【速レポ】＜SATANIC CARNIVAL＞四星球、「コミックバンドがやってきました！」

バラエティに富んだメンツが次々に登場するのが、＜SATANIC CARNIVAL＞EVIL STAGEの醍醐味。その中でも、四星球の出演はいろんな意味で物議を呼んだのではないだろうか。パンク、ハードコア、ラウドロック系バンドが大半のこのフェスに“日本一泣けるコミックバンド”と名乗る彼らが出演することは、かなり異例なことかもしれない。しかし、いざステージに立ってしまえば、そんな細かいことはどうでもよくなってしまう……彼らのライブは、それだけ強烈なインパクトと心に残る歌、そして圧巻の“ネタの数々”をはらんでいるのだから。

◆四星球 画像

サウンドチェックの時点ですでに半裸以上の状態でステージに現れた北島康雄（Vo）と四星球の面々は、「一応これ、サウンドチェックなんで（笑）。それでこの後、（真裏のSATAN STAGEに出演する）dustboxに行ったらええやん」と笑いをとりつつ、くつろいでいるオーディエンスのハートをわし掴み。観客は減るどころか徐々に増え、ライブ本編が始まる頃にはフロア後方まで大勢のキッズたちで埋め尽くされた。

すると、突然謎のアナウンスが始まり、サッカーのBGMでおなじみの「Samba De Janeiro（サンバデジャネイロ）」に乗せてサンバダンサーのコスプレをした四星球の面々が登場。北島が「この音楽に乗せて踊るというのを20分やります！」とネタを飛ばしつつ、「SATANIC CARNIVALにコミックバンドがやってきました！」と高らかに叫ぶと、フロアからは本気とも冗談ともつかないような大歓声が沸き起こる。「今日は4曲やります！」「今日、四星球は新幹線で幕張まで来ました。今日のテーマは“四星球、売れたな！”です」と観客から笑いを取ると、そのまま「Mr.Cosmo」からライブをスタートさせた。



たった4曲かもしれないが、その中身は40曲分あるのではないかと思えるくらい、濃厚なネタの嵐。何枚も履いたブリーフを1枚脱いでは客席に投げ込むまさやん（G）、ベースを弾きながらルームランナーで走るU太（B）、そのバックで強靭なビートを叩き続けるモリス（Dr）と、しっかりした演奏を背に、北島はコミカルながらもどこかキュンとする歌詞を歌い上げていく。その合間には「SATANIC CARNIVALで運動会やりたーい！」と、3曲目「運動会やりたい」の合間に“ウォール・オブ・デス”ならぬ“ウォール・オブ・デスを仕切る人”合戦や“サークルモッシュ”ならぬ“大学のサークル勧誘”をオーディエンスに命じていく。これを繰り返すうちに、フロアの沸点は着実に高まっていき、ラストナンバー「妖怪泣き笑い」でのビーチボールを使った“座ってからのジャンプ”でクライマックスを迎えた。





ライブ中、北島は「こんなバンドですけど、向こうのステージ（SATAN STAGE）狙ってるんで！」と叫んだが、それすら近い将来に実現してしまうのではないか。四星球はそう強く思わせるだけの説得力と（腹筋の）破壊力を持ち合わせた、最強のコミックバンドだと断言したい。

取材・文◎西廣智一
撮影◎中河原理英