオワコン、今はハロウィンが盛り上がるんだよ”っていうなかで、最大規模のパーティをVAMPSがやっている。しかもたくさんのバンドがVAMPSを慕って出演するんですけど、“それ、持ち出しだろう”ってぐらい気合いが入った仮装をしたり、とにかく華やか。かと思えばVAMPSは、<VAMPARK FEST>も主宰しているんですね。これは、海外アーティストも招いて武道館でやっちゃうみたいなモンスターフェスなんですけど、VAMPS自身が海外で活躍しているからこそできるものですよね。僕は、VAMPSは完全に外タレだと思ってますからね。「あのフェスには誰々が出るらしいぜ」って会話をよくすると思うけど、「VAMPSのフェスにはニッキー・シックスが出るらしいぜ」って……完全に国境を超えてますよね。僕らの中にそんな発想なかったんですよ。“木更津にセックス・ピストルズを呼ぶ”という目的はあるものの、だいぶ薄めに言ってる感じ(笑)。それを全然やっちゃってるVAMPS、スゲーなって感銘も受けていて。

──10-FEETの<京都大作戦>は?

綾小路:“<氣志團万博>をこうしたい”っていまだに参考にして追いかけているフェスです。まず、アーティストの出演発表がある前にチケットが売り切れる。信頼されてるんですよ。“10-FEETがやるから間違いない、絶対におもしろいに決まってる”って。当日は10-FEETの盟友が集まって、とにかく表も楽屋裏も楽しい。去年は氣志團は出演してないのに、僕は2日間、行きましたからね(笑)。

──ははは!團長の姿は楽屋裏で見ました(笑)。

綾小路:だからアーティスト主宰の、憧れの二大フェスなんですよね。僕らも<氣志團万博>を5年連続でやってきて、ようやくひとつの色みたいなものも見えてきた。そこでふとひらめいたんですよ。言ってみたら、漫画『魁!!男塾』の“大威震八連制覇”。“驚邏大四凶殺”というのが最初にあって、男塾の中で、“あいつは強い、こいつが強い”ってやりあったんです。そのなかで仲間達ができたところに、新たな敵“伊達臣人率いる関東豪学連”が現われた。関東豪学連とは4対4で、ひとつのステージで闘っていくんですけど、そこでも友情が生まれた。そうしたら今度は2年生や3年生とも闘うことになったり、ついに学園がまとまったと思ったら、今度は他の学校と闘うことになったり。

──ということは、ヤンキーにおける他校との喧嘩が今回の<THE GREAT ROCK'N'ROLL SEKIGAHARA 2017>ですか!

綾小路:要するに、そうです。

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