【インタビュー】ISEKI (元キマグレン)、原点に向き合ったAORカバー集「自分にしか出せないものができたら」

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■ディスカッションしながら作っていった
■その日の気分で流してもらえるといいな

──今回の収録曲としては、70年代、80年代の楽曲も収録されていて、ISEKIさんがリアルタイムで聴いていたアーティストよりも上の世代の方々の楽曲も多いですよね。

ISEKI:そうですね。ギリギリで稲垣潤一さんかな。ベストアルバムを聴いたことがあって好きだったっていう。小坂忠さんの曲はプロデューサーから“この曲も入れてみたら?”って提案してもらったんですけど、僕としてもこんなかっこいい曲があったんだ!っていう発見もあって。なので、収録曲は、自分に馴染みのある曲と提案していただいたものを組み合わせた感じです。

──アレンジに関しては、原曲の雰囲気とか、多くの人がその曲に持っているイメージを大事にされているものが多いですね。

ISEKI:アレンジを変えるとAORではなくなってしまうし、今後自分がやっていくものが伝わらなくなるかなと思ったので、出来るだけ原曲を再現しようと。だから曲と勝負する感じでしたね。「シングルベッド」だけはアレンジを変えているんですけど。

──そうですね。ボサノヴァ調になっていて。

ISEKI:今回アレンジをしてくれて、キマグレンのときからずっとバンマスをしてくれているギタリストのシュンケ(鈴木俊介)さんが、つんくさんのギターをずっと弾いていて。その繋がりでこの曲をやることになったんですけど、“ボサノヴァにすると合うと思うんだよね”って。この曲が一番難しかったかもしれないです。歌ってもらうとわかると思うんですけど、原曲とグルーヴが全然違うんですよ。それを「シングルベッド」にしなきゃいけないところが難しかったですね。



──あと、中田裕二さんと共作された「HOLD YOU feat.中田裕二」というオリジナル曲も収録されています。

ISEKI:<音霊>をやっていた頃に、僕が椿屋四重奏をブッキングしていたんですよ。バンドが解散してからも、中田くんソロで僕のイベントに出てもらったり、彼もCHAGE and ASKAさんが大好きなので、僕が中田くんのライブに飛び入りして、一緒にチャゲアスを歌ったりしていて(笑)。あと、僕は元々洋楽をあまり聴いてなかったんですよ。それこそボズ・スキャッグスとか、ネッド・ドヒニーみたいな“ザ・AOR”なものって、実はあまり馴染みがなかったんですけど。そういうものとか、最近のAORとかソウルを中田くんから教えてもらったりもしていて。

──そういう流れがあっての今回なんですね。

ISEKI:去年、福岡にイベントで呼んでもらったんですけど、それが中田くんとツーマンで3ヶ所ぐらいを廻るというもので。そのときに、“ただ廻るだけじゃつまらないから、一緒に曲を作ってライブでやらない?”って話になったんです。そこから2人で盛り上がって、“やるならめっちゃAORにしようぜ!”とか“メイヤー・ホーソーンみたいな曲がいいね”とか、いろんなことをディスカッションしながら作っていった感じですね。

──曲作りをするために一緒にスタジオに入ったりとかは?

ISEKI:いや、全部LINEです(笑)。

──時代ですね(笑)。

ISEKI:でも、実際にライブでやってみたら、思っていたものと違うところがあって。その修正を移動中の車内でふたりでしてました(笑)。ここはブレスができないから歌詞を変えようとか。中田くんも言ってくれていましたけど、自分としても良い曲が作れたと思います。この曲をオリジナルの一発目として出せたのもよかった。

──まさに“ザ・AOR”な感じですからね。そして、8月30日には第二弾『AOR FLAVA -sweet blue-』のリリースが決定していますが、この『AOR FLAVA』というシリーズは、季節をテーマに制作されていて。

ISEKI:はい。ただ、季節に関しては、ちょっと曖昧にさせたというか(笑)。河野未彩さんが描いてくださったジャケットの雰囲気とか、タイトルも最初は「-mellow spring-」とか「-sweet summer-」だったんですけど、「green」や「blue」という色で表現しようと。

──あくまでも季節“感”といいますか。

ISEKI:そうですね。なので『AOR FLAVA -mellow green-』でいえば、春の終わりから夏の最初まで、みたいな。あと、一年通して聴いてほしかったんですよ。“今日は「green」かな”みたいに、その日の気分で流してもらえるといいなと思ったので。

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