ポール・ショーティノ、まもなく来日

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昨年、”鉄のまち”愛知県東海市で行われた<鋼鉄フェスティバルVol.2>。テーマであった「今こそ語る!LAメタル」では、ラフ・カットのポール・ショーティノを迎え一夜限りのライブが開催された。

◆ポール・ショーティノ画像

ポールはスーパーロック'85、ラフ・カットの単独公演、ジャパンエイド2、クワイエット・ライオットの単独公演で過去4度の来日公演を果たしているが、それ以来27年振りの来日公演となる貴重なイベントであり、まさに「ベスト・オブ・ポール・ショーティノ」の内容となった。ポールは「この時のメンバーと再びツアーをしたい」とポール・ショーティノ・バンドとして来日を敢行、昨年と同メンバーにて東京、大阪公演の開催が決定となった。内容も前回のセットリストに加え、さらに数曲追加される模様だ。バックが日本人だから…バンドメンバーが来ないから、と参加を躊躇するファンもいるかもしれないが、昨年のショウがとても素晴らしかった事をここでで紹介しよう。参加のきっかけになれば幸いだ。

  ◆   ◆   ◆


開演前の場内BGMはストライパーやシャーク・アイランドなど全盛期のLAメタルが流れ、ポール・ショーティノは派手なスパンコールの髑髏ステッキを片手にステージへ現れる。「Rock the USA」でオープニングを飾り、一気に場内は80年代へタイムスリップ。ポールのその存在感、オーラは圧倒的にセクシーで良い歳の重ね方をしている。

「Double Trouble」「Bad Reputation」とラフ・カットのファンには馴染みの曲が続く、日本人メンバーで固めたバックの演奏陣もきっちりとこなしており、ギタリストの瀬上純(Crush 40)は、本家ラフ・カットのギタリストであるアミア・デラクのモデルを2本使用(全使用は3本)しているのも嬉しい。アンプはSoldano SLO-100Rだ。

「Dreamin' Again」では、ポールとバックコーラスで参加した藤井重樹(Slangrade)の伸びやかなツインヴォーカル、お互いに目と目を合わせ歌い上げるシーンも感動的である。観客との掛け合いもある「Dressed to Kill」のエンディングからドラマー、ルイス・セスト(Soul Doctor)がキレのあるタイミングで繋げる「Take Her」。あの代表的なギターリフへの流れは鳥肌ものだ、エンディングはドラムソロへと繋がり、袖からもっと引っ張れとの指示にも対応する場面や会場を煽るMCもあり、音の鳴りも非常に良い。今回のドラムセットは、昨年行われた<ラウドパーク2016>でホワイトスネイクのトミー・アルドリッヂが使用したものだったそうだ。ポールは曲間でも何度も日本への愛情を表現し、また何気ない話題でも場内もそれに誘われてかなりの和みようだ。



ラフ・カットの曲に続きクワイエット・ライオット時代の「Don't Wanna be Your Fool」は、耳に障害を持つ少女が描かれたアルバムジャケット、その少女が叫ぶまさにクワイエット・ライオットなのが印象的だったものだ。ブルージーな歌声に酔いしれながらもシャム猫を撫でているPVを思い出した「Stay with Me Tonight」、いくつもの当時の思い出が蘇る。ベーシストの若手、Shoyo(Cross Vein)はおそらく生まれたばかりだった頃の楽曲たちだと思われるが、ステージでのアプローチも雰囲気を掴むのも非常に上手い。当時のLAメタルバンドは彼くらいの年齢だったミュージシャンが多かったはず、Shoyoが参加したからこそ懐メロバンドにならなかったのではないかと思う。もう一人のギタリストである若井望(Destinia、Mari Hamada)、LAメタルを完全に自分のものに、しかもナチュラルに演じているのだから観客も見惚れて当然だ。こちらはサブもバックに用意されていたがメインのKRAMERのみ使用。ポールも度々嬉しそうな笑顔で絡みに近づく場面も多く、若井望の存在は今回のLAメタルの良き時代を豪華さを上手く演出できたひとつであろう。

ギタリスト瀬上純は曲によってはキーボードもプレイしながらの場面もあり、フロント3人でのフォーメーションも決めてくれ、演奏メンバーのキャリアと実力も存分に観せてもらえた。ポールの情熱のこもったソウルフルな歌声は本編ラスト「Cutt Your Heart Out」へ。当時よりも衰えているだろうから今のライブには行かないというのもひとつの考えだと思うが、ここのところベテラン勢のライブは素晴らしいものが多く、若さの勢いやがむしゃら感ではない、実に丁寧なパフォーマンスには感心させられる。




アンコールでのクワイエット・ライオット「Bang Your Head」は「The Wild & The Young」と同様にポール時代の曲ではないが、ケヴィン・ダブロウへの想いがポールを中心にバンドメンバー、観客、会場全てがリスペクトと愛に溢れていた。そしてクライマックスはヒア・アンド・エイドの「Stars」、コーラス藤井重樹もステージセンターでポールとのツインリードボーカルを。「Stars」に参加したロニー・ジェイムス・ディオ、ケヴィン・ダブロウ、ジミー・ベインなどが他界してしまっている現在、ポール・ショーティノが歌う生「Stars」は奇跡と感動としか言いようがない。ちなみにギターソロ場面での皆さんが気になるかもしれないブラッド・ギルス・パートは瀬上純、ジョージ・リンチやイングヴェイ・パートは若井望が再現した。ポールもこのメンバーでまたツアーをしたいと言っていたほど、このイベントは予想を遥かに超えた内容と出来になったと思われる。即席で仕込んだものと、演者がもともと好きなものとは明らかに違いがわかるものだ、今回のメンバー陣が後者である事が本当に感じられた。終演後、急遽行われたサイン会もポールとメンバー全員で対応され、最後まで愛に包まれた一夜となった。

文 : Sweeet Rock / Aki
写真 : 塙 薫子


<鋼鉄フェスティバル Vol.2>
2016年11月3日@東海市芸術劇場
1.Rock the USA
2.Double Trouble
3.Bad Reputation
4.Dreamin' Again
5.Don't Settle for Less
6.Dressed to Kill
7.Take Her
~ Drum Solo ~
8.Don't Wanna be Your Fool
9.Stay with Me Tonight
10.The Wild & The Young
11.The Night Cries Out(for You)
12.Piece of My Heart
13.Cutt Your Heart Out
~Encore ~
14.Bang Your Head
15.Stars

メンバー :
ポール・ショーティノ(Vo./ Rough Cutt)
瀬上純(G., Key / Crush40)
若井望(G./ Destinia, Mari Hamada)
Shoyo(B./ Cross Vein)
ルイス・セスト(Dr./ Soul Doctor)
藤井重樹(Cho./ Slangrade)

<ポール・ショーティノ・バンドJapan Tour 2017>

■2017.6.21 大阪 / 梅田CLUB QUATTRO
開場18:00 開演19:00
チケット発売中 6,000円(税込/All Standing / 1drink別)

■2017.6.22 東京 / 渋谷CLUB QUATTRO
開場18:00 開演19:00
チケット発売中 6,000円(税込/All Standing / 1drink別)

企画・制作・招聘 / クリエイティブマン
https://www.creativeman.co.jp/event/psb2017/
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