【レポート】MICHAEL主宰フェス初日、「それぞれの“夢”だと思います」

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松岡充と豊田和貴によるMICHAEL主宰イベントフェス<SPRING JUMPING CIRCUS 2017>が4月17日、東京・赤坂BLITZにて開幕した。

◆<MICHAEL SPRING JUMPING CIRCUS 2017> 画像

MICHAEL主宰フェス開催は2015年7月、Zeppブルーシアター六本木にて全11日間8公演の規模で開催された<MICHAEL SUMMER NIGHT CIRCUS 2015>以来約2年ぶり2回目。1会場に滞在しながら日替わりで、ジャンルや世代を超えたアーティストを会場に招き、音楽はもちろんトークや芝居、コントなど、松岡充が中心となってリスペクトすべきゲストたちとコラボを創作した。通常の“音楽フェス”ではありえない、刺激的なエンタテインメント性の高いステージが、出演者やオーディエンスを大いに驚かせたことも記憶に新しい。


<SPRING JUMPING CIRCUS 2017>は場所を赤坂BLITZに移して全7日間6公演で開催されるものとなる。その初日から、松岡がクリエーター魂大爆発の衝撃的ステージを展開して、人々を感動の渦に巻き込んだ。

4月17日、MICHAELが迎えた出演者は、DAYDREAM BABYS*、撃弾ハンサム、劇団鹿殺しRJPという3組。音楽ファンにはあまり馴染みのない名前かもしれないが、DAYDREAM BABYS*は舞台『私のホストちゃん』での共演をきっかけに、昨年松岡が中心となって企画開催したユニットだ。メンバーは、俳優の荒木宏文、平田裕一郎、五十嵐麻朝ほか、The THIRTEENの真緒(Sadie)、そして松岡充が加わって構成されている。

撃弾ハンサムは、SOPHIAのシングル「ヤングアダルト」ミュージックビデオに出演していた俳優・富田翔を中心に、磯貝龍虎、高崎翔太、寺山武志で結成された演劇ユニットであり、これからの演劇界をリードしていく気鋭のイケメン俳優達が揃った。

そしてこの日、最も異彩を放ったのは、劇団鹿殺しRJPだった。名だたる演劇人たちが絶賛する劇団鹿殺しの別ユニットが、イケメン俳優陣にどう絡んでいくのか。RJPとは「路上パフォーマンス」の略であり、全14名もの俳優が演劇ジャンルを超えて同じ舞台に集結すること自体、夢のような出来事。MICHAELフェスならではのスペシャルブッキングと言える。


舞台『私のホストちゃん』でお馴染み“甘王”のサプライズ登場で、オープニングからオーディエンスのハートをゾクゾクさせたこの日は、2016年夏に上演された舞台<DAYDREAM BABYS*>のストーリーをベースにステージが進行。劇団鹿殺しRJPが登場し、通常MICHAELが演奏するパートを完コピ、エア演奏で披露するというもの。「日本で最初にエアバンドとして活動したのは俺たちだ」と自負する彼らの意地を見た圧巻のパフォーマンスだった。

観客を引っ張り出し、身体を張った即興ゲームをやらせる舞台<DAYDREAM BABYS*>の人気コーナーでは、舞台袖で見ていた美月 (The THIRTEENのギタリスト)が餌食に。股間を激しく振るパフォーマンスを強要されるなど、ヴィジュアル系のイメージは完全崩壊。床に座り込む美月を見てオーディエンスは大喜びだ。


客席が笑いで温まった直後にシーンが一変。荒木宏文が「自分は何のために歌うんだろう……」と自問自答を繰り返しながら、MICHAELバンドをバックに「STELLAR」(楽曲提供:松岡充)を熱唱。ライブのトップバッターの役割を果たした。続いて、役者よりも自分に似合うものを探している設定の平田裕一郎と五十嵐麻朝は、まず、2人で組んだラップユニットKAKKY&GORYの「ドレミのラップ」でフロアを盛り上げる。しかし、悩みは解決しない。



次に始まったのは劇団鹿殺しRJPのライブだ。イカついルックスに反して「タオパイパイ」「ペコペコ」「わき毛」「せな毛」など、劇団鹿殺しRJPの曲紹介の言葉を借りれば「目くそ鼻くそみたいな曲」ばかりを歌唱(笑)。鹿殺しRJPに加わることとなった五十嵐は、そんな楽曲をバックに堂々たるパフォーマンスを見せてファンを驚かせた。平田は平田で「じゃあ俺、イケメンだからヴィジュアル系で」と言い出し、それを聞いた真緒は美月を連れてキメキメのヴィジュアル系の衣装で颯爽とステージへ。The THIRTEENの「GAMUSHARA」など、デスボイスの煽りをフィーチャーした熱いアクトを披露すると、途端にフロアは熱狂に包まれていった。



昨年<DAYDREAM BABYS*>で舞台デビューして俳優を目指す真緒と、ヴィジュアル系を目指す平田のもとに富田翔が加わり、そこに甘王が登場したところで、舞台『私のホストちゃん』の人気コーナーを彷彿とさせる観客を口説くコーナーが開幕した。ここではなぜか男同士の裸の抱擁も飛び出し、最前列の女性ホールドなどサービス満点の口説きが飛び交ってファンも絶叫も。その後、富田が座長を務める撃弾ハンサムが中世ヨーロッパ風のゴージャスな衣装を纏って舞台に降臨すると、場内の空気が変わった。歌と芝居を通して撃弾悪魔の世界の経典を布教した後、「充ハンサムーっ!」と松岡を呼び出し、楽曲「愛はハンサム」を松岡とともに絶叫した。



こうして松岡が構成したストーリーをもとに、ジャンルや劇団を超えて、俳優同士、俳優とアーティスト同士が次から次へと絡んでいく。このMICHAELフェスが音楽フェスであることを忘れさせるほど、笑いの絶えない客席であったが、シーン毎に挟み込まれるライブやステージングがあまりにも本気であるがゆえ、その世界観にどんどんどんどん引き込まれていく。そしてトリを務めるMICHAELのライブパートへと入る直前、前述の「愛はハンサム」を歌い終わった後に、松岡は富田にそっと問いかけた。

「お前は何がやりたいの?」


MICHAELのライブがSOPHIAの「ヤングアダルト」から始まった。ミュージックビデオに出演していた富田は、袴に着替えて舞台後方に現われ、習字パフォーマンスでMICHAELと共演。“ハンサム”という文字を力強く書き上げた。この後、松岡がMCで「初日からすごいヤツらが集まってくれました!」と出演者に感謝の言葉を伝えると、「各々進行中の活動があるなかで奇跡的にMICHAELフェス初日にみんなが集まることができた」こと、「今朝1回こっきりの通し稽古をやった」ことを話した。

「音楽、演劇という境界線を超えたところで作品で一つになるというのは難しいんです。僕自身、これがやらなければいけない“仕事”だったら断ってると思います(笑)。過密スケジュールのなかでも“なんか、このフェス面白そうじゃん!”って思った皆が賛同して、こうして集まってくれた。ここに繋がってるものって、それぞれの“夢”だと思います。ガキの頃、未だ見ぬ誰かに自分の存在を届けたいと思った人が、何の因果か夢が重なってこうして一緒にステージに立ってる。客席にいる皆もそうです。一瞬の夢、まさにDAYDREAMを信じてここに集まってくれてるんだと思います」──松岡充



こう話した後に届けられたのはSOPHIAの「夢」だった。同曲で本公演のすべてが繋がり、客席の心が震える。この日、松岡がオーディエンスや出演者全員に伝えたかったことはなにか? それは、自分がやりたいことを探している誰かに、この公演を見たらまた元気をもらえるかもしれないから行こうと決意して動いたあなたに、“今もこうして皆を突き動かしてるもの、それこそが夢”なんだということ。想いよ届けと言わんばかりにエモーショナルに「夢」を歌い上げた松岡は、最後に「この人たちと出逢えて、僕は本当に良かったと思います」と舞台に集まった出演者を紹介、1日目のライブを感動的に締めくくった。

<SPRING JUMPING CIRCUS 2017>の2日目以降は、対バン形式のステージが中心となっていくが、ただのライブだけでは終わらないのがMICHAELフェスだ。メインアクトのライブ前に客席中で行われる恒例イベントや、出演者全員によるその当日限りのセッションは超プレミアムなもの。ちなみに、2日目のSKY-HIとI Don’t Like MondaysはMICHAELの導きで、紙相撲によって出演順を決めていくことになったほか、3日目の出演者であるZIGGYと中島卓偉は、MICHAELの2人とともに学ラン姿を披露、ライブ前の客席を沸かせた。想像を超える予想外のコラボにサプライズ、それらを繋ぐメッセージが与える感動。そん、MICHAELにしかできないフェスが気になったら、赤坂BLITZへ。




また、会場内ではMICHAEL関連のDVD2タイトルが販売中だ。ひとつは、MICHAEL初主宰フェス<MICHAEL SUMMER NIGHT CIRCUS 2015>の全8公演を収録したLIVE DVD。映像は、最終日のMICHAELワンマン公演を中心に、JUN SKY WALKER(S)、ゴールデンボンバー、MUCC、ROOT FIVE、SOLIDEMOなど、ジャンルレスな音楽フェスであることを示す全ラインナップのダイジェストを収録している。

もう一方は、<SPRING JUMPING CIRCUS 2017>初日を飾った<DAYDREAM BABYS*>のDVDとなるもの。これは、2016年8月12日の松岡充バースデースペシャル公演を完全収録したもので、度肝を抜くオープニング演出に始まり、ゲストを迎えて展開する台本のない超リアルエチュード、バースデースペシャル公演ならではのサプライズ、圧巻のパフォーマンスでみせるミュージックライブ映像作品となっている。そのラストシーンは、リアルに夢を追う者(=キャスト達)がセリフとして本音を激しくぶつけ合う姿が、それぞれの等身大の現実に重なり、観る者の涙を誘う。東京と大阪の全14公演上演後、まもなくのリリースとなった。

<MICHAEL SPRING JUMPING CIRCUS 2017>は、本日4月21日にSHIN、ASH DA HERO、ぞんび、翌22日に禿夢・UNFACEが出演する。そして週末23日のMICHAELワンマン公演で締めくくられる予定だ。

取材・文◎東條祥恵
撮影◎堀卓朗

◆<MICHAEL SPRING JUMPING CIRCUS 2017> 全24枚画像ページへ


■<︎MICHAEL SPRING JUMPING CIRCUS 2017>

【1st Day】
2017年4月17日(月) 赤坂BLITZ
OPEN 17:00/START 18:00
出演者:DAYDREAM BABYS* / 撃弾ハンサム / 劇団鹿殺しRJP / with MICHAEL
【2nd Day】
2017年4月18日(火) 赤坂BLITZ
OPEN 17:00/START 18:00
出演者:SKY-HI / I Don't Like Mondays. / with MICHAEL
※First Act:リアクションザブッタ
【3rd Day】
2017年4月19日(水) 赤坂BLITZ
OPEN 17:00/START 18:00
出演者:ZIGGY / 中島卓偉 / with MICHAEL
※First Act:DALEN
【4th Day】
2017年4月21日(金) 赤坂BLITZ
OPEN 17:00/START 18:00
出演者:SHIN / ASH DA HERO / with MICHAEL
※First Act:ぞんび
【5th Day】
2017年4月22日(土) 赤坂BLITZ
OPEN 17:00/START 18:00
出演者:[Special Guest]禿夢 / with MICHAEL
※First Act:UNFACE
【6th Day】
2017年4月23日(日) 赤坂BLITZ
OPEN 15:00/START 16:00
出演者:MICHAELワンマン公演
※4/20(木)のみ休演
※出演者アーティストおよび開場 / 開演時刻は変更の可能性がございます。
▼チケット
◼1公演日ごとのチケット◼
スタンディング 6,480円(税込) ※入場時1drink代別

■映像作品

●LIVE DVD「MICHAEL SUMMER NIGHT CIRCUS 2015」
●DVD「Mitsuru Matsuoka presents DAYDREAM BABYS*」
HMV ONLINE http://www.hmv.co.jp/fl/10/1612/1/
BLUE SHOP https://blue-shop.tokyo

■2マンイベント<ASH DA HERO 2MAN SHOW SERIES 2017「CONNECT X」>

【ACT.4】ASH DA HERO × MICHAEL
2017年5月18日(木)東京・TSUTAYA O-WEST
開場・18:30/開演・19:00


■映画『TOKYOデシベル』

2017年5月20日(土)より、ユナイテッド・シネマ豊洲他全国ロードショー
▼Cast
松岡充 安倍なつみ 長井秀和 鈴木優希 宮地大介 入江要介 村井良太 SUGIZO 山中秀樹 坂上忍 安達祐実
▼Staff
原作・監督・脚本:辻仁成 音楽:SUGIZO
日本/2017/97分/HD/カラー/5.1ch (C)「TOKYO DECIBELS」製作委員会

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