【速レポ】＜SATANIC CARNIVAL＞打首獄門同好会、「まだ主食を歌ってない」

わずか5分しか転換時間がないというのに、一瞬にして膨れ上がるファンの数。2～3分も経たぬうちにEVILステージのフロアは超満員で、前のほうなんて身動きも取れないほど。そんな状況に陥れたのが打首獄門同好会。世にも恐ろしげなバンド名だが、ちょっとコミカルな詞でも知られる生活密着型ラウドロック・バンドだ。

◆打首獄門同好会 画像

「はい、始めましょー！　元気な子は手を上げて」と大澤が呼びかけ、Junkoは「オイ！　オイ！　もっと！」と煽りながら1曲目の「デリシャスティック」へ突入。実はサウンド・チェックのときに「ゴミを捨てない、拾って帰る」と言いつつ、スタッフ達の手によりフロアにうまい棒を大量に投げ入れていた打首獄門同好会。サビのコーラスで“うまい棒”と叫ぶのが、この「デリシャスティック」というナンバー。Junkoは茶髪ロン毛を振り乱しながら腰もクネクネさせて、うまい棒！ フロアのあちこちにいる女の子のオーディエンスも、力の限りうまい棒！ 今時の小学生でもこんなにうまい棒と叫ぶことはないだろう。ここまでのうまい棒愛。もう、のっけからいろんな意味で熱い。




そこから続くのは魚への愛がたっぷりの「島国DNA」。スタッフ達がフロアにマグロの大きな風船を、何匹も放流する。その光景も楽しいが、曲もいろんな要素が入り込み、まるで刺身の舟盛りのような贅沢三昧で気持ちもハイテンションになるばかり。「ヤキトリズム」では、さすが＜SATANIC CARNIVAL＞だ。なんと巨大なサークル・ピットも生まれて過激に盛り上がる。

「いや～、個人的なMVPはにゃんごすたー。それから今日は魚を歌い、鳥を歌い、たけのこも歌った。でも、まだ主食を歌ってない」

大澤がそう言いながらラスト・ナンバーとして投下したのは「日本の米は世界一」。この曲を作ったことで打首獄門同好会は存在を一気に知られるようになり、多くの熱狂的ファンもつかんだ。“日本の米は世界一”というサビ・コーラスだから、日本の農家のみなさんも放っておけない曲だろう。この絶大なキラー・チューンでは、炊き上がる米粒のように人波の上で転がる人が続出。クラウドサーフとも言うやつだ。




しかし目の前がどんな光景になろうとも、歌ってギターも弾く大澤は終始、生真面目な表情しか浮かべない。それがまた底なしの可能性みたいなものも漂わせている。そんな打首獄門同好会、来年3月には武道館でもライヴを行なう予定だ。

取材・文◎長谷川幸信
撮影◎上山陽介