X JAPANが放つ“奇跡の夜”を、その目に焼き付けよ

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X JAPAN ワールドツアーの一環として<WORLD TOUR 2017 WE ARE X>の開催が発表されたのは、3月17日(金)に行われた緊急プレミアム記者会見&サイン会での会場だった。7月11日(火)、12日(水)に大阪城ホール2days、14日(金)~17日(月・祝)に横浜アリーナにて4daysの公演とともに、あわせて海外公演なども発表される見込みだった。

その後に開催された映画『WE ARE X』舞台挨拶の場では、<WORLD TOUR 2017 WE ARE X>がニューアルバムを主体としたツアーになることも明かされ、映画公開後にも続いていた劇的なX JAPANの新たなストーリーが、また大きなうねりを見せることを予感させていた。YOSHIKIに言わせれば、「惑星直列のような、非常に珍しいめったにないそんなタイミングが来たのではないか。だから色んなことが起こりえる可能性を秘めている」と、小説よりも奇妙な伝説が新たな一章に描かれ始めたタイミングでもあった。


そしてYOSHIKIの緊急手術が行われたのは、それからちょうど2ヶ月後の5月16日(火)である。「頸椎椎間孔狭窄症」(左腕の神経根障害及び椎間板C5-C6の位置に椎間板ヘルニア)であることが判明し、手と腕に麻痺/強度のしびれがあるとも報道されていたが、実際の痺れは左腕全般にわたり、日常生活に支障が出るほどのヒドさだった。その様子をYOSHIKIに訊くと「感覚を失っている上にモノに触れると電気が走る感覚があるため、ピアノを弾くとまるで鍵盤に電流が流されているようだ」と語ってくれた。ウェンブリー・アリーナ公演のときには痛み/痺れはピークを迎えていたが、何事もなかったようにYOSHIKIはパフォーマンスを続けた。ファンとの交流を図った3月17日のサイン会でも、彼の左手は感覚を失い、頸椎は悲鳴を上げている状況だったのだ。そんな悲痛は、屈強な精神によって意識下に押しやられ、誰にも気付かれぬまま華やかでにこやかなイベントとして幕を閉じていたけれど。

まわりを気遣い、ファンを思い、夢に向かって邁進することしか選択しない無謀(と書いてYOSHIKIと読む)な奮闘は、ついに自らの肉体にレッドサインを点灯させた。今を思えば、2009年に行われた首の手術(頸椎椎間孔狭窄症のため、頸椎椎弓と頸椎椎間孔を切除)を行った時点で、医師から“ドラムは叩いてはいけない”と指示を受けており、ドラマー人生はそこでピリオドが打たれていた。2009年から2017年までのYOSHIKIの生き様こそが、“奇跡のドラマー人生”の8年間を描くものだったのだ。

2007年に不死鳥のように蘇ったX JAPANは、YOSHIKIというひとりのアーティストに永遠の命を与えたかのようだ。彼には、「終わり」も「引退」も「放棄」も「断念」もない。その事実を、YOSHIKIは「神は越えられない試練は与えない」という聖句を例に上げ、「ファンの人に与えられた命なので、何があっても全うしたい」と、ピュアなエネルギーを放出し続けている。


その後<WORLD TOUR 2017 WE ARE X>は、サブタイトルを冠して<X JAPAN WORLD TOUR 2017 WE ARE X Acoustic Special Miracle ~奇跡の夜~ 6DAYS>と新たに命名された。その名の通り、アコースティックスタイルでのコンサート強行突破だ。手術患部の回復は部分的には6週間、90%完治には6ヶ月かかると言われているため、7月にステージに立つのは自殺行為なのかもしれないとも自己分析をしていたが、一方で「前向きに活動するのは精神的/肉体的にも有効」と、術後の経過を見守る医師からのお墨付きも得たという。ファンのエネルギーによって生かされていると感謝するYOSHIKIにとって、ステージで交わすファンとのコミュニケーションは自身の存在理由そのものを謳歌する場でもある。

自分の身体がどうなろうとも、コンサートのキャンセルは彼の選択肢の中にはない。彼はドラマーだが、同時にピアニストでもあり「X JAPANで楽器を手にする以上、みなさんに感動を与える自信はある」と、極めてポジティブなメッセージを放っている。“奇跡の夜”6DAYSは、これまでのX JAPANにはなかった、ドラムレスの全く新しい特別なコンサートになる。本来クリスタルドラムがセットされるであろう場所にはピアノが置かれ、その左右にストリングス陣営が配される予定だ。オーケストレーションを携えたアンプラグドなセッティングだが、ギターサウンドは激しくオーバードライブするシーンもあり、X JAPANらしい激しさと切なさが同居した緩急溢れるサウンドが繰り広げられることだろう。YOSHIKIの頭の中には、3月のロンドン・ウェンブリー・アリーナ公演と、1月のYOSHIKIクラシカル@カーネギーホールという2大コンサートを融合させたようなステージがイメージされているようだ。

まだ見ぬアレンジでニューアルバムから新曲がお目見えすることも大いに期待できるわけだが、例えば「Rose of Pain」「UNFINISHED」といった近年演奏されることのなかった楽曲も登場の機会がありそうだ。


奇跡の6日間を刻む、その最終日は7月17日(祝・月)横浜アリーナとなるが、この日は会場にテレビカメラが入り、WOWOWで生中継される。会場で繰り広げられる命の叫びと、音楽に身を捧げたアーティスト達の人生を祝福するオーディエンスのエネルギーは、画面を通じて大いなる感動を全国に波及していくことになる。文字通り“奇跡”が織りなす音楽ドラマを、存分に楽しんでみて欲しい。感性のボリュームを最大に振り切って、奇跡のひとときに自分を同期させれば、あなたも不沈空母X JAPANの乗組員のひとりとなることだろう。

取材・文:BARKS編集長 烏丸哲也
提供:WOWOW


『生中継!X JAPAN WORLD TOUR 2017 WE ARE X Acoustic Special Miracle ~奇跡の夜~ 6DAYS』

7月17日(月・祝)夜6:00
収録日:2017年7月17日
収録場所:神奈川 横浜アリーナ

<関連番組>

X JAPAN LIVE 2017 at the WEMBLEY Arena in LONDON
7月10日(月)午後4:30
YOSHIKI CLASSICAL SPECIAL feat. Tokyo Philharmonic Orchestra at Carnegie Hall in New York City
7月17日(月・祝)午後3:30

◆WOWOW X JAPAN番組サイト
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