こんにちはこんばんわ初めましていつもありがとうございます。コヤマです。
CIVILIANというバンドで歌を歌ったりギターを弾いたり曲を作ったりしています。

ごめんなさい。本来なら5月末に第五回を提出している筈でした。正直に告白すると、活動があまりにも忙し過ぎて、小説を読むというモードに頭が切り替わらず、バンドのことやライブのことや新曲のことをずっと考えていたら、気付いた時にはもう5月も終わりに差し掛かり、その時点でまだ一冊も読み終わっていない状態でした。すみません。5月は最後の一日までずっと予定が詰まっていて、これはもう5月中の更新は厳しいぞ、さてどうしたものか、と頭を悩ませていました。いっそ今回は休載してしまおうかという悪魔の囁きが聞こえたのは秘密です。

そんな中、先日行われた真空ホロウ(‪ @shinku_horou )の‬LINE LIVEにゲスト出演させて頂いた時のこと。終わった後でVo.松本明人と飲んでいた時に、この連載の話になりました。「締め切りがまずいんだよ、まだ一冊も読んでいないんだよ、どうしようどうしよう」という僕に、「それならこれなんてどうです?」と早速スマホで検索を始める松本明人。「これならきっとすぐ読めるから」といくつかの候補を教えてもらい、今回はそれを読むことにしました。なので番外編。本来ならみんなから勧められたものを読むのがこの企画のコンセプトなので、正式な続編はまた次回ということで、ちょっと短いかも知れませんが今回はこれでご勘弁を。
それでは、今日も本の話をします。

(この感想文は内容のネタバレを多分に含みます。肝心な部分への具体的な言及は避けますが、ご了承の上読んで頂ければ幸いです)

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【番外編 ~真空ホロウ・松本明人推薦図書~
 穂村弘『蚊がいる』】

■鋭敏過ぎる感性によって、顕微鏡のように「世界のほころび」を見つけてしまう人

番外編。明人君からお勧めされた様々な本の中から僕が読むことを選んだのは、歌人・穂村弘さんのエッセイ『蚊がいる』です。

ご存知の方にとっては釈迦に説法かも知れませんが、エッセイとは随筆、つまり形式などにとらわれず自分の個人的な体験や主観的なものの見方などを自由に書き記したものです。小説のように物語や起承転結があるわけではなく、作者が日頃思っていることや感じたこと、体験したことなどについて叙情的な表現を交えながらつらつらと書いたものがエッセイ。つまり今回は小説ではありません。

穂村弘さんはもともと短歌を作る方で、現代短歌を代表する歌人のうちのおひとり。短歌だけでなくお話やエッセイも書かれており、そのひとつが今回読ませて頂いたこの『蚊がいる』。ひとつひとつの話は数ページで終わるものなので、明人君の言う通りとても読みやすく、ページ数的にはなかなかのボリュームですがすらすらと読み終わりました。

そして肝心の内容。僕はずっと笑いながら読んでいました。何故って、あなたは僕か?というような話のオンパレードだったから。この方は本当に鋭い感性をお持ちの方で、常人であれば何とも思わずスルーしてしまうような日常のほんのわずかな出来事にも頭のセンサーが反応する方なのだな、と思いながら読んでいました。あちこちで反応し過ぎてそれだけで疲弊してしまうのではと思うくらい敏感なセンサーを持っている人。そしてまた、その反応の仕方がまったくもって他人とは思えない。


”「マスター、最近ノダちゃん顔みせてる?」
お店に入って来るなり大声を出すひとがいて、びくっとする。それ、合ってるのかなあ、と訝しい気持ちになる。「常連」の演技をしているみたい。(中略)
でも、私には無理だ。「マスター」「ノダちゃん」「顔みせてる?」のなかのどれかひとつでも、口に出したくはない。云えるのは「最近」だけだ。ただ、何故そんなに嫌なの、と訊かれるとうまく説明できない。(「内気だけが罪」)”


わかる。無茶苦茶わかる。途轍もなくよくわかる。僕も絶対に無理。どんなに通い慣れたお店でも、店員の方にこんな口を聞こうなんていう気にならない。たとえどんなに顔見知りになろうとも、やっぱり自分は客で、やっぱり相手は店員なのです。その関係性を自ら崩そうとするのはかなりの勇気を要することで、その一歩を自分が踏み出すのが怖いのかも知れません。僕は誰に対しても「初めて会った時に呼んだ呼び名をずっと変えない」という癖があるので、周りがどんどん砕けた呼び方でその人のことを呼ぶようになっても、僕だけは一向に他人行儀な呼び方から抜け出せないことが多々あるのですが、それも同様の感情から来るものかも知れません。そして、この「マスター、ノダちゃん」のような人のほうが、きっと友人が多かったりするのです。僕のような人間よりも遥かに。


“どんなキャラクターであっても、この世のどこかには居場所がある。(中略)でも、内気だけは駄目。伝わらない心を抱えて世界の周囲をくるくる回るだけ。そう気づいていながら、どうすることもできない。時間だけがどんどん過ぎる。だからこそ内気なのだ。(「内気だけが罪」)”


言葉にしない感情や考えは、周囲にとっては何もないのと同じです。心の中でいかに壮絶な感情や壮大な志が渦巻いていたとしても、外側に向けてそれを発信しなければ、誰の元にも届きません。口を開かなければ分からない、思ってるだけでは伝わらないのです。そして、そうこうしているうちに「マスター、ノダちゃん」のような種類の人達がどんどん言葉を発信して、渦巻いた感情の置き場所も分からないまま、気が付くと事態はもう遥か先まで進んでしまうのです。僕等のような人間を取り残したままで。
「内気だけが罪」という話の最後で、穂村さんはある決断をして実行に移すのですが、その行動と結果に思わず「なるほど」と膝を打ってしまいました。これ、僕もどんどんやっていこう。

この『蚊がいる』というエッセイ集には「内気だけが罪」だけでなく沢山の話が収録されており、微笑ましいものからハッとするようなものまで様々ですが、どんな話の中にも言葉選びのひとつひとつにユーモアがあって、穂村さんが本当にここに書かれているようなお人柄なのだとしたら、なんだか可愛らしい人だな、と思いました。


“感度の悪い自動ドアというものがある。近づいても無反応。くっついても無反応。「あのー、立ってますよ、もしもし?」と思っていると、驚いたようにごーっと開く。鈍いなあ。そんなんじゃ自動ドア失格だよ。(「運命センサー」)”


この言い方が好きです。ちなみに僕が立っているときも自動ドアはあまり開いてくれません。

世の中の暗黙のルールや、「普通こうでしょ」という無意識下の合意のようなものと相容れることが出来ず、世界と自分が「ずれている」ということに何度も傷付いて、でもそれを無駄に悲観的に捉えるのでもなく、冷静にその隔たりの距離を測っているような人。どうにかしてその断絶の距離を正確に測量して、隔たりの中へ落ちてゆかぬよう生きていこうとする人。だけれどきっと今日も、やっぱりその隔たりに足を取られて落ちていそうな人。もちろん、ご本人の心中は決して穏やかではないのかも知れませんが、その「ずれ方」が、読んでいるこちらにとっては笑ってしまうようなものだったり、感心したり共感したり、でも、ふとしたほんの一瞬の隙間に真っ黒な暗い穴を見てしまって背筋が凍るような、そういうエッセイ集でした。

本当に沢山のお話があるので、僕がここで語っているのはごくごく一部でしかありません。もっともっと様々な角度から様々な体験や感情が沢山沢山書かれていて、この感想文を読んでいる人達ならばきっと、「これは自分か?」と思う話が必ずひとつはあるはず。是非読んでみて下さいね。


“生きる最後の力は「これ」しかないのだろうか。(中略)最後の最後はぐちゃぐちゃの苦しみのなかを「ただ頑張る」ことでしか対応できないものなのか。みんな、そうしてるのか。(「蚊がいる」)”



ありがとう明人君。とても面白かったよ。

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CIVILIAN ニューシングル「顔」

2017年8月2日(水)発売
1.顔
2.デッドマンズメランコリア
3.ハロ/ハワユ
初回生産限定盤:SRCL‐9445/6 1,800円(税込)特典DVD付
通常盤:SRCL‐9447 1,200円(税込)

自主企画ワンマン<CIVILIAN 1st Anniversary Live “ONE”>

7月18日(火) 新代田FEVER
OPEN/START 18:30/19:00
前売り¥3,500 当日¥4,000
チケット一般発売:06.18(Sun.)10:00〜

CIVILIAN ライブ情報

<LIVEHOLIC 2nd Anniversary series Vol.6>
2017.06.14(水)下北沢LIVEHOLIC
出演 :鳴ル銅鑼 / ハルカトミユキ / コヤマヒデカズ(CIVILIAN)

<新宿SAMURAI1st ANNIVERSARY「式日vol.5」>
2017.06.19(月)新宿SAMURAI
出演 :それでも世界が続くなら / CIVILIAN

<10th Anniversary!! 『Mujack Dream Land 2017』>
2017.06.23(金)心斎橋Music Club JANUS
出演 :I Don’t Like Mondays./Official髭男dism/Thursday’s youth(ex:Suck a Stew Dry)/ドラマチックアラスカ / CIVILIAN
MC:中島ヒロト/大西ライオン

<真空ホロウツアー 2017 前夜祭「いっそこめさえうけいれて」>
2017.07.14(金)新潟GOLDEN PIGS BLACK STAGE
出演 : 真空ホロウ / LUNKHEAD / lazuli rena nicole / CIVILIAN

<MURO FESTIVAL 2017>
2017.07.22(土) / 23(日)東京都 お台場特設会場
CIVILIANはDay1に出演いたします。
Day1出演:ドラマチックアラスカ / GOOD ON THE REEL / Halo at 四畳半 / ヒトリエ / THE MUSMUS / WEAVER/AJISAI / CHERRY NADE 169 / ココロオークション / 八十八ヶ所巡礼 / LEGO BIG MORL / CIVILIAN
Day2出演:BRADIO / ハルカミライ / HERE/Large House Satisfaction / LUNKHEAD/MAGIC OF LiFE / Rhythmic Toy World / 忘れらんねえよ / バックドロップシンデレラ / Brian the Sun / バズマザーズ / ircle / LACCO TOWER / SIX LOUNGE / ビレッジマンズストア / WOMCADOLE

<真空ホロウ ワンマンツアー2017「いっそみなさえうけいれて」>
2017.07.28(金)渋谷WWW
出演 : 真空ホロウ
※コヤマヒデカズのみの出演となります。

<TREASURE05X 2017~BLOOMING SENCE~>
2017.08.20(日)名古屋 CLUB QUATTRO
出演 : パノラマパナマタウン / THE BOY MEETS GIRLS / 緑黄色社会 / LILI LIMIT / CIVILIAN 他

詳しくはコチラ: http://civi-l-ian.com/live/