世界を牽引するポップミュージック、ザラ・ラーソン、ついに日本上陸

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スウェーデンとポップ・ミュージック。こんなに相性のいい言葉は、滅多にあるものじゃない。アーティストだけでなくプロデューサーやソングライターを含めて、グローバルに活躍する無数のミュージシャンを輩出してきたスウェーデンなしに、現代のポップ・ミュージックを語るのはまず不可能なのだから。それゆえに、ザラ・ラーソンみたいな女性が現れたことに、そして大ブレイクしたことに、全く驚きはなかった。

◆ザラ・ラーソン画像

ストックホルム出身、2月末に開催されたスウェーデンのグラミー賞に相当するGrammis 2017でアーティスト・オブ・ジ・イヤーを受賞した彼女は、世界基準のセンス、見た目と不釣り合いなほどド迫力の歌声、自分の信条を明快に語れる意志の強さを備え、まだ19歳の若さながら、キャリアは長い。第一歩を踏み出したのは、かれこれ10年近く前だ。

そう、子供の頃からセリーヌ・ディオンやホイットニー・ヒューストンを始めとする女性ディーバに憧れ、シンガーを志していたザラは、地元のオーディション番組に出演。10歳にしてそのセリーヌの「マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン」をパーフェクトに歌って優勝したのだが、あまりにも若かったことからレーベル契約に至らず…。

「10歳の子供をマジに受け止めてくれる人はいなくて、仕方ないから学校に戻ったの。でも今は良かったと思っている。私はリアルなアーティストとして捉えてもらいたかったし、真剣に音楽に取り組みたかったから。10歳の時も真剣ではあったけど、大人たちに“うん、この10歳の子はいいね”と言ってもらうのは難しいわよね。最終的にデビューした時には人々は私の音楽をちゃんと評価してくれたから、待ったことは全くマイナスにはならなかったわ」──ザラ・ラーソン

実際、15歳の時にようやくデビューを果たしたザラは、2014年にアルバム『1』をスウェーデン・チャートの頂点に送り込んだ。そして翌年、シングル「ラッシュ・ライフ」が全英チャートで最高3位を記録するなど世界各地でヒットを記録し、アメリカのEPICレコードと契約。「私は自分の音楽がインターナショナルなものであるというヴィジョンをずっと持ち続けてきたし、インターナショナルなアーティストになりたいとずっと思ってきた」と話す彼女は、目論見通りに活動の場を海外に広げるのだ。


以来、MNEK(ビヨンセやカイリー・ミノーグらコラボしている英国人のシンガー・ソングライター/プロデューサー)をフィーチャーし、初めて自ら曲作りに参加した「ネヴァー・フォゲット・ユー」では全米チャートでもトップ10入りを果たして、2百万枚を売り、これまたMNEKと共作した「エイント・マイ・フォールト」、全英チャート最高2位を記録した「アイ・ウッド・ライク」、タイ・ダラー・サインをゲストに迎えた「ソー・グッド」まで、5曲のシングルを発表。ほかにも昨年は、ザラがお手本として崇拝しているビヨンセのロンドン公演の前座を務めたり、MTVヨーロッパ・ミュージック・アワードの最優秀新人賞に輝くなどして話題をふりまき、海外ではさる3月に満を持して、世界デビュー・アルバム『ソー・グッド』を送り出したのである。



音楽配信サービスのSpotifyが「最も再生された女性アーティストのデビュー・アルバム」に認定し、iTunes総合チャートでは日本を含む52カ国でトップ5入りし、うち地元スウェーデンほか9カ国で1位を獲得するなど上々の成績を収めているアルバム『ソー・グッド』だが、制作するにあたって彼女が掲げていた目標は、いたって単純だ。

「とにかくグッド・ミュージックを作ることに専念したつもり。上質の曲を集め、上質の曲を書くことに全力を注いだし、色んな要素がミックスされているから、みんな最低1曲はお気に入りの曲を見つけられるでしょうね」──ザラ・ラーソン


だから、「アイ・ウッド・ライク」はハウス、ナイジェリア人の新鋭ウィズキッドをフィーチャーした「サンダウン」はダンスホール、「アイ・キャント・フォール・イン・ラヴ・ウィザウト・ユー」は王道のピアノ・バラード、タイトルトラックはR&B…といった具合に、曲ごとにスタイルを着替えるようにして歌声のパワーを見せつける。ジャンルの縛りから解放された世代ならではの幅広いテイストをサウンドに反映させるのは、デビュー当時からコラボしている同郷のMack、ノルウェイのスターゲイト、アメリカのザ・モンスターズ&ザ・ストレンジャーズ、カナダの若手STiNTといった国籍様々なプロデューサーたちだ。ソングライターにしても、お馴染みのエド・シーランやチャーリー・プースなど大物の名前が並ぶ。ザラ曰く、そんな多様な内容のアルバムを総括する言葉がなかなか見つからず、悩み抜いた末に辿り着いたのが、これまた単刀直入な“So Good”だった。

「タイトルを決めるのは、アルバム制作のプロセスの中で一番難しい気がするの。“どうやったら全曲を1語、もしくは1文で言い表すことができるって言うの?”と考えてしまうから。でもすでに「ソー・グッド」という曲があって、これは一目瞭然だと思った。私のアルバムは本当にソー・グッドだから!」


さらにここにきて、クリーン・バンディットとのコラボ曲「シンフォニー feat.ザラ・ラーソン」(ボーナストラックとして収録)が全英チャートナンバーワンを獲得。この先しばらくの間、世界中のチャートを賑わせそうな勢いを見せている彼女は、8月にはサマーソニック・フェスティバル出演のため日本にやってくる。ポップの現在地点をザラのアルバムで、パフォーマンスで確認したい。


文:新谷洋子

ザラ・ラーソン『ソー・グッド』


期間限定スペシャルプライス 1,800円+税 / SICP-4987
※国内盤オリジナル・ジャケット
※国内盤限定ボーナス・トラック3曲追加収録
https://itunes.apple.com/jp/album/id1226242425


配信/輸入盤CD:全15曲
https://itunes.apple.com/jp/album/id1201058048

Zara Larsson >< H&M


2017年5月12日(金)より、限定カプセル・コレクション「Zara Larsson><H&M」展開
http://www.sonymusic.co.jp/artist/ZARA/info/480877

<サマーソニック2017>

2017年8月19日(土)
・東京: ZOZOマリンスタジアム&幕張メッセ
2017年8月20日(日)
・大阪:舞洲SONIC PARK(舞洲スポーツアイランド)
www.summersonic.com

◆ザラ・ラーソン・オフィシャルサイト
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