【対談】デストロイはるきち(ミソッカス)×稲村太佑(アルカラ)、「人間味出していってなんぼ」

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ミソッカスとBARKSがタッグを組んで始動した対談企画。初回にはツーマンライブ<東京都心ミソ化計画>に出演した忘れらんねえよの柴田隆浩をゲストに迎え、ミソッカスのフロントマンであるデストロイはるきちとライブやソングライティングについて赤裸々なトークを交わした。

◆デストロイはるきち(ミソッカス)×稲村太佑(アルカラ)画像

そして今回、第2回目のゲストにはアルカラの稲村太佑が登場。2011年からの付き合いであるはるきちと稲村は、互いにフロントマンというだけでなく、稲村は<くだけねこロックフェスティバル(通称ネコフェス)>、はるきちは<ミソフェス>のオーガナイザーという共通点を持つ。会話は自然と、フェスのオーガナイザーとしての先輩でありバンドマンの先輩、そして人生の先輩でもある稲村からはるきちへのマンツーマン授業的な内容に。この対談が今後のミソフェスに影響を及ぼすのか、そしてアルカラがミソフェスに出演する日は来るのか?

  ◆  ◆  ◆

■ネコフェスはいろんな想いが重なって始まったもの――稲村太佑

――はるきちさんがミソフェスを始めようと思ったきっかけは、ネコフェスだったそうですね。

デストロイはるきち(ミソッカス):アルカラが2013年にネコフェスを立ち上げるというアナウンスをしたときに「あ、これは面白そうだ!」と思って、すぐにElectricLadyLandに電話しました。だからネコフェスがなければミソフェスを始めてないんです。


稲村太佑(アルカラ):…でも俺はミソフェスに行けてない。

はるきち:毎回オファーしてるんですけどね。

稲村:全断りしてるよね(笑)。

はるきち:まず僕から太佑さんに電話でオファーして。そのあとライブに遊びに行って「ミソフェスどうですか?」と直接お願いしたら「まあちょっと待ってな」と言われ、そのままミソフェス当日を迎える…ということが過去に4回ありまして(笑)。

稲村:あははは!

はるきち:来年はミソフェスも5周年でミソッカスも結成10周年なので、もうすでに3回(アルカラにオファーを)トライしております! 今日もこの対談が終わったらお願いしようと思ってます。

稲村:…そうか。華麗にかわすで?

はるきち:またまた!

――アルカラは、まだミソフェスには出る時期ではない?

稲村:いやいや、そんなことはないですよ。ミソフェスはいつも大体「新年あけましておめでとう」のときにやるやんな?1月からなにそんなに頑張ってんねん、て思う(笑)。

はるきち:でも今年アルカラは1月もツアー回ってましたよ? なんで1月からそんなに頑張るのかなあ(笑)。

稲村:あははは!


――はるきちさんが影響を受けたネコフェスは「癖と個性が際立つバンドと神戸に点在するライブハウスの良さを知ってもらいたい」という想いからアルカラが立ち上げたサーキットイベントということですが、改めてその背景を詳しく聞かせてください。

稲村:ネコフェスにはいろんな想いが重なってるんですよ。まず神戸にはちっさい弾き語り小屋を入れたら20を超えるんじゃないかというくらいライブハウスがあるんです。店長やブッキングマネージャーも、もともとバンドをやっていた人が多くて。同じ地域にライブハウスがあるけれど、もともとバンドをやっていた人間がやっているライブハウスだからこそ、悲しいかな競合しないようにすることがお互い生き残るための方法というか。だから個人的に仲が良くても仕事上お付き合いしづらいし、バンドも複数のハコに出づらい…という時代があって。

――神戸は個性的なライブハウスが多いですよね。

稲村:やっぱり元バンドマンがやっているだけあって、みんな変なバンドが好きなんですよ。真面目に売れようとしているバンドを観ると「うわ、ダサ」と言うてしまうくらい(笑)、へんてこなことをやってるやつのほうが一癖あって面白いと思うライブハウスばっかりで。ハコ同士は交わらないけれど、これだけ一癖あるバンドが世に輩出されていく神戸…年に1回の七夕みたいに、これを一緒くたにまとめたイベントを作ったらもっとライブシーンが活性化するんちゃうかなと思ったんです。それでネコフェスの前に1回だけ、ライブハウス同士で手を組んでイベントをやったことがあって。

――そうだったんですか。

稲村:でも「船頭多くして船山に登る」という言葉があるように、立ち上げたはいいけれど「誰が仕切んねん!」ということになって、ライブハウスごとのモチベーションにもばらつきが出てバランスが悪くなったんです。そういう状況でイベントをやるのはなんかつまらんなー…と思ったし、僕の古巣であるART HOUSE(※過去に稲村がブッキングマネージャーとして働いていたライブハウス)の店長も「全然おもんないなあ」と言っていたんです。それで「ちょっと構想を練るんで、1年半くらい時間をもらっていいですか。このイベントの進化型を任せてくれませんか」と。

はるきち:おおお。

稲村:ライブハウスが主催やったから折り合いがつかへんかった。なら神戸出身であるバンドがこういうことを先導してやったら、僕らやから呼べるアーティストも出てくれるやろうし、僕らやからできる想いの伝え方もあるなと思ったんです。ライブハウスが発信するよりバンドという個人が発信したほうがお客さんにも伝わるやろうし。それで2013年6月30日に第1回目のネコフェスが開催されました。


――初回は7つのライブハウスで開催され、メジャーアーティストからアマチュアアーティストまでが一堂に会するというラインナップも大きな話題になりました。

稲村:仲はいいけれど出演が難しそうなバンドも、相手のマネージャーの手帳の6月30日のところに勝手に「ネコフェス」て書いたら、出演してくれることが決まったり(笑)。

はるきち:あははは! すごい!

稲村:熱が伝わったんやと思います。そういう無茶をしながらビッグアーティストを呼んだり、ビッグアーティストのあとに神戸で1年くらい頑張ってようやくそのライブハウスで押しのバンドになった、という子らが出る…そういうイベントって相当面白いなと思ったんですよ。実際僕もART HOUSEに出演しながら働いてて、ブッキングマネージャーは演奏しているバンドを観て「もっとこうしたほうがいいんじゃないか」と言う役目やし、言うていくということは自分もそれを出来てなあかんし。あと、大学のサークルのノリで来たバンドが「音楽がこんなにおもろいなら続けてみようかな」と思うきっかけを与える役目やったんですよね。そうこうしているうちに、こんなとっちゃん坊やみたいな顔したやつが兄貴分みたいな感じにもなって(笑)。

はるきち:とっちゃん坊やって(笑)。

稲村:あと、全国で活躍していて大きな会場を埋められるアーティストは神戸を飛ばしがちやけど、神戸のライブハウスの良さを知ってもらうことで神戸に興味を持ってもらえたり、寄るきっかけになったり、知り合いができたり、飲み仲間ができたりしてくれたら、それが「また神戸に行こう」と思うひとつのきっかけになるし、地元のバンドも「神戸で頑張っとったらこういうバンド来てくれるからチャンスもある」と思ってもらえると思う。

――ネコフェスはそういうイベントになっていると思います。

稲村:ネコフェスは僕らにとってはライブハウス同士の関係性の答え合わせみたいなところもあるし、誰かの背中を押すきっかけとか、なんかおもろいなと思えるものになったらなと。「うわ~ネコフェスや! 祭りや! どきどき!」みたいなの、夏祭りにあるやんか?

はるきち:ありますね。

稲村:太鼓の音が流れてきたら「楽しそうやな~!」、フェスも遠くからベースの音が聴こえてきて「うわ、楽しそうや!」って思うやんか。そういうのがイベント前から醸し出されたら夢があって面白いじゃないですか。そういうものを作りたくて5年目を迎える、という段階ですね。

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