【インタビュー】リンキン・パーク、「このアルバムには純粋さが宿っている」

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■各曲が俺たちの人生で起こっていること
■でも普段は話題にはしなかったことを語った章──ジョー・ハーン

──先行公開された「ヘヴィ」という楽曲がいち早く話題を集めましたね。この楽曲がどのようにして誕生したのかを教えてください。

ジョー:マイクがSNSでファンのコメントを見ていて、ファンの誰かが「ヘヴィな曲を作ってくれ!」ってコメントしていたのを見つけたからだよ(笑)。

ブラッド:皮肉なタイトルなんだよ。君たちはどうかわからないけど、俺が何かの問題について考えている時って、すぐさまその問題で頭が一杯になることがある。その問題にフォーカスしてしまって、実際のまわりの状況とは関係なく、すべてが山みたいに重くのしかかってくる気がしてその悪循環から抜け出せない──この曲はそういう内容なんだ。この曲に参加しているキアーラとは、まずマイクが知り合っていて、一緒に何かやろうという話になり、彼女は2回レコーディング・セッションに来てくれたんだ。その時にマイクが彼女と話をしているなかで、彼女がこの曲に惹かれたんだよ。元々この曲のセカンド・ヴァースはチェスターの声でレコーディングしてあったんだけど、その部分を俺たちは彼女のヴォーカルで録ってみた。それによってこの曲に、本当に生命が吹き込まれたという感じがしたね。ふたつの声が、ひとつのテーマとして合わさって聴こえてね。俺がいちばん好きな曲のひとつだよ。沢山の人たちに聴いてもらったんだけども、みんなそれぞれに感情移入してくれて、それでこの曲を今作からのファースト・シングルにすることに決めたんだ。アルバムの強力なイントロダクションとしてね。


──この楽曲自体はタイトルに反してヘヴィではないことから「今回のアルバムはヘヴィさとは逆の方向に向かったものなのか?」と結論を急いでいるファンもいるようです。実際のところ、この曲はアルバムの方向性を示唆するものだといえそうですか?

ジョー:ある意味においては、そうだね。なにしろアルバムの導入になる曲だから。でもどの曲がシングルになっていたとしても、同じことが言えただろうと思う。

ブラッド:でも、アルバムに入っているすべての曲が、それぞれにユニークなサウンドを持っているよ。だから、みんなにアルバムの全曲を聴いてもらうのがすごく楽しみなんだ。いずれも単独の曲として自立できる力のある曲ばかりだからね。しかも最終的にその曲たちをこの曲順に並べた時に、これらの曲がひとつにまとまって成立していることも感じられたんだ。明らかに一続きになった物語があるんだよ。聴いていて、その物語の映像が喚起されるんだ。これはふたりで話していたんだけど、確かジョーは「アルバムを通して聴いた時にひとつの連続したストーリーが思い浮かんで、共感した」と言っていたよね?

ジョー:ああ。作曲中、歌詞は通常2~3人が一緒になって書いていたんだけど、すべての曲が、それぞれに違う感情を扱ったものになっている。でも、それらの曲がアルバムとしてまとまった状態で聴くと、各曲が俺たちの人生で起こっていること、でも普段は話題にはしなかったことを語った章になっているかのような感じがした。音楽って、人に心の安らぎを与えてくれるものだと俺は思うんだ。解決法や答えはくれないけど、何らかの問題について安らぎを見出せるような場所を与えてくれると思うんだよ。このアルバムは、俺たちとってそういう作品になったと思う。

──このバンドは常に新しい実験や試みを重ね、テクノロジーを有効に用いながら音楽を進化させてきました。キアーラの起用など以外に、今回何か新たな試みはありましたか?

ブラッド:というか、何より俺たちが“「曲」に「曲」としてアプローチしたこと”が大きいね。つまり、ほぼすべての曲作りが歌詞とメロディから始まったということなんだけど、その作曲方法そのものが、俺たちにとっては初の試みだったんだ。挑戦になったのは、それぞれの曲に合うサウンドを見つけることだった。それはすごく容易いことだろうと思っていたんだけど、各々をどんなタイプの曲に落着させていくかを見つけるのは難しかった。そのおかげで、俺にはすべてのプロセスが新鮮に感じられたよ。だから、このアルバムには純粋さが宿っているように思うんだ。こういう方法で、曲に合う音楽を発掘することができたから、というのがその理由のひとつだと思うんだ。とにかく今回の俺たちは、何よりも“曲”というものに取り組んだんだ。70曲ぐらい作って、そのなかで特に気に入った10曲を厳選した。どの曲も、純粋にひとつの曲として作曲されている。だけどアルバムの制作中に俺たち全員がパーソナルなことを経験していたから、アルバム全体に一貫した感情が流れている。だから遠くから眺めてみると、ジョーが言ったように、アルバム全体がある物語を語っているように感じられるんだ。まるで、それぞれの曲に共通項があるようにね。それは、俺たちが最初に意図してやろうとしたことじゃなかったけども。

──興味深いですね。実際、このバンドの楽曲のあり方は、作品を重ねるごとに“時代を問わない、普遍性の高いもの”になってきているように思います。これは音楽の成熟の形として理想的なものだと思うのですが、こうした変化についてあなた方自身はどう考えていますか?

ジョー:素晴らしいことだと思っているよ。それに、これだけ長きにわたって俺たちが活動を続けられているのは素晴らしいことだと思うし、俺自身、永遠にこれをやり続けたいと思っている。それができたら素晴らしいよね。今みたいな意見を言ってもらえて、俺たちはとても恵まれていると思うよ。そもそもこの仕事ができて本当に幸運だし、俺たちの作品を楽しみ、応援してくれる人たちがいてくれて……本当に幸運としか言いようがないよ。人々の応援とフィードバックがなかったら、活動を続けるのは不可能だからね。

取材・文◎増田勇一
撮影◎James-Minchin




ニューアルバム『ワン・モア・ライト』

2017年5月19日(金)発売
WPCR-17722 ¥1,980+税
1 ノーバディ・キャン・セイブ・ミー
2 グッド・グッドバイ
3 トーキング・トゥー・マイセルフ
4 バトル・シンフォニー
5 インビジブル
6 へヴィー / リンキン・パーク&キアーラ
7 ソーリー・フォー・ナウ
8 ハーフウェイ・ライト
9 ワン・モア・ライト
10 シャープ・エッジ
商品リンク: https://Linkinparkjp.lnk.to/preorderPr

■ライブ情報

<LINKIN PARK ONE MORE LIGHT WORLD TOUR>
Special Guest:ONE OK ROCK
千葉・幕張メッセ 国際展展示ホール9~11
2017年11月2日(木) open 16:00 / start 19:00
2017年11月4日(土) open 15:00 / start 18:00
2017年11月5日(日) open 15:00 / start 18:00
※LINKIN PARKのパフォーマンスは全日程90分を予定
※ONE OK ROCKのパフォーマンスは全日程60分を予定
来日公演特設サイト: http://www.hipjpn.co.jp/live/lp/


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